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自力で転生した少女  作者: 10bit
第8章 再会
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第55話 絶望

 翌日、私たちは地下4階へ足を踏み入れるべく、ダンジョンへ向かって街の中を歩いていた。


「そういえば、昨日の地下3階のボスは思ったより早く倒せたね?100人超えのパーティーで攻撃しても倒せてなかったはずだけど。」

 ミリーナさんがふと昨日のボス戦で気になったことを話題に出す。

「恐らくはこちらのダメージ反射とボスのダメージ反射は仕様が違うんじゃないかな。」

 私が推測を話す。

「どういうこと?」

「……我らはダメージをすべて受けた後で一定割合相手にダメージを与える。ボスは一定割合のダメージを跳ね返した後で残った分のダメージだけを受ける。」

 ルアノちゃんが詳しい説明を求め、プラノが説明する。

「なるほど!」

「そうだとすると、普通に攻撃していたんじゃもっと火力が必要になるわね。」

 シャムが頷き、マローネが話を広げる。

「つまりダメージ反射が正攻法と言うことじゃな。」

「もしかしたら他にも反射対象外の攻撃があるのかもね。」

 メヴィが結論を言い、私が可能性を付け加える。

「まぁとりあえずじゃ。地下4階に早く潜るぞ!」

 メヴィは待ちきれないとばかりに走り出した。シャムも同感とばかりに一緒に走り出す。残りは私がゆっくり行こうかと提案し、それに賛同して今までと同じペースで歩いて向かう。


 後から到着した私たちが地下4階に行くと、そこは森だった。下は土の地面で草が生えている。かなり高いが石造りの天井が見える。森になっているところは天井に突き刺さるように木が伸びている。

 先に地下4階に降りていたメヴィとシャムがこちらへ戻ってくる。

「ここからは雰囲気が変わるようじゃな。」

「モンスターも今までより小さくて、攻撃が当てにくいかも。」

 メヴィとシャムが先に見てきた結果を話す。とりあえず私たちも奥に進み、モンスターを確認する。

「2mくらいの狼型のモンスターか。確かに今までよりは小さいね。」

「他にも1mくらいの小型の狼や5mくらいの少し大きめの熊も居たよ。」

 シャムが私の言葉に対して、追加の情報を伝える。

「まぁ魔物なら本来これくらいの大きさが普通じゃないかしら。」

 マローネの感想には私も同意する。今までの20m超えが当たり前の大きさというのが異常なのだ。あの中で一番小さかったのは地下1階の最初に出会ったゴーレムである。

「的が小さかろうが関係ないのじゃ。さっさとレベル上げをするぞ。」

 メヴィはそう言うと、目の前のモンスターに襲い掛かる。私たちもそれに続いてレベル上げを開始した。


 昼食を食べに一旦街へ戻り、食堂に入った。

「うわっ。ちょっとあれ見て!」

 みんなで席に着いて注文し終わった時に、シャムが食堂にあるモニターを指差す。

「どうしたんじゃ?…あああ!もう地下3階をクリアしてるのじゃ!」

「あ、ほんとうだね。」

 メヴィがショックを受けたように叫び、ミリーナさんが素っ気なく返す。

「攻略法が分かれば大して難しくないものね。仕方がないわ。」

「そうよ。昨日も話題にしてたじゃない。」

 マローネがメヴィを諭すように言い、ルアノが何を今更と言う。

「分かっとる。分かっとるんじゃが…実際こうなると悔しいのぅ。」

「え、そう?」

 メヴィは悔しがってるが、私は別にそういう風には感じない。

「シルちゃんって結構淡白だよね。」

 ミリーナさんが私の事をそんな風に言う。確かにそうかもしれない。


 私たちが昼食を終え、地下4階に戻ると既に多くの人がレベル上げをしていた。

「あっという間じゃな…。わらわたちも負けておれん!どんどん倒すのじゃ!」

 メヴィは負けじと私たちに発破を掛ける。まずは狩場を見つけるところからかな。


 1週間後、食堂で昼食を食べてるとまたシャムが声を上げてモニターを指差す。

「ぶはっ?!ちょ、まじ?!みんな、あれ!」

「ちょっとシャム?!吹き出さないでよ、汚いわね…。」

 シャムの正面に座っていたマローネが吹き出された食べかすを浴びて抗議の声を上げる。

「まったく汚いやつじゃのぅ…ぶほぉあ?!馬鹿な?!ありえんのじゃ!」

 自分で言ってるそばから何やってるんだか。メヴィが飲んでた水はプラノに掛かった。

 私もモニターを見ると、そこには地下4階のボス戦に勝利した動画が流れていた。

「はやっ!大人数でゴリ押しかぁ。」

 私が感想を漏らす。どうやら地下1階、2階と同様のゴリ押しが地下4階でも有効だったようだ。モニターに映ったプレイヤーは装備も充実し、動きも心なしか以前より良くなっている気がする。地下3階で随分鍛えられたんだろうか。

「ぐぬぬぬ…!」

 メヴィが悔しそうにしている。

「まあまあ。ボス戦は大人数で挑むのが基本なんだから仕方がないよ。」

 私はメヴィを落ち着かせる。

「…ふふふ。ふはははっ!今回もわらわたちは少人数で工夫して倒すぞ!すぐに追いついてやるのじゃ!」

 無謀な24時間レベル上げとかはしないらしい。意外と現実的だな。


 次の1週間後、今日も朝からダンジョンに向かっていると、またまたシャムが声を上げて街中にあるモニターを指差した。

「ちょ、えええええ?!」

 デジャブである。続きがなんとなく想像できた。

「どうしたんじゃいったい…ぬぁあああああ!」

 うん、分かってた。メヴィが悲哀の叫びを上げている。

「地下5階でも攻略された?…やっぱり。」

 私の推測は正しかったようだ。今回も大人数でゴリ押ししたようだ。

 シャムがその場に固まり、メヴィが崩れ落ちて両手を付いている。ちなみに私たちはまだ地下4階を攻略できていない。


 その後、1週間毎に地下6階、7階と大人数のゴリ押しで攻略されてしまった。私たちはいまだ地下4階で苦戦中である。


「こんなはずではなかったのじゃ…。」

「おかしい…おかしいよあの人数は…。」

 メヴィとシャムは魂が抜けたように、その光景をモニター越しに見ていた。地下7階に至っては300人超えで挑んでいた。


 確かに300人超えはちょっと…と思う。その日はダンジョン攻略開始から初めて、ダンジョン攻略をお休みすることにした。




 今日中に本章は終わります。次章は今書いてるところなので、進捗具合によっては1日1話になるかもしれません…。

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