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すれ違い  作者: 心炎
2/6

俺は…………。

俺は昔から力が強かった。そっと触ってもすぐ何が壊れてしまうほど。

「何で物を大切にしないのよ!」

違う、大切にしてたよ、お母さんが買ってくれたそのうさちゃん。

「この乱暴者め!物を大切にしないやつは心がないんだ!」

違う、乱暴者じゃないよ、誤解だよ先生。

「お前は男だろ?女じゃねぇーだろー!」

違う、男じゃないよ、女だよ。

でも、届かないよね?この声も、この言葉も。

皆が私を責めている。

皆が私を攻めている。

自然と下を向いてしまう。

「も、もう、や、やめ…………。」

小さな声がまた、空気へと変わっていく。

「違うよ!」

声が聞こえた。上を見たら彼女が俺の目の前に立って俺を守ってた。

.。o○○o。..。o○○o。..。o○○o。..。o

パチリと、目が覚めた。

いつもと変わらない天井。いつもと変わらないにおい。

「…………朝だ。」

誰にも聞こえない声が鼓膜を刺激した。

なかなか動かない体に鞭を打ち、起き上がった。ボサボサの髪を軽く一つに結った。上手く結べた気がする。いつもはあんまり見ない等身大の鏡でチェックをしようとした。鏡に映った自分の姿を見て驚いた。

「泣いてるの?希鎖。」

赤くなっている眼。水が乾いた様な痕がある頬。そっとその痕を指でなぞった。自分で触ってるのに妙にくすぐったかった。

「…………。」

それからすぐに顔を手のひらで覆った。

「演じろ。お前は誰だ?」

手のひらをとって、再び顔を鏡に映した。

「お前は本田希鎖だ、沙紀を守るナイトだ!」

少し大声で言った。髪の毛を強く引っ張った。痛みが脳を刺激するが気にしなかった。

「俺は、男だろ!」

不気味な笑顔は闇そのものだった。

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