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(感想)始まりはキス/5話まで

作者: いえもん


始まりはキス/山葵先生

https://ncode.syosetu.com/n2527hv/



Gガンネタ多し。

それにまつわる部分でなろう規約抵触のおそれあり。指摘あれば即削除予定。あしからず




拝読しました。


逃げる女に追う男の物語でした。これはもう言うまでもなくラブ&コメディの王道ですよね。

ただ、この作品の設定が普通と違って面白いのは、女がヤリ逃げしたってとこです。


(女がヤり逃げって字面よ。これだけでもう面白いwww)



書評を端的に表すならば、


「今、爆熱するのは、シェリルとこの俺!」

「「 石 破 ラ ブ ラ ブ 天 驚 拳 ! ! 」」

 ※訳=ラストの破壊力がすげえ!!


いや、すいません。こんなセリフを言うキャラじゃないっすよね、二人とも。

でも時を越えて約三十年前のあの時に近い感動を覚えてしまったので、私はもう、自分で自分を止められないのです!!


(今回も全力で真面目にふざけていきます。ご了承ください)



このお話。配役、構成は至ってシンプルなんですが。

配役それぞれの主観にしっかりと感情とその熱量が乗っかっていて、最後を読み切るまでずっと心を掴まされっぱなしでした。


クライマックスでは読み手の興奮も最高潮でした。これは練りに練られた構成と展開があったからこその大成功だと思います。

この構成力というのが、山葵ししょおの作品に見られる特に優れたところだと私は思っています。


今回の感想もとても長くなりそうですが、めげずに、私が感じた本作品の良さをできる限り書き記していきたいと思います。



※以下、ネタバレしかありません。


















===============================



薦められたので読んでみたぜ!!

な、なんだコレ!? エッローー!! 第一話




いやもうエロいんよ。

全年齢対象とか嘘だろう?って感じ(笑) ※R-15でした

金◯ロードショーの洋画観てたら、途中に差し込まれたラブシーンで家族全員が気まずくなったみたいなアレを彷彿とさせます。


思うに、視覚に直接訴えて脳を刺激するエロより、想像を膨らませて脳を刺激させるエロのほうが中毒性は遥かにヤバいんですよ。

妄想を捗らせがちの感受性豊かな民なら、こんなの読んだら脳内麻薬どばどば出ちゃうでしょう。

私? そりゃもう妄想猛々しくどっぱどっぱのびっちゃびちゃよ!? パンツも一瞬で爆散したわ!!

本文を読みながら、「はぁ?! エッロ!!」って3回は口に出しましたからねマジの話。

直接的な描写が無ければナニをヤっても許されるというのでしょうか?


(読んだ時点ではまだヤってはいないけど、ヤってないとは言わせない)


とりま私の心も下半身もがっちりと掴まれたせいで、次の話に向けて全俺がアップを始めてしまったのは仕方ないことでしょう。

脳内で波動砲()のエネルギーチャージ開始のアナウンスが聞こえた気がしました。




==============================



おや……? ワシ、波動砲、打ったかのぅ??


帰ってきた健全なる期待感。

そうだった。俺はコレを見に来たんだ。 第二話




悲報!! 肝心のッッ!!

   濃厚なラブシーンは既にッッ!!

       事後だったッッ!!!!(血涙)


勝手に期待して生殺しにされたシモ担当のいえもん氏は上記の通りのリアクション。いいとこひとつもなしの、中折れ不発賢者タイムに絶望してました。

残りのいえもん氏たちは、絶望よりも山葵ししょおにしてやられたっていうアッパレ感から笑いがこみ上げてくるっていう、脳内オリエンテーリングはそんな虚無感と爽やかさによりカラッとした空気でした。


それからなにげにあらすじ冒頭の『始まったとおもったら、終わっていた……』がここにも効いていることに、とても感心しました。

読者の心境を未来予知してくるッッ! まるでトト神のスタンド攻撃のようだぜッッ!! 



第二話は意中の男性騎士を自室のベッドから見送るシーンで始まるのですが、今回もややフェティッシュ過多に思われた描写の裏で、ヒロインののっぴきならない心情が滲み出ていましたので、ここで私はすぐさま居ずまいを正しました。パンツを履き直して正座です。


ヒロインが最後の見納めとして一夜だけの恋人を見ているのですから、それは名残惜しく思うことでしょう。その切なさを踏まえ、彼女の視点に重ねて読み返せば、驚くほど素直に心に響いてきます。


……なんということでしょう!

匠は自身のフェチを、正当に、見事に、作品に昇華させていたのです!!

この巧みな表現技法、拍手喝采で称賛いたします。



さて。

ヒロインの今後の動向も気になりますが、そもそも彼女の行動の裏にはどのような事情があったのでしょうか。

私は男ですから男目線で言わせてもらうと、彼女のヤリ逃げ行為を正当化できるだけの、納得できる理由なんてあるのでしょうか。


その疑問に答えてくれるように、シェリル主観で独白風回想が始まりました。

まさに至れり尽くせり。腹が減ったと思ったらすでにご飯がよそってあったんだぜ。助かる。


その独白においては、主と定めた王女殿下の護衛の任を解かれたと同時にシェリルが近衛騎士をも辞める決断をするところに、彼女の一途な性根が浮き彫りになっていました。

ところで、王女の件は仕方ないにしても、ここまで一途な彼女がどうして恋を諦める必要があるのでしょう。この時点では、まだなにもわかりません。





==============================



供述によると、魔が差したということですが。

犯人は揃って皆そう言うんですよね。 第三話




独白というものはすべて個人の主観であって、たとえ主人公のものであったとしても鵜呑みにしてはならない。

ミステリ小説を読む際、私が鉄則として念頭に置いていることです。


そうは言っても、元近衛騎士シェリルの説明は納得のいくものでした。

唯一疑問の残る点として私が気になっていたのは、騎士を辞めるにしてもただの一人の女性として件の近衛騎士と交際する手もあったのではないか、ということ。

ですが、これについては後にちゃんと答え合わせがあります。


もちろん私は初読であってもそれくらいは折り込み済みなわけです。座して待て! これは他ならぬ山葵ししょおの作品なのだあ!(ドヤァ



>わたしの気持ちは宙ぶらりんになってしまった。

>心に空いた穴を持て余していた。


王女殿下も男性近衛騎士さんも、方向は違えどシェリルが一途に想う相手。代替するに都合がいいのは明白でした。



ていうか、ここらへんの表現力、凄い。濃い! 好き!!


『聖女さま、』の最終話もそうでした。

ここぞとししょおが書く、女性の情感を込めた文章はほんとに印象に強く残るのですよね。まさに火の玉ストレートです。



>ふと魔が差した。

>近衛騎士の遊びはお互い様。


その上こんな理由も後付けできてしまうんだからますます都合がいいのでした。

多少の罪悪感も彼女は覚悟の上の

ようですし、実は罪悪感を持つことで安心を得ようとしているのかもしれません。


それでここが肝心なとこなんですが、このヤり逃げによってシェリルが真に得られるもの得たいものとは、一体、なんなんでしょうか。


護衛騎士を辞めるにしても自暴自棄な感じはありません。むしろ一度決めたことは覆さないという意志すら見えます。

彼女はオトナで、自分のことは自分一人で決めているわけですから、近衛騎士というしがらみを捨ててまでして、それで自身の望む結果が得られなければ、ただの迷惑な女で終わるのではないでしょうか。



第三話の半ばをもって、懺悔的な含みを持たせた独白が終わりました。こうなると次は客観性が欲しくなるのが私の読者としての性。


(めんどくせー読者だなと思われてそうで、実はちょっと怖かったりする……)



ここで、ウン十年前のドラマでの、俳優織田裕二扮する弁護士高岡淳平のセリフを引用すると、「被告人は嘘を吐く。常識でしょ?」


コレなのです。

いまの話、ほんとのところはどうなんだ、と。

シェリルの人となりをまだろくに知らずに、彼女の独り語りを鵜呑みにしてもいいものか、と。


そう考えたところで登場したのがキーパーソンとなるアニタさん。


(展開に隙がねえんだぜ!)



損得なし、貸し借りなし、上下関係なし。そんな気の置けない関係性が伝わってくるようなシェリルとアニタの軽妙なかけあいは小気味良く、実に清々しいものでした。

会話の内容も同性ならでは。シモい話だってどストレートです。


それがまたリアルというか普通でいいんですよね。

男が夢見るような純情可憐純粋無垢内向的な愛玩ヒロインだったらばオナラもウンコもしないかもしれんけど、そこはリアルオトナ女性ですもんね。



まあそれは置いといて、門出を祝ってくれたアニタにシェリルはすっきりとした気持ちで敬礼を返したのでした。


ここのシーンを読み終え、シェリルの独白への違和感と疑問は解消されました。

今後の展望とかは置いといて、ほんとうに過去を精算してドロップアウトしたいんだな、と。

それだけ王女に心酔して自分の役割に情熱を傾けてきたということなんでしょうね。燃え尽き症候群みたいなものかな。



私はいつの間にか、ヤリ逃げされちゃった護衛騎士某よりもシェリルの肩を持ちつつありました。


いや、だって、件の彼はシェリルが離れがたく思うほどのしがらみを作れなかったわけですよね?

彼がチャンスを逃し続けたかどうかってのはまだわからないことですけど、少なくとも一夜を共にしたあとでもシェリルを翻意させるに至らなかったわけで、それって最後の大きなチャンスも逃したってことですよね。

下品な言い方ですけど、セックスでわからせられたら一夜の思い出にされちゃうこともなかったのかもしれないのだし。


まあ、話を鵜呑みにするなとかなんだかんだ言っときながら片一方の言い分を聞いただけでそっちの肩を持ってしまうあたり、結局のところ私はかなりチョロい奴なのでした。自虐。



さて。

ここで、読みながら展開を分析しようとしていた私がヒヤリとしたことを一つ書かせてください。


前段までで私が知りたかったこと。つまり、シェリルに対する客観的な判断材料が、アニタのセリフにありました。


>「納め、て、あんた、ほとんど遊んだことなんか無いじゃない」


会話の流れから考えても私がシェリルに抱いていた、そして少なからず期待していた、一途に殉ずるイメージに近いものでした。

シェリルの実像に近づきたい私にとっては、シェリルをよく知るアニタの客観性を伴う貴重なセリフなのでした。


遊びまくりヤリまくりの尻軽女がウブで一途で愚鈍な男によって本当の愛とセックスに目覚めさせられるって話であっても一向に構わないのですが、それだとここまでの経緯と繋がらないので、なんとなく、とても安心しました。



私はストーリーの辻褄合わせが大好きなので、これまでの情報を精査しなくては──という思考が働き、ここぞとばかりに脳をフル回転させ始めていました。


この物語において真に重要なものとなるアニタのセリフはこの直後。

ですがこのときの私はそれを知るよしもなく。


前後関係を読み解くことに注力していたおかげなのか、たまたま、その肝心なセリフも私の印象に強く残っていました。

空読みしていたともいえるのですが、結果としてはラストの心踊る笑撃展開をしっかりと楽しめたのでほんとによかったと思います。


シンプルに読んでいれば、なんてことのないことだと思うんですけどね。

あぶねーとこでした。

一言一句までしゃぶり尽くしたい私がやりがちな戦犯ムーブで、この作品の美味しいところを台無しにしてしまうところでした。




==============================



すべてが遅かった男。俺たちのジェフ。 第四話




女近衛騎士にヤリ逃げを食らった男はどうにも素直に同情することのできない人物でした。

気づかいのできる優しい男っぽいなというのはなんとなくわかります。


でも、たぶんですけど、読者の大半がきっとこう思ったんじゃないでしょうか。


――――ジェフから告白できればよかったのに。


元々シェリルは王女が国外へ嫁げば随行して行く可能性があったのでしょうし、ジェフが告白したりすれば、王女つきの騎士として身軽に体ひとつでいたいシェリルを困らせてしまうことになるわけですが。


そうは言っても。ジェフがもっとも懸念している、居心地のよかった関係が思わぬ方向に変わってしまうとしても、ですよ。

ジェフが自らの気持ちにもう少し早く気づいて、シェリルよりも先に一歩前に踏み出せていれば、ジェフはシェリルの居場所になれたのではないかと考えてしまうわけです。



↑は私の都合のいい解釈にすぎませんが、作中で描かれているところによると、二人は互いに好意をもってるのに、シェリルはキッカケを作らないようにしてて、一方のジェフは見てるこっちが悲しくなるくらいのニブチンでした。勘も鈍けりゃ行動も鈍い。騎士としては優秀らしいのに……


こと、シェリルに絡むことに関しては、過去から現在に至る『連続する今』のすべてを後手後手に過ごしてきたのではないかと邪推してしまうほどです。

ジェフ自身が後に述懐してますが、シェリルは結婚適齢期をやや過ぎてしまっているそうで。そうなるまでお前は一体なにをしてたんだと。


シェリルの回想の折りにも思いましたが、チャンスとあらば即、飛びつけるくらいには心の準備をしておけよと。そう、小一時間ほど問い詰めたくなるのです。


いい奴ではあるのだろうけど、残念な男。

それがジェフに対する私の第一印象でした。



では、彼は男として論外なのか? 魅力的ではないのか? といえば、けしてそうではなくて。

ジェフという男は、たぶん、よくも悪くも誠実な男なのです。


思えば、例の情事の明くる朝、シェリルの部屋を出るときに彼女の風評を慮って音をたてないように配慮するくらいには気遣いもできる男でした。

ところが、人生の指針を見失い自身の不甲斐なさに涙を流すシェリルを目の前にして、ジェフは手を差しのぺることも寄り添うこともしませんでした。

シェリルの涙を見たとき、その時点でとうの昔に恋に落ちていたのだと自覚したにも関わらず、ジェフは自分の気持ちに整理がつかない内には動くことができなかったのでした。

そこで動けていれば、彼にとっての結果オーライな未来のひとつもあったかもしれないのに。


このときのジェフの自縄自縛は、シェリルに、そして自分自身にも誠実でいたいがための表れのようでもあり、日和見して問題を先送りしたようにも見えました。

そして事実として、彼は過去最大の好機を逃してしまったのでした。


それがダメでも、せめて情事のあと。

敢えてあそこで周囲に気配を残して俺の女アピールをするムーブができてたならジェフは大したものだったと思いますが、ま、それができてりゃこんな面白い話にはならないわけで……


うーーん。褒めていいのか貶していいのかわからんね。



とにかく不器用なりにまあまあ気遣いのできる男が、行方を眩ましたシェリルの所在を知るために、恥も外聞も捨てて周囲に聞いてまわります。


『シェリルに弄ばれて捨てられた男』(失笑)なんて、事実でありながらも不本意なレッテルを貼られたりしながら、手がかりを求めて手を尽くします。


なるほどなるほど。

ジェフの視点を介することで徐々に実像として見えてくる二人の関係性とその背景。実に興味深いです。



ジェフの知る限り、王女の護衛から外されたいま、もともと身軽なシェリルには王城になんの柵もなく。その上で、現状で唯一、その柵になり得たと自惚れていたジェフのあずかり知らぬうちに、シェリルはひっそりといなくなっていた。


いやはやこんなのマジで慌てますよ。

いくら近衛騎士が遊び上手とはいえ、シェリルと身体を重ねたあの夜に二人の心も結ばれたと思い込んでいたに違いありません。


憐れ、その思い込みと現状が示唆するものとのギャップはあまりにも大きすぎました。

彼が心に負ったダメージはいかばかりのものか、私も同じ男として察して余りあるものがあります。


そう! まさにそれは悲しき男の性なのです。


男が最も油断するのはパンツを脱いだとき。


男が最も過信するのはパンツを履いたとき。


つまり男がパンツに手をかけるそのときには、今一度自分を振り返って慎重に事を進めなければならないということでしょう。

ありがとう、ジェフ。身をもってそれを教えてくれた君の功績を私は決して忘れない。

やはりこの含蓄は子々孫々に語り継がねばなりませんね。言うて、我が家には女の子しかおらんのですけどね。



ちなみに、他に押さえておくべきパンツ含蓄としては、


男がパンツを爆発させるのは最も興奮したとき、


男がパンツを頭に被るのは犯罪者予備軍、というのがあります。


どちらも男の生態をよく示していると思います。


もしこれらを目撃してしまった場合には、慌てて通報するようなことはせず、まずは落ち着いて、そっと距離を置くようにしてください。

よろしくお願いします。←

 


話を戻します。

とにかく、シェリルが居なくなってから少なくない日数が流れていて、慌てるような時間はもうとっくに過ぎていたのでした。


ジェフも今さら気持ちの整理や形振りなんて構ってなどいられないでしょう。

失いかけて、或いは、失ってみて、その大切さやかけがえのなさに初めて気づく、というのはよくある話。

ただ、そこで後先考えずにがむしゃらになれるジェフは、遅すぎは遅すぎなんだけどまだ終わってはいないのです。


得てして、諦めの悪い男が見せる泥臭さというものは、男目線で見ればなんとなくカッコよく見えるもの。

同じ男として応援できるかどうかのデッドラインを、ジェフはギリギリではありましたが越えていませんでした。


それに加えて、私はジェフの立ち回りに生々しい人間性を見ていました。

男性特有の論理的思考と行動がゆえに、こと女性相手には空回りするというあたりにも、親近感にも似た説得力がありました。

それでもやっぱり同情心は芽生えないのですけど、彼の今後の頑張りにかける私の期待は右肩上がりになっていくのでした。


なにせ彼は腐ってもシェリルが懸想する男。大勝利は約束されているはずなのです。

失った時間やチャンスはもう取り戻せないけれど、シェリルがジェフを思う気持ちが本物だったなら、ジェフにとってそれを上回るチャンスなどあり得ないでしょう。

その境地に、そして、シェリルの待つ舞台に、ジェフはたどり着くことができるのでしょうか?


ふぅ……

まったく、読みごたえがありすぎるぜ。

唯一残されたものが実は最大のチャンスとかいう胸熱展開。

これを期待するなと言う方が無理なんですよね!




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驚くのも無理はなかろう。信じられぬのも無理はなかろう。だが、これは事実だ! 悲しいかジェフ!! 恐ろしいかジェフ!!


東西南北中央不敗! スーパー・アニタ!! 第五話(前半パート)




読めば読むほど面白い。

それが山葵ししょおの作品の真骨頂です。

読後の感想を書くために一度読み返しましたが、さらにもう一度読み返すことになってしまいました。

その切っ掛けとなったのがこの第五話です。


一度結末まで読み終えた上で理解できたことですが、アニタは舞台装置として非常に重要で優秀なキャラクターでした。

アニタはシェリルの友人であり、シェリルの心情と出奔した行方の両方を知る唯一の人物。そして、騎士を辞めて一人実家に帰ったシェリルの意思を尊重すると同時に、シェリルの真の幸せも願っていたのでした。


そのアニタの眼前にのこのこと現れた残念な男。俺たちのジェフ。

シェリルが居なくなったことに気づくのも遅ければ、当然、アニタに辿り着くのも遅いのです。

それでなくてもジェフに対するアニタの反応は冷ややかなものなのですが、以下のジェフのセリフを読めば、それも仕方のないことだと思います。



>「……考えたこともなかった」


 こ れ は ひ ど い w w w


ジェフがいかに遅過ぎる男なのかが、このセリフからもよくわかります。

私の中のマスター・アジアが「だからお前はアホなのだぁ!!」とジェフを罵倒していました。


女ってのはたとえ相思相愛でも機を逃せばネオドイツに寝返ったりもするのです。

大人になってからあのシーンを振り返ったら妙なNTR要素を感じてしまって(レインの、「ダメよ。今のわたしはネオドイツの女」みたいセリフがなかなかヤバい)、放映当時はまだガキでよかったなぁ……てなるんだぞぉ!!

気をつけろ!! マジで気をつけろぉぉ!!!!

(ていうか当時はなんだかレインがめんどくさい女に思えてて、やっぱもうアレンビーがいいじゃんなどとオタ友界隈で話してた記憶がある……けど、めんどくさいのはレインじゃなくてはっきりしないドモンの方だったんだよね)



もちろんそこはマスター・アニタ。色恋沙汰の酸いも甘いもわかっています(多分)。

機転を利かせて、愚鈍な主演男優に恋愛の奥義を伝授するべく試練を与えるのでした。

試練の手段は奇しくも擬似NTR。



>今頃見合いでも

>それとも誰か恋人がいたんなら


こんな単純な揺さぶりで、ドm……ジェフはいとも簡単にわからせられてしまいます。こいつ、チョロいぞ!?


……いや、違いますね。

これはマスター・アニタが強いだけ。


全方位に死角なし。まさにスーパー・アニタなのだ!!

見よ!! 東方は赤く燃えている!!!!(言いたいだけ)



読み込むほどにアニタの強さに気づかされる本作品なのですが、初読時はアニタの凄さの片鱗が見えるくらいで、主役二人を食うほどの存在感はありませんでした。


だからこそ、この作品は素晴らしいのです。


一切の無駄なく核心に誘導していく悪魔のような話術。

ポンコツ二人を最適解へと導く恐ろしいまでの洞察力。


それらが、ラストを見届けて感動している私の理解と結びつくまでの時間差。

これがほんとに素晴らしいの一言なのでした。


(この時間差については第7話の感想に書きます)




さて、これまでジェフと直接関係を持つ機会のなかったアニタですが、シェリルを通してその存在は知っていたようです。

おそらくは、最近になってジェフが城内でシェリルの行方を聞いて回っていることも把握していたものと思います。

それらを踏まえてアニタの性格を加味すると、迎え撃つ準備をしっかり整えた上でジェフと対峙したはずだと考えられます。


そして、急所を抉るような二言三言を以て、アニタはジェフの分析を完了させたように思います。

そのあとで、ジェフにシェリル攻略のチャンスと切り札を与えるのでした。



そのチャンスである、シェリルの実家の住所が書かれたメモ書き。



>アニタは、スカートのポケットから紙切れを出した。


アニタはいったいいつからこの紙切れを用意していたのでしょうね?


山葵ししょおの書く作品に於いて、洗濯婦というのが小汚ない格好で仕事をしてるとは到底思えません。

つまりアニタがスカートを洗濯しないっていう可能性はゼロです(断言)。


てことは、スカートを洗濯するたびに紙切れを取り出して、出かけるたびにまたスカートに紙切れを忍ばせていたことになりますね。

そうでないと、シェリルが居なくなってから相応の時間を置いて現れたジェフに、タイミングよくシェリルのアドレスを渡すことができるなど、たまたまにしては都合がよすぎます。

それに、見も知らぬジェフを相手にこんな用意をしてあげるほどアニタが八方美人のお人好しには思えません。

やはりこれはひとえに、シェリルのより良い幸福を考えて、ジェフが訪ねて来るのをじっと待っていたということなのだと思います。


待ちはするけども、ジェフが現れないのならそれまでのこと。

現れたとしても、アニタの眼鏡に適う、シェリルに相応しい男かを試す。


実際、無条件にジェフをけしかけなかったあたり、シェリルに対して余計なお世話にならないようにと気遣うアニタの優しさが見えて、ここにシェリルの友人としての矜持を感じました。


澄ましているようで義理と情に厚い女。

それがアニタなんだと、ここまでを読んだ私は理解していました。



…………本文を素直に読めばこのパートはアニタがジェフを試すという描写なのですが、視点を変えるとアニタの巧みな誘導にジェフが乗せられてていただけのようにも見えます。


この根拠の発端となるのは、物語を少し遡って、第3話。

常に用意周到に準備を怠らないアニタがシェリルとの会話の中で、動揺を見せた描写がありました。



>アニタがびっくりして箒から手を離し、落としてしまう。


これは、シェリルがジェフに何も告げずに城を去ることを知ったときのアニタのリアクションです。

知れば知るほど完璧ムーブをしているアニタだからこそ、ここで見せたリアクションには違和感があるのです。


どうやらシェリルがジェフをフったことが、アニタにとってはそれほど意外なことだったようです。


シェリルから又聞きで聞いていたジェフの印象が良かったからでしょうか?

それともただ単に、ジェフに向けるシェリルの思いが本物に見えていたのでしょうか?


逆説的になりますが、アニタは、ジェフとシェリルが恋仲になると予想していたのでしょう。

私の想像する彼女のスタンスに則って言えば、予期と言い換えてもいいかもしれません。


良くも悪くもシェリルとジェフの二人はお似合いだと考えていたのでしょうが、事実はそうはなりませんでした。

男女の仲というのは複雑怪奇。一寸先は闇。

両思いでありながら何故かうまく行かないことも多いのです。恋愛小説界隈では特に。

そして、この二人がうまくいかなかった理由とは? 


アニタはその解を導き出して、ジェフを待ち構えていたのです。



その結果、見たくなかった現実を突きつけられて、見たくもない未来をイメージさせられた挙句の果てに、まだ希望は残されていると巧みに唆されてしまう、哀しき男、ジェフ。

惚れた男の弱みにも容赦なく衝け込む、アニタの悪魔のような話術が炸裂した一幕でした。

こんなの、純情一途愚鈍残念なジェフに抵抗できるわけもなく。


ジェフは、>判断を誤れば切られる。――――などと考えていましたが、事はそれ以前の問題で。

ジェフにはアニタが用意した道筋を歩く以外に選択の余地など初めから無かったのです。



そういえば、ジェフがアニタに畏怖にも似た印象を受けていましたが、これこそが男の勘というやつでしょうね。


世によく聞く女の勘というのは、男の嘘を見破るもの。

対して男の勘というのは、逆らってはいけない女にいち早く感づくセンサーのことです。


生来、マウントを取りたがるのが男という生き物ですが、それ故に数々の失敗を繰り返してきた歴史があります。

その歴史が遺伝子レベルにまで浸透した結果生み出された危機回避本能。


それこそが男の勘なのです。



アニタの雰囲気に普通でないものを感じたジェフの勘は正しかった。

それでもまだアニタの恐ろしさを小さく見誤っていたのですが。


とにかく、ジェフがいかように反応しようとも、アニタの誘導から逃れるすべはなかったのです。

あまりにも相手が悪すぎました。


DG細胞を取り込んだアニタの巧みな誘導に乗せられてしまったジェフは、アニタの元を訪れたときとは打って変わってすっかり楽観的になっていました。


その有様は、なんというか……


例えるなら、そう。一級フラグ建築士。



ジェフ、お前ってやつは…………



だから! お前は! アホなのだぁ!!




ともあれ、ジェフは敵を知り、己を知りました。


好いた女に逃げられた男、追いかける男としての、あるべき立ち処にようやく立てたと言えましょう。


ですが、この気づきを得られたのは概ねアニタの教育のおかげであると理解できているでしょうか?

なんの経験もなしに成長できるほど、人生は甘いものではないのですが。


さらにはとっておきの切り札もアニタから授かったのですが、それですんなりいくとも思えません。

なぜならば、奥義というものはタイミングが命。

今のジェフのままならば、不発もあり得るのではないか。


そういう予感を、私はひしひしと感じていました。


なんせ、フラグがバッシバシに立ちまくっていますからね。

一刻も早くフラグ建築士からジョブチェンジしないと大変なことになるのではないでしょうか。



いやあ、面白いことになりそうでなによりですね。




==========================



行くぞ!! 風◯再起(馬)!! ゴッドガン◯ム大勝利(予定)!! 輝く未来(妄想)にレディ·ゴー!! 第五話(後半パート)




ヤバそうなフラグを立てつつも、ジェフはシェリルに会うための準備を着々と進めていきます。

大抵、迷いの無くなった男の行動というのは相応に早いものですが、ジェフはそれに輪をかけて早いようです。


出足こそ遅いんだけど、走り出したら勢いがすごいのですよねえ。

周りに影響されず、自分の信ずるままに行動できる男ってのは強いと思います。


……それが間違った方向でなければの話ですが。



それに、ジェフにはアニタから授かった切り札がありました。

これがジェフをさらに爆熱させる加速装置になってるんですね。


シェリルの本心を把握したかのように思い込み、まずは一目会いに行くというところから飛躍して、シェリルを追い詰め囲い込む気満々で身辺調査やら結婚のための根回しやらを進めていくのでした。


やばいぜ。これを暴走と言わずになんと言い表せばいいのか。

もう半ば勝利を確信してパンツ脱いでますね、ジェフ。


でもさあ。

シェリルに会うなり、「待っていたわ!ジェフ!」「迎えに来てくれてありがとう!ジェフ!」「これからはずっと一緒よ!ジェフ!」とはならんよね、常識的に考えてさあ。



失われた時間を取り戻そうと躍起になるジェフの心理も理解できなくはないけど、ヤリ捨てられた事実は覆らないんよ……


もうちょっと現実を見てもろて……

とりあえず、パンツは履いとけよ?



こうやって読者に、恋人とのすれ違いへの期待値をひたすらに爆上げしていく猪突猛進さというのは、もはやラブコメ名物と言ってもいいのではないでしょうか。


もちろんこのあと、ジェフは任務を完璧に遂行してみせます。

すれ違う先にまさかあんなおもしろ展開が待っていようとは!!


まったく。こいつはラブコメの申し子みたいな奴だぜ!!

だが、それでこそ俺たちのジェフ!! お前は最高だ!!



で、ここまで、見所として私的にはとても面白く、想像もかなり膨らませられた部分なのですが、実はこの間、僅か数行の描写に過ぎないんですよね。


ジェフの一日千秋虎視眈々とした思いを無視するかのようにあっさりと話を進めてしまうこのさりげなさが、もちろんジェフが前のめりになっている勢いをそのまま表すスピード感に繋がってもいるのですが、ジェフのやらかしの予感に意識が向かないように一役買っていることにも着目したいところです。


さすが、山葵ししょお。話の端々でほんとに巧いなあと思わされてしまうのです。



そして物語は、いざ!最終決戦!!なのですっ!(やっとです。ここまで長かった……)


愛する女を手に入れるべく一張羅のゴッドガンダムを着込み、愛馬の風雲再起を駆って、決戦の地であるシェリルの実家へと向かうジェフ。


ここですっ!! まさにいま! 私の脳内に胸熱ミュージックが流れて、雰囲気を盛り上げていくぅ!!


>もう一度はい上がり

>太陽の光を浴びて

>涙はもう乾いている

>輝く未来が見える

>この手でつかむのさ  (……感想とは言え版権とかヤバい?ヤバいよな?)


ウオオオオ!!熱い!!アドレナリンが!!迸るぜええええええ!!

ていうか、いま!この瞬間!!Gガン前期OP曲のハマり具合が本家を超えていくううううううううううううう!!


しかし残念ながらジェフはフラグを立てすぎたせいで、一筋縄ではいかないはずなんだ。

この神曲みたいな都合のいい未来を夢見てないで、おとなしくパンツを履いたほうがいいと思うんだよ(二度目の忠告)。



そしてついに、シェリルとの邂逅。


>振り返った彼女は血色も良く、多少土で汚れているが、頬なんかツヤツヤしていて見るからに健康そうだ。

>そして、見たこともないくらいに油断した顔をしていた。

>心なしか記憶よりもふっくらしているような気すらする。

>王宮で見せていた何かを含み優雅に細められた眼差しなど幻覚だったのかと疑いたくなるくらい、どこか抜けた表情だ。

>彼女は、ただただ素直に驚きに反応して大きな目を丸くしていた。


>とにかく、俺が何も言わず消えた彼女のことで気に病んで、休暇を取るために奔走し、各種手廻しに駆けずり回っていたのがバカバカしくなるくらいに、シェリルはつやつやぷりぷりとしているとでも言おうか、とりあえず元気で、加えてふにゃふにゃのんきな様相であった。


私史上最長引用コピペです(笑)


いや、だってさあ、ジェフのこの感想、めちゃくちゃうまくね?(爆)

私より巧いまであるよ、これ!

近衛騎士なんてやってる場合じゃない。お金取れるってまじで。


とりまここを読んだ私が最初に考えたのは、シェリルが幸せそうで良かったってことです。

しがらみを捨てた先に、つやつやぷりぷりふにゃふにゃのんきなんて表現されるような充実した時間や生活があったのなら、私はそれを素直に祝福したい。

残念なことに、ジェフにはそのような余裕はなさそうですが。


しかしですよ、ならば逆にジェフに問いたいものです。

シェリルがどのようなリアクションをすれば、満足をしたって言うんですか?

しおらしく謝罪でもすればよかったというのでしょうか。


おかしいですよね。それはどう考えてもおかしい。



>知ってる。


こうやってアニタに答えていたじゃないですか。

一度決めたことを簡単に翻さないのがシェリルなら、一人で黙って消えたことを謝るなんていうのは、それこそシェリルらしくないわけですよね。


ジェフが思った通り、いや、思った以上に人間くさいのです。

彼の主観がほんとに一人の人間をやっているように見えてきます。


わかったつもりになってて二の足を踏むのも。


自分を信じてまっすぐに突き進むのも。


誤りを素直に認められないのも。


こういうのができるのって、若さの特権でもあります。

成長とは1日や2日で見込めるものではなくて、だから何度もつまずきながらも前を向くジェフに、リアルな人間味を感じているのかもしれません。



もちろん、ジェフの主観に沿った心情も大いに理解できます。

本気で動いていた分だけ空回りしてしまったら怒りも湧くこともあるでしょう。


ただそれは、読者から見れば、ここまでに立ててきたフラグをジェフが順調に回収していっているようにしか見えないんですよね残当www



ま、シェリルにもよくないとこはありましたよ。

空回りさせるつもりはなかったとはいえ、遠路はるばるやってきたジェフを逆撫でしていく無神経さ。


>素敵な上着だね。なんかの帰り?


ひでぇwww 久しぶりに会って早々、バっチクソに煽っていくぅwww

ゴメンwww ジェフには悪いけど、ここ、愉快痛快だったわwwwww


だが、オイオイちょっと待て、と。

私もさすがに、それはないんじゃないかと思い直す。

なんかの帰り?って、古今東西、ガンダム着込んだ奴に言うセリフじゃないだろ。

見てわからんか!?

ガンダムファイトだよ!ガンダムファイト!(錯乱



このシェリルのあまりの言い草に、ジェフはかなりの心的ダメージを負ったようです。さすがにかわいそすぎるwww



>ただシェリルに会いに来たのに。


ひそかに結婚することまで考慮に入れてやってきたはずのに、いきなりこんな弱気なことを言い出す始末www ジェフおまえヒヨりすぎwww 豆腐メンタル乙www


アニタ師匠譲りの用意周到さはどこいったんよ!?


精神的に打たれ弱いとこがまんまリアル男性すぎてもうねwww

素のおっさん目線としては笑うしかないし、ここはジェフのためにも清々しく笑い飛ばしてあげたい所存www


……なんていうか、調子こいてたのが我に返るというか。

痛いところを突かれて怯むというか。

パンツ脱いでたことにようやく気づくというか。


およそ男ならこの手のやらかしの記憶は、古傷か、かさぶたか、生傷として身体に刻み込まれているものなのです。

この痛みの記憶を共感したり慰め合ったりってのが、男が友情を築き上げる最短ルートだったりするんですよね。


モウ オレト ジェフ トモダチ。 コンゴトモ ヨロシク···



すっかりあったまってる心の友ジェフと、何をいまさらと冷めきっているシェリル。


対比効果の錯覚でより強調された温度差が、二人の関係性を際立たせています。

素晴らしい!


ここまでの互いの経緯を知ってる身としては、どちらの言い分も心情も理解できるので、ジェフ視点でありながら俯瞰で眺めるような感覚で二人を見ていました。

そして、会話がジェフからシェリルへの詰問になりつつある中、ジェフがようやくシェリルの前に自分をさらけ出します。


さらけ出すんだけど……



>俺は?俺は理由にもならなかったのか?


うわああ!!

これは切なくも情けない。こんなこと言わされる、大の男の心境よ。


心痛、いかばかりか想像に堪えません!!

男として、絶対に! 絶対に共感したくねええええええええ!! 



ともあれ恋愛の原点は、まず初めに自分の気持ちありきなのです。

情けなかろうと悔しかろうと、こういうところでこそ自分にも相手にも誠実であるべきでしょう。


故に、ここでのジェフは正しい。


ていうか、アニタとの会話での気づきはどこへ行ったのか。

アニタはけっこう念を押して、成長するきっかけを与えてくれてたのに。


ジェフという男は、こうして知らず知らずに、チャンスをひとつ、またひとつと逃してきたのかな。

さすがすべてが遅かった男の異名は伊達じゃないってことですかね。



ここからジェフは男としてダメなところをどんどん表に出していくかもしれませんが、大丈夫。それで正解なはず。

自分の気持ちを明らかにせず、相手の気持ちを知ろうなどと虫の良すぎる話なのです。

ここから! きっとここからジェフのターンが────



>「かもね」


ジェフの縋るような気持ちを無碍にいなす、シェリル。

二人の熱は交じることなく、その無情な現実は二人の間に存在する隔たりを形作っていました。


……だけどそれはまだ私の想定内です。

アニタが念を押して、シェリルは頑固で一度決めたら翻さないと教えてくれましたからね。

やっぱりマスター・アニタはさすがだぜ!!


ジェフももちろん想定内のはず。

ちょっと前にも触れましたが、ジェフはアニタに「知ってる」と返事をしていたのですから。

それはもう、自信満々にね!



>「………………………………………………。」


おや? ジェフの様子が……?



>「…………抜け」


は?



>いい加減にしろ!!決闘だ!!!!」(手袋バシっ


私、ポカーーン…………


それは、……ダメじゃん?

好いた女相手になにやってだこいつwww


だからパンツ履けってあれほど言ってたのにさぁ……



このパート、ジェフ目線で進んでいただけに、キレたジェフの突拍子もない行動に私の理解がついていきませんでした。

ところがそれは奇しくもシェリルの心境に似ていて、描写されてもいないシェリル視点をヴァーチャルリアリティ体験してしまったのでした。

これはいわゆる同化効果による錯覚、というやつですね。


…………オイオイ、天才だわ。

 

この作者、天才なのよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!





  いったんここまで。

  残りを書ききったら感想欄に投稿するか、ここに接続します。



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次回予告!!


シェリルとジェフと、時々オトン。 第6話


   coming soon!



続きは鋭意執筆中。

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