第51話 友達
面会の後、私とミリーナさんたちは再会を喜び、抱きしめ合った。
「……我は認めてない。」
「あれ、ダメだった?」
「別に構わんぞ。シルの友なのじゃろう?プラノは人見知りしとるだけじゃろ。今じゃから分かるが、こやつは正真正銘の引き篭もりじゃな。まぁわらわたちのおかげでだいぶ良くなってきたがのぅ。」
メヴィは感謝するのじゃと、にやにやしながらプラノを突いている。
「えっと…私たち、一緒に活動してもいいのかな?」
「あ、うん。大丈夫だよ。」
ミリーナさんが心配して尋ねてきたが、私は問題ないと返した。
ここで話すのもなんだからと、私たちの部屋にミリーナさんを連れて行く。あの部屋にはデミアルト様も居たからね。
私たちの部屋に着くと、早速自己紹介をする。
「えーと、このメンバなら特に隠し事は必要ないかなと思います。なので正直に自己紹介しましょう。」
「大丈夫なのか?」
メヴィが確認してくる。
「大丈夫…だよね?」
私はミリーナさんを見る。
「あ、うん。大丈夫だよ。秘密はちゃんと守るから。だよね?」
ミリーナさんがシャムに話を振る。
「そうそう!シルちゃんの秘密もずっと隠してきたしね。安心して!マローネもそうだよね?」
シャムがマローネに同意を求める。
「ええ。秘密があるなら守るわ。それに、別に無理に聞き出したりはしないわ。」
みんな大丈夫そうだ。
「ふむ。では、わらわから名乗るかの。わらわはメゾヴィーナ、おぬしらの国の北を縄張りにしていた魔人じゃ。呼び方はメヴィでよいぞ。退屈しておったところにこやつ、シルを見つけての。面白い遊びをたくさん教えてもらったのじゃ。このダンジョンもシルが提案してくれた遊びじゃ。
わらわはこのダンジョンでトップランカーを目指しておる。一緒に活動するからにはおぬしらにも廃人プレイを要求するから覚悟するのじゃ!」
メヴィは最後には熱くなって語っていた。
「……彼女たちは魔人じゃないから我らには付いてこれない。死ぬ。適度でいい。」
「む。確かに食事も睡眠も必要じゃったな。ま、廃人はそういうのも込みじゃからな。もちろん、死なん程度で構わんぞ。」
プラノが止めに入るが、メヴィはあくまで廃人プレイを要求する。まぁ死なない程度なら構わないか。
「ミリーナさんたちは別に無理しなくていいからね?」
一応私は補足しておいた。
「あー、うん。なるべく頑張るね。じゃあ次は私でいいかな?
私はミリーナ。シルちゃんとは鬼人の頃からの付き合いで、私の家で一緒に暮らしてきたの。私にとってシルちゃんは妹みたいな感じで、ずっとシルちゃんには癒やされてたよ。」
「……確かに小動物みたいで黙ってれば癒される。」
黙ってればってどういうことだ。というか、意外とプラノもそういう感性を持っていたのか。そういえば野菜の成長をじっと眺めているのが好きみたいだし、そういう感性があってもおかしくはないのかもしれない。
「じゃあ次は私かな?私はシャムーティア。みんなからはシャムって呼ばれてるよ!シルちゃんとは一緒に冒険者をやってたんだ。寝床もシルちゃんと同じくミリーナさんのところにお世話になってて、一緒に暮らしていたよ。噂に聞くダンジョン攻略は前々から面白そうだと思ってたんだよね!私もトップランカー目指して頑張るよ!」
「ふっ。トップランカーの座は譲らんぞ。じゃがその心意気、気に入った!わらわとともにダンジョンを突き進もうぞ!」
「おー!」
シャムはダンジョン攻略を楽しみにしているらしい。もう既にメヴィと意気投合して盛り上がっている。
「…次は私でいいかしら?私はマローネ。シャムと一緒に冒険者をやっていた時に、シルと出会ったわ。その時シルが使った冷却魔法に惹かれて、シャムと一緒にシルと活動することにしたの。シルが鬼人だった頃も知っているし、死ぬところも目撃したわ。そして、シルが作った魔道具で魔法で動く生命になったことも。その後も一緒に活動してきて、魔人と戦うことになった時はすごく心配したわ。でも、それも杞憂だったみたいね。意外と気さくな人で安心したわ。
そういえば、メヴィさん、でいいのかしら。私たちよりずっと永く生きてらっしゃるのよね?もっと敬った態度の方が良いのかしら?」
「ん。堅苦しい態度は必要ないぞ。わらわたちはこれから共にダンジョン攻略をしていく仲間なのじゃ。つまり、友じゃ!友に堅苦しい態度は必要ないのじゃ。」
メヴィが友達宣言をする。他でもこんなことしてるのだとすると、あちこちで一方的に友達宣言とかしてそうだ。私の居た国の昔の国王とも友達だったりするんだろうか。
「あ、じゃぁ私も堅苦しい態度はなしでいいよ、シルちゃん、シャムちゃん、マローネちゃん。今はもう私の家で養ってるわけではないから、気にするところもないでしょ?」
ミリーナさん、今まで私たちに気を使って遠慮してたのかな。
とりあえずまだ自己紹介していないのはプラノだけである。みんなでプラノに注目する。
「……我はプラティーノ。よろしく。」
「こやつのことはプラノと呼んでやってくれ。」
メヴィが補足する。
一通り自己紹介が終わり、その後はみんなでワイワイ雑談していた。途中でプラノは騒がしいのを嫌ってどこかに行ってしまったが、恐らく野菜畑とかだろう。夜にはプラノも戻ってきて一緒に食事をし、一日が終わった。
明日からは早速ダンジョン攻略に向かう予定だ。
それにしても、急に賑やかになったなぁ。
人数が増えて、会話だけで物凄い行数になってしまいます…。