「よくあるご質問」を見て驚愕
Twitterを見ていたら、今日の夕方のツイートとして、「第9回ネット小説大賞」公式アカウントが【ネット小説大賞Q&A】をつぶやいておられました。
応募方法と、感想サービスに関する話です。
それ自体は特に興味深いQ&Aではなかったのですが、
「これって、いわゆるFAQだよな? わざわざツイートするということは、公式ページの方のFAQに、新しく書き足したのだろうか?」
と邪推してしまいました。
数日前にオープンした特設ページ。
応募規定はよく読みましたが、FAQまではチェックしていませんでした。開設時にはどのようなFAQが書かれていたのか、そもそもFAQが用意されていたのか、それすら私は覚えていません。
今さらですが、この機会に、見に行ってみました。
名称としては「よくあるご質問」となっています。
本当に『よくある』質問ばかりであり、途中までは何も気にせず見ていたのですが……。短編で受賞する可能性の話とか、個人出版の話とか、自分には無関係ながら面白い記述もありました。
そんな中。
驚くべき項目が一つ。
「他のコンテストとの重複応募は可能ですか?」
これに対する回答の1行目が、
>第9回コンテストにつきましては、基本的に重複応募は不可とさせていただきます。
見た途端「えっ、どういうこと?」と思ってしまいました。
このエッセイの2つ前の項目で記した通り、今年は条件付きで重複応募OKだと思っていましたからね。応募規定では「他サイトのコンテストならばOK」っぽいことを書いておきながら、FAQにおいては「基本的に不可」と釘を刺すなんて……。
衝撃を受けて動揺しながら、2行目も読んでみると、
>応募期間中および一次選考までは選考対象といたしますが、二次選考以降は選考対象として除外しますため、以後の選考に進むことを希望される場合は他コンテストタグを外したうえでご応募下さいませ。
これはこれで、考えさせられるポイントが2つ。
まず第一に『一次選考までは選考対象』という点です。
実はこれ、応募規定を読んだ際も少し気になっていました。応募規定では、本来は不許可の重複応募に関して『一次選考以降の審査はいたしません』と書かれていたのですね。
あれを見た時に私の頭に浮かんだのは、『以降』という表現の曖昧さでした。
子供の頃に習った数学では、『〇〇以下』『〇〇以上』といえば、どちらも『〇〇』を含みます。含みたくなければ『以』ではなく『より』と表記しなければなりません。
しかし日常会話では『以』を『より』の意味で使うことも多いでしょう。そもそも『一次選考以降』を『一次選考を含む、その先』の意味で使うのであれば、わざわざ注意書きの必要もありません。『一次選考を含む、その先』は全てですからね(笑)。
ならば応募規定の『一次選考以降』は、厳密には『一次選考より先』と言いたいのだろう。私はそう理解していました。「チッ、そういう日本語の表記は厳密に使えよ。かりにも小説家や出版社の関わるコンテストだろ?」と内心で舌打ちしながらも。
今回『一次選考までは選考対象』と明言されたことで、私の解釈は正しかった、と思えたわけです。ただし、これはこれで、直後に『二次選考以降は』という表現があり、応募規定にあった「『より』と同じ意味の『以』」とは異なり、今度は「『より』とは違う意味の『以』」ですから、ちょっとモヤモヤしました。同じコンテストの同じ話題(重複応募)に関する説明で表現のブレがあることに、少し気持ち悪さを感じてしまったのです。
ともかく。
重複応募は不許可だけど一次選考までは審査するよ、という話。
これって、どうなのでしょう?
一次選考だけ通過できても、それより先は進めないという応募形態。これで満足できる応募者って、いるのでしょうか?
私はコンテストガチ勢ではなくエンジョイ勢であり、一次通過だけでも嬉しい、というレベルです。私と同じような方々も、エッセイやコメントなどを見ていると、結構おられるようです。
しかし。
一次通過だけでも嬉しい、というのは、それより先に進む気はない、という意味ではありません。
例えば「先っちょだけだから」が先っちょだけでは済まなかったり、「キスだけだから」がキスだけでは済まなかったりするのと同じです。いざキスをしてしまえば、その先もしたくなるわけです。最初からそれより先を望む気持ちが全くないのであれば、「キスだけでいい」ではなく「キスこそがいい」になるはずですよね。
同様にコンテストでも「一次通過だけでも嬉しい」と「一次通過こそが嬉しい」は違います。一次選考だけ通過の可能性があるけれどそこで終わり、と最初から確定しているような応募形態は、意味がないだろう。そう感じてしまいました。
一次選考云々に関しては以上として。
第二のポイントは『他コンテストタグを外したうえでご応募下さい』という話。
重複応募にならないよう他のコンテストの応募をやめた上でネット小説大賞に応募する。その意味で「他コンテストタグを外せ」というのは理解できるのですが……。
それだけだと、外部のコンテストを想定していないですよね? コンテストタグを外すことで応募をキャンセル出来るのは、あくまでも「小説家になろう」内のコンテストのみ。世の中には、他にもたくさんコンテストが開かれているのに……!
私は最初、これを傲慢と感じてしまいました。「小説家になろう」内のコンテストしか想定していないなんて、まるで世界は「小説家になろう」だけ、みたいな思想と思えたのです。
でも、そうではないのですよね。ここで、コンテスト応募規定にあった『「小説家になろう」で開催されている他コンテストとの重複応募は』という文言が活きてきます。
主催者側でも、外部でコンテストが開かれているのは重々承知の上で「それに関しては不問」という立場なのではないか。こうして「小説家になろう」内のコンテストと外部のコンテストを区別している意識が、今回の回答文の1行目の『基本的に』という言葉に集約されているのではないか。
私はそう感じました。1行目の『基本的に』イコール『「小説家になろう」内のコンテストに関しては』という解釈です。
そもそも。
コンテストタグで容易に確認できる「小説家になろう」内のコンテストと異なり、外部のコンテストに関しては、重複応募しているかどうか調べるのは大変ですよね。
かなり数を絞って受賞を検討し始めたら、それらの作品に関して「よそのコンテストに応募しているだろうか?」と調べることも出来るでしょうが、何百何千とある段階では、実質不可能なのでしょう。
もしかすると『「小説家になろう」で開催されている他コンテストとの重複応募は禁止』という形で重複応募の禁止を『「小説家になろう」で開催されている他コンテスト』に限定したのも、「よそのコンテストへ応募しているかどうか、最初から調べる気は全くありません」という意思表示なのかもしれません。
それを感じたのは、今回の「重複応募でも一次選考は審査する」という宣言があったからでした。「小説家になろう」内のコンテストの重複応募ならば、コンテストタグを見るだけでわかる話なのに、そこを不問とするのは「一次選考の段階では数が多過ぎて、タグ欄すら見る気はないよ」ということなのかもしれません。
全ては邪推と妄想と想像に過ぎないのですが。
このように、今日は「よくあるご質問」を読んで、色々と考えてしまったのでした。