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アンズ
入学式からしばらく経ち、クラスにも馴れてきた。と、言っても田舎の学校ではクラス替えをしてもほとんど見知った顔だ。
「流石は田舎ね」
ボソリと呟いた言葉は誰にも届かずに消えていった。
○o。..。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。..
この学校では五月には運動会がある。運動会に決めることといえば、あれがある。
「よし、お前ら応援団を決めるぞー!」
そう、これがある。
「はいはいはーい!俺、団長やりたい!」
そうすると自然にこいつの姿を見る。私の双子の妹、希鎖を。昔は私の後ろに隠れていた子だったのに、いつの間にか私の前に立つようになった。
「…………気にくわないわ」
そして、こいつが立候補したということは。
「あ、じゃぁ僕もやりたい」
「憲太君まで」
争い事が苦手で、ゆったりとした性格の憲太君が運動会の応援団に立候補するのは希鎖がいるからだ。こうなると、私がやることは一つだ。
「それじゃ、私も」
私は、こいつらを、絶対に、近づけさせない。
だって、それがきっかけで、こいつらがくっついたら、私は、一生…………
誰も、
愛せないから。