心の襖。
あなたは、丸眼鏡と黒のタートルネックがよく似合って。
笑顔がどこか儚くて。
声は小洒落た楽器の孤独な演奏みたいで。
あなたの心の中にはどんな景色が広がってるんだろう?
目を引き寄せてしまうような言葉が私の心の襖に手をかけた
焼き付くような言葉の使い方や型にはまらない美しい文字
まるで意味だけを知ってそのまま書いたみたいな字を書くあの人
あの人が10秒前までいた場所には金木犀の余韻のような面影が残っている
息を呑むような絵が目に映り心臓にまで浸食していく
絵にはあなたの感情が風鈴のように揺らいでいる
あなたはお父さんがいないらしい
どれだけ傷ついたんだろう
どれだけ悩んだろう
夜のような暗い感情で心が埋め尽くされている
雨がどしゃぶりだ。
あの微笑みが頭の中で反芻するように
私は今息をしている
あなたはとても美しい
美しさには残酷が見え隠れするのはなんでもそうだ。
死んでから売れた画家のように、
そこにあった時よりなくなった方が価値を価値を感じやすい
あなたがいるのは当たり前じゃないから、
私はあなたがいることに感謝して生きる。
そういう世界の当たり前何て言うルールは口先だけで、理解していないと
必然だと期待したものがなくなった時にとても痛い目にあう。
あなたが穢れても。
あなたが幸せであればいい。
好きというより幸せになってほしい。
この世界であなたが
どんな人と一緒にいても
どんな甘い夜を過ごしても
どんな場所にいても
幸せであればそれでいい、
あなたが幸せだと思える時に私は私がいる意味を見つけられる。
私は臆病だ。だが、あなたの幸せぐらい祈れるから
今あなたはなにをしているんだろう?
きっと闇色の珈琲を飲みながら絵を描いているんだろう
藍色のベッドにもぐりこむと
猫が寄り添ってきた、
天井に手を伸ばして
「怖くない」
と言い聞かせて一人で眠った
私の目から一筋だけの涙が零れ落ちたのは優しい温かさのある猫との秘密だ