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自力で転生した少女  作者: 10bit
第8章 再会
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第53話 マスコット

 地下2階のボスを討伐した日、私たちは以前と同じく酒場で勝利の祝杯を上げた。今回もモニターに私たちのボス戦に関するものが流れている。

 このモニターでは注目すべき結果を残した者が積極的に取り上げられるので、今日は私たちのボス戦以外に注目すべきものが無かったということだろう。

 相変わらず大量のランキングがあって、その中のいくつかに私たちのパーティーが入っている。

 プラノは前回の反省からか、既に部屋に帰ってしまった。メヴィとシャムは周りを巻き込んで大騒ぎしている。私はミリーナさんとマローネの3人で端っこの方で比較的静かに勝利をお祝いしている。


 翌日、勝利の余韻を残しつつも、私たちは部屋で今回のボス戦についての考察をすることにした。

「今回は事前に情報の無かったボスの急な能力の上昇について、考察したいと思います。」

「うむ。今回の戦闘動画を見たが、5時間と10時間の経過時に発生しておるようじゃな。」

 メヴィがランキング上位者の戦闘動画から私たちの今回のボス戦の動画を取ってきて、調べた結果を教えてくれる。

「感覚的なものになるが、5時間の時は攻撃力と素早さのみの上昇じゃったと思う。大体2倍くらいじゃないかの?」

「うんうん、そんな感じだと思う。」

 シャムが同意する。

「10時間の時は赤いオーラが出ていたから、多分地下1階でメヴィとプラノが使ってたやつと同じ可能性があるね。」

「……攻撃が通らなかったから、多分そう。」

「わらわも同じじゃ。恐らく全ステータス10倍じゃな。」

 10時間の赤いオーラはやはり全ステータス10倍のようだ。

「普通に考えて長期戦防止のためかしら?」

「恐らくは。」

 マローネの推測に私は賛同する。

「今回はどうにかなったが、今後は厳しいじゃろうな。ボスで覚醒なんぞされたらダメージが与えられんわ。」

「……多分回避も難しくなる。」

「そう思うと今回ってほんとぎりぎりだったんだねー。私の最後の攻撃も多分カスダメージだったと思うし。」

 シャムでもやはりほとんどダメージを与えられてなかったようだ。

「でも、どうしてそんなことになってるんだろうね?」

 ミリーナさんが疑問を口にする。

「多分魔人対策かな。魔人は連続で何日でも継続で戦闘できるけど、普通の人は無理だからね。魔人が有利になりすぎないためにそうしたんだと思う。」

「なるほどのぅ。アオもなかなか考えたもんじゃ。」

 前世でもそういった仕様はあったので、アオはその辺から採用したのだろう。アオには前世を含めた私の記憶を渡してあるので、いろいろと参考にしていると思われる。

「ま、今後は短期決戦で倒せるように工夫するしか無いのぅ。地下2階からは随分と多様な装備やアイテムがドロップするようになったからの。今後もどんどん種類が増えるじゃろ。」

「そうだね。じゃぁ、とりあえず地下3階でレベル上げを始めますか。」

 私たちは早速ダンジョンへレベル上げに向かった。


 ダンジョンへ向かうために部屋を出て玄関ホールに降りたところで、一人の小さな少女が居た。

「あれ?ルアノ様?どうしてこんなところへ?」

 ルアノ様だ。シャムがルアノ様に声を掛けた。

「ひ、久しぶりね。もう従者じゃないのだからルアノでいいわ。

 …その…わ、私もパーティーに入ってあげてもいいわよ!」

 あらやだ、かわいい。ルアノ様は耳を真っ赤にして、そっぽを向いている。

「なんじゃ、この偉そうなガキは。」

「ひっ?!」

「……マスコット。」

 ルアノ様がメヴィに怯えてる。

 そうだ、プラノの言うように私たちのパーティーのマスコットにしよう。

「ありね。」

「ありだね!」

「…ありだわ。」

 ミリーナさん、シャム、マローネと同意する。

「ふむ、なるほど。ツンデレと言うやつじゃな。ルアノじゃったか。わらわたちの仲間に入ることを認めよう!今日からわらわたちは友じゃ!」

 メヴィがふははと笑いながら、ルアノの頭をくしゃくしゃに撫でる。

「う、ゃぁ〜〜〜………。」

 ルアノ様が目を回して、可愛らしい悲鳴を上げていた。


 途中、ルアノちゃんを回収して、ダンジョンへと着いた。本人も普通に接してくれていいと言うことだったので、ちゃん付けで呼んでいる。

「まずは地下1階をクリアしてくるかの。わらわとプラノ、シル、ルアノで行くぞ。残りの3人はちと待っててくれ。」

「りょーかいっ!」

 私たちはまずルアノちゃんをレベル1のまま地下1階をクリアさせた。

「す、すごいわ。」

 ルアノちゃんがメヴィとプラノの動きを見て驚愕している。

「さて、地下2階はどうしようかのぅ。」

「私が一緒に付いてレベル上げするよ。ある程度レベルが上がったら、デミアルト様のところで地下2階を攻略する際に連れて行ってもらえればいいかなって思うのだけど。」

 ミリーナさんが提案する。

「それが無難かもね。2人の地下3階進出が遅れるけど、その分私たちがレベル上がればいいし。」

 私もミリーナさんの提案に賛同する。

「地下2階は余裕がなかったしのぅ。おぬしらに任せるのじゃ。」

「いきなり足引っ張っちゃってごめんなさい…。」

 ルアノちゃんが落ち込んでしまった。

「……気にすることない。」

「そうよ。新しくダンジョン攻略に参加する人はみんな通る道だわ。」

 プラノとマローネが励ます。それにしても、プラノが随分と積極的に関わるな。そんなに気に入ったんだろうか。

 とりあえず方針が決まったので、ミリーナさんはルアノちゃんと地下2階でレベル上げ、それ以外のメンバーは地下3階でレベル上げを始める。



 地下3階でレベル上げをしている時に、プラノがそわそわしていたのは気のせいじゃないだろう。どんだけご執心なんだ。




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