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自力で転生した少女  作者: 10bit
第7章 魔人
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第46話 始動

 耳の横から先が分かれた鹿のような黄色い角を生やし、血の気のある白く綺麗な肌の魔人の少女。青藍の瞳に、腰までさらり伸びた艶のある紺色の髪。背は150cmほどで、メヴィより少し背が高い。名前はプラティーノというらしい。メヴィからはプラノと呼ばれている。

 そのプラノは今、両刃の薙刀を装備している。そしてメヴィは自身の体より大きな剣を持ち、私は小さめの杖を持っている。

 私もメヴィやプラノと合わせて、頭に角を生やしてみた。角と言っても、鬼人だった時の小さな2つの突起である。


 ダンジョンが開かれてから約3ヶ月が経った。人々は積極的にダンジョンの攻略を進め、動きもしっかりしたものとなってきた。私の居た王国からは恐らく貴族の遠征部隊が来ているようで、慣れればそれなりの動きである。もう一つの王国から来ている人たちも同じような雰囲気なので貴族だろう。こちらもそれなりの動きをしている。

 彼らが積極的に攻略を進めだしたのには理由がある。それはダンジョン内で獲得したアイテムの一部が実際に持ち帰れるからだ。魔力で構築したものだが、大量の魔力を含む魔石も一緒にすることで、街の外でも使うことができる。魔石自体もドロップし、その魔力量は外の魔物が落とすものとは桁違いである。

 加えて、魔人からの宣告という形で移民を募った。人が多いほど強い者が育つだろうと、ようは数うちゃ当たるである。といっても、勝手に各国から連れてくるわけには行かないので、各国から来ている人たちのリーダー的な人にアオが直接交渉に行った。交換条件には攻略期限を伸ばすことを提案した。

 攻略期限というのは、魔人が人の成長に見切りを付ける基準である。つまり、その期限内に攻略を終えなければ、世界を滅ぼすと宣言しているのだ。直近は半年以内に地下10階を攻略することとしていたが、移民の受け入れで1年以内と伸ばすことにした。約3ヶ月経った今でも、まだ地下2階までしか攻略できておらず、現在地下3階を攻略中である。

 他にも魔石やら魔道具やらを積み上げて、希望する者だけで良いので移民を募ってもらうようにお願いした。この街までの道中を安全に移動するための障壁魔法の魔道具なんかも大量に用意した。必要ならと、空飛ぶバスのような魔道具も用意した。障壁魔法付きで。もちろん、街の中での安全も保障すると伝えてある。かなりこちらが下手に出ているように見えるが、まぁものは言いようである。

 そういった涙ぐましい努力…頑張ったのはアオだけだが、今では街の住民は数十万人となっており、住民は増え続けている。それに合わせてダンジョン攻略に参加する人も増え、中には他種族のものも含まれるようになった。街の噂はまたたく間に広がり、その生活の豊かさに理想郷とさえ言われ始めたのも大きい。


 そんなわけで、どうにか様になってきたところで私たちもようやく攻略を始めたわけである。ちなみにダンジョンの細かい仕様や運営は、街の管理者であるアオに頼んだ。なので私も他のプレイヤーと同程度にしかこのダンジョンのことは知らない。

「フッフッフ。すぐに追い抜いてやろうぞ。」

「ていっても、まだ地下3階までしか到達出来てないみたいだけどね。」

「……フンフン。」

 プラノは薙刀を素振りして、まだかと待ち構えている。

「じゃあ行こうか。」

「わらわの華麗な動きを見せてやろう!」

「……我も凄いところを見せる。」

 私たちは意気込んで地下1階を進んでいく。


 そこは天井の高いゴシック風の建物の中のような空間で、進路が緩やかなカーブになって続いている。薄暗くなっているせいもあって、奥が見えづらい。

 しばらく進むと、体長10mはある大きなゴーレムが現れた。

「よし、きたのじゃ!」

 メヴィがすぐさまゴーレムに飛びかかる。ゴーレムの巨体から繰り出される攻撃を難なく躱し、目にも止まらぬ斬撃をゴーレムに浴びせる。小さな体でどうやってその大きな剣をそこまで振り回せるのかと思うくらいに素早い。

「ふっ、どうじゃ。」

「すごぉー。さすがだね、メヴィ。」

 メヴィは動きを自慢してくる。が、ゴーレムはあれ程の斬撃を受けたにも関わらず、平然と動いている。

「……次は我。」

 今度はプラノがゴーレムに攻撃する。両刃の薙刀を巧みに操り、ゴーレムの攻撃を軽やかに受け流しては斬りつけていく。

 すぐにメヴィもそこに加わり、ひたすらに攻撃を繰り出し続ける。

 そして攻撃し続けること10分。ようやくゴーレムを倒し、ゴーレムは黒い靄となって消えていった。ゴーレムが居た場所には魔石が落ちている。

「なかなか強かったのぅ。」

「……確かに。けど一撃も食らわなかった。」

「いやいや他のプレイヤーは数十秒で倒してるからね?」

 そう、ゴーレムが強かったわけではない。このゴーレムはチュートリアル用のモンスターも兼ねていて、見た目よりも弱い。仮に攻撃を受けても、まず死ぬことはない。

 では、なぜここまで苦戦したのか。それはこの2人がステータスを素早さに全振りしたからである。


 普通のプレイヤーは、この魔力で作られた体に移るとその身軽さに驚く。身体能力が高いので、自分が思っているよりも身軽に動くことが出来るのだ。そのため慣れるのに苦労するのだが、魔人たちには逆に思ったよりも体が動かないと感じてしまう。そこで、キャラクター作成時に普通なら攻撃力や防御力などのステータスに割り振るところで、魔人たちは素早さに全振りし、なるべく元の体の感覚に近くなるようにしているのだ。その代償として、見た目は激しい攻撃でもほとんどダメージを与えられないし、紙装甲なので回避し続けなければならない。

「まぁ、後半になればこういう特化型が強くなるもんじゃろう?特にこの素早さ特化はプレイヤースキルが要求されるからの。なかなか真似はできんと思うぞ。」

「……そう言うシルも素早さ特化だし。」

「私だって体の動きが鈍いのはストレスなんだもん。」

 見ての通りにこの2人は戦士職だが、私は回復職だったりする。なので、攻撃魔法は今のところない。

「とりあえず序盤はシルも殴るのじゃ。わらわたちと大して攻撃力も変わらんじゃろ。」

「それはそれでどうかと思うけどね…。」


 その後は私も戦闘に参加し、ひたすら攻撃し続けてレベル上げをした。初っ端から長いレベル上げが待っているとか、どんな縛りプレイなんだか…。




 スマホのドキュメント編集アプリで書いているのですが、投稿後の見た目は最初の頃しか確認していませんでした。それで、先日久しぶりに確認してみたら、だいぶ読みづらくなっているなぁと思いました。書き方も結構変わっている気がします…。良い意味でも、悪い意味でも。

 今更編集する気も起きないですし、それだったら話を進めたほうが良いと思うので、本作はこのままいきます。だいぶ書き溜めがなくなってきたので、投稿が追いつく前に最終話を書き上げたい!って感じです。




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