【閑話】歯車
巨大な交換器が歯車を軋ませると、少女の番が来た。 「私は殺されたんですよ! ついさっき。びっくりして、悲しくて、痛いよ。こんな目に だれもあわせたくない」 少女がしゃべり終わる前に、交換器は次の発言者にガチリと替わる。 「そりゃそうでしょう、あなたはここに居る。皆もそう、いっぺん死なない事にはここには居ませんから。私も昔はアレに食われましたよ。そりゃもう、ゆっくりとね、昔は甘くなかったですからね、今みたいに即死じゃなかったんですよ、ゆっくりつぶされて死ぬなんて、おお嫌だ」 早口でまくしたてる少年も交換器にガチリと輪転される。 「お前の昔は酷かったはもういいよ。今は次の候補を決める会だろ。次に入れてやるのは誰にする? 早くしないとあいつみたいに、どこかの生命線に絡めとられるぞ」ガチリ「あの青い生命線、略して青命線に絡め取られたらどうなるんだ? 嫌な目にあうって決めつけたもんじゃないだろ?」がチリ「……わ、私に聞く? そ、そりゃ分からないわよ。分からないから怖いんじゃない。そんな訳の分からない事に、同級生を任せる? じ、冗談じゃないわ」ガチリ「そうだ、無責任だ。それに青命線に引き抜かれるのはレアだろ? それまでにコッチに来ないと、いつまでも学校に居続ける事になる。それが幸せなのか?」ガチリ「私も少し前に殺されたけど、そりゃね、その時は大変よ。嫌よ。だけど今は今で落ち着いたわ。こうして」ガチリ「そう、どこに行くか分からないならば、普通がいい。歯車には歯車の幸せがある」ガチリ、ガチリ、ガチリ……




