孤独ドラゴン
私はドラゴンである。
大きな牙と硬い鱗をまとったドラゴンである。
尻尾もあるし、足も太いドラゴンである。
この暗い洞窟の出口はどこにあるのだろうか。
ゴツゴツとした岩が沢山ある。私はそこを通れなかった。
私は元々人間であった。
姿も声も人間であった。
私が外を出ると、人間たちが私を嫌って逃げていく。
だから私はこの洞窟から出ない。
私がこれまでどうやって生きていたか分からない。
私は言葉を喋ることができる。
両親の顔なんて覚えていなかった。覚えたくもなかった。
そう、私はこの洞窟に捨てられた。
私がドラゴンになってしまったせいである。
私が洞窟に出たことは一度だけだが、この足にまだ銃弾が残っている。
たくさんの悲鳴、そして私が元々人間であることは両親と私しか知らないので逃げていくなんて当然のことだと思う。
けれども私はどうにかなると思った。誰かが救ってくれるかと思っていた。
私は、私は……何も悪いことしていないのに。
そうだ、ここに私の墓を作ろう。