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自力で転生した少女  作者: 10bit
第7章 魔人
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第48話 覚醒

 私とメヴィとプラノの3人で、今日も地下1階で一番強い銅の騎士像を乱獲している。


 レベルが上がり、固定ダメージスキルや高威力が加算されるスキルを習得できたので、今では数発入れれば倒すことが出来る。持ち前の素早さで次のモンスターまですぐに移動できるので、なかなか効率はいい。

「またレベルが上がったのぅ…おお?!また新しいスキルを覚えたぞ!」

 一人でも倒せるので、散らばって戦っていたこともあり、私たちにも聞こえるようにメヴィが大声を出して言った。

「やったじゃん。…こっちも覚えたみたいだけど、ヒールの強化系だよ。そんなに回復する必要ないよぅ…。」

「こっちは…きたぞ!一定時間覚醒モードで全ステータスUPじゃ!これでボスも倒せるんじゃないかの?!」

「……我も同じの覚えた。」

 なんと、全ステータスUPとか強すぎじゃないか。確かにかなりレベルを上げたが、いかがなものだろう…。


「とりあえずスキルを試して、それからボスを倒しに行こうか。」

「うむ。そこらの雑魚では瞬殺じゃろうし、中ボスを相手にするかの。」

「……それならさっき、あっちで見かけた。」

 中ボスというのは、フィールド上にいるボスモンスターだ。専用の部屋に移動して戦う各階のボスと比べると弱いが、雑魚モンスターよりかは桁違いに強い。

 私たちはプラノに案内されて中ボスのもとに向かう。案内された先には大きなゴーレム、ビッグストーンゴーレムが居た。

「早速使うのじゃ!」

「……待って、我も使う。」

 メヴィが中ボスを見つけるや否や、すぐさま覚醒スキルを使った。それに続いてプラノも覚醒スキルを使う。


 すると、2人が赤いオーラのようなものに包まれ、残像を残しながら突撃していく。中ボスの懐に入るとたった1秒の間に何十発の攻撃を叩き込む。

 そして、数秒後には中ボスは崩れ落ち、黒い靄となって消えていった。


「…まじか。」

「…予想以上の火力じゃな。」

「……まだスキルの効果、残ってる。」

 いつもなら10分程度は戦うものなのだが、たった3秒で倒しきってしまった。

「あれじゃな。素早さと攻撃力が10倍になって、100倍のペースで倒せたんじゃろう。いつもは攻撃を躱す時間もあったが、今回は攻撃される前に終わったからの。」

「チートでしょ…。」

「……チートじゃない。仕様。」

 これならボス戦も余裕だろう。


 私たちは一旦街に戻り、一定時間ステータスの上がるアイテムを購入した。街には街が運営する公式ショップがいくつもあり、買い物はダンジョン内のモンスターを倒したり、獲得したアイテムを街の公式ショップで売ったりすることで得られる仮想のお金でできる。ステータスUPのアイテムがなくても、あのスキルだけで倒せるとは思うが、最速クリアを目指すためである。

 そして私たちは何度目になるか分からない地下1階のボス戦にたった3人で挑んだ。


 ボス戦専用部屋に入ると、入り口が閉まり、中ボスより更に大きいゴーレム、キングストーンゴーレムが中央に降ってきた。

「先手必勝なのじゃ!」

「……瞬殺する。」

 2人はステータスUPのアイテムを使い、ボスに近付くとすぐさま覚醒スキルを使う。

 2人が物凄い速度で攻撃し続ける。ボスが攻撃を食らいながらも、2人へ殴り掛かったり、岩を飛ばしてくる。しかし、2人はその攻撃をほんのわずかな移動で躱し、さらに移動しながらも攻撃し続けていた。

 覚醒スキルのエフェクトも相まって、かなり派手なエフェクトを撒き散らしながら攻撃すること約5秒。ボスは地響きを鳴らしながら崩れ落ちていき、黒い靄となって消えていった。

「うおおおおお!?倒したのじゃ!ついに倒したのじゃ!」

「……我、歓喜!」

 メヴィが勝利の雄叫びを上げ、プラノが拳を握りガッツポーズを取る。

「すげー。私、ここまでレベル上げたのに何もしなかったんだけど…。」

 私は2人の様子をただただ見ているだけだった。


 私たちは地上へ戻り、酒場で勝利の祝杯を上げていた。魔人でも一応味は分かるらしい。

「初めてのお酒はいかが?」

「ぷはぁー!勝利の後の酒はうまいのぅ!というか、昔にも酒は飲んだことがあるのじゃ。」

「……苦い。」

 プラノの舌には合わなかったらしい。それにしてもメヴィは昔飲んだことがあるのか。王国と交流でもあったのだろうか?

「君たち、あの地下1階を最速クリアしたパーティーじゃないか?」

「おっ、あのメンツじゃねぇか。あんたらすげえな!モニターに流れてるのを見た時は目ん玉が飛び出るかと思ったぜ。」

「ほんとだほんとだ。意外と若かったんだなぁ。」

 周りで飲んでいた人たちが段々と集まって声を掛けてくる。

「ふっはっはっ、わらわの手に掛かればボスモンスターでも瞬殺じゃ!」

「……帰りたい。」

 メヴィはテンションが上がり、周りの人と一緒に盛り上がって騒ぎ出した。プラノは人に絡まれるのが嫌なようで、不機嫌そうにしている。

 酒場にあるモニターで私たちのボス戦が繰り返し流され、別のモニターでは地下1階のボス戦攻略時間ランキングでダントツ1位に私たちのパーティーが載っていた。


 明日から道行く人に注目されそうだなぁ。




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