148 用意する食事を過大評価し常に求めてくる現地人の図々しさを丸ごと受け入れ食事提供奴隷になっているとも言える主人公さんの現状について
「またあのカレーとやらが食べたい!」
「俺はカツドンが食べたい!」
「私はカツサンドがいいわ!」
「私はポテトチップスとお酒!」
「もうまたですか~?」
(隠しきれない笑顔)
(引っ張りだこの求められている自分に隠し切れない笑顔)
(ただの食券販売機扱いなのに隠し切れない笑顔)
基本的にさ、身分の壁とかもあるんだろうけど、それに対抗できる愛し子とか迷い人とか聖女みたいなその世界では超優遇される肩書があるのになんできっぱり断らないんだろうって思わん?
ご飯作るのめんどくさくない?しかも人の。それに仕事でもないのに。
おそらくこれ性格も大きく関係してくるんだろうね。
人に頼られるのが好きとか、頼まれると嫌と言えないとか、つい人の世話を焼いちゃうとか。
そんなタイプの主人公さんなんだろうね。
でもさすがに多過ぎない?
なろう界の世話好き率。
何? 彼らに養育責任でも発生してんの? 産んですらないのに?
いつでもどこでも腹減ったあれ食べたいこれ食べたい!のコール。
拠点にまで押しかけるタイプの大人の人間(王族高位貴族高役職)の多さ。
そしてまたか~の気持ちがありつつも拒まない主人公さん。
時間停止マジックバッグ空間魔法を駆使して大量ストックまでして最大限要望に応えちゃう主人公さん。
毒見のことは気にするのに食中毒なんかはまったく気にしないおそらく食品衛生責任者の資格持ちだから異世界でも衛生管理に自信ありな主人公さん。
(他の人には内緒なんだけど、自分の拠点がある町のお偉いさんにご馳走しとけばその人が王都に行った際にペラペラうっかり自慢してくれるからその評判を聞きつけた珍しいもの好きの貴族王族にも見つかって料理提供の強制イベントが発生するんだよ!)
(事前に『目立ちたくない……』しとくの忘れないでね!)
料理が主人公さんのメインコンテンツ・スキルじゃないのに、当たり前に料理苦にならない、どちらかというと作るの好き主人公さん多くない?
ほんでなんかやけにレシピに詳しいの。料理好きとまではいかなくても詳しいの。
昔せっけん化粧水を自作したことがあるから異世界でも作れます!もこれにパターン似てるよね。
一般を知らんけど、全国民に『これまで石鹸を自作したことがありますか』『レシピを調べずにマヨネーズを手作りできますか』アンケートを取ったら%どのくらいいくかな。
間違いなくなろう界で見受けられるほどの高確率とまではいかないと思う。
自然派、学生の頃実習で作ったの覚えてるとかならワンチャンいけるか?
もちろんジョブとしてのシェフとかは除いて。
少なくとも私はレシピ覚えてません。
主人公さんは80%の確率で料理好きで手作り知識もたっぷり設定なのが異世界スタンダード。
あ、転移系転生系主人公さんてこの手の話に慣れてるって設定が多いからそれでマヨネーズ・石鹸の作り方知ってるのかも。
その小説では作り方も詳しく説明されてたから知ってる、みたいな。
これがメタってやつ?
なんにせよ鶏が先か卵が先かみたいな話ではある。
ほんで基本的に図々しんよな主人公さんに対して現地人て。
普段あんなに称賛!なのにしっかりと自分の我欲は押し通してくメンタルすげえっす。
まああれくらいのメンタルがないと身分差ばっちり異世界ファンタジーなんて生き抜けないか。
現地人も頭ええなあ。
わかりやすく賞賛して機嫌を取ってたら懐に入れてくれて自分では対処し切れない問題からも守ってくれて更に過剰レベルの施しまでしてもらえるんやもん。
食費ゼロも夢じゃない!
大金稼いでんのにね!
人の性格、特に相手の自己顕示欲レベルを見抜いたええ作戦やん。
さすがやん。
そんなあなた達の能力を見込んでお願いがある。
毎回「料理上手だね!」賛辞に対して、
「自分のはただの家庭料理だからすごくないの」
「有り合わせで作る家庭料理ができるだけなんだけどな……」
みたいな、地味にイラっとする謙遜してくると思うからその都度しばいといてくれ。
頼んだぞ。
家庭料理さんからも思い切りやってくれって嘆願来てるから頼んだぞ。




