表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自力で転生した少女  作者: 10bit
第7章 魔人
50/85

第45話 解放

「だいぶ人が集まってきたねぇ。」

 街にはそれぞれの王国から派遣されてきた人たちが集まっていた。その顔色は不安や恐怖に満ちていたり、これから何が起こるのか期待に満ちていたりと人それぞれである。

 この街は魔族領と呼ばれている大陸北の土地に、突如として現れたものだ。さすがに何もしていないとなかなか気付いてもらえないので、各国の門の少し離れたところから街道を伸ばしてみた。魔物が闊歩しても壊れないように魔法で補強してある。

 各国はこの街道を怪しみ、調査名目でこの街まで来た。この街にまで来てもらえれば、街の住人代わりのふわふわ玉にここが何なのか説明させればよい。


 …ここは魔人が作り出した街である。魔人は永い時を強き者が訪れるまで待っていた。しかし、いくら待てどもそれは現れなかった。業を煮やした魔人はこの地に地下迷宮を生み出し、強き者を育てることにした。

 人々よ。この地で強くなるが良い。さもなくば魔人はこの世界に絶望し、すべてを葬り去ることだろう。


 この不思議な街に、この説明で、調査に来た人々はすぐさま自国へと戻り、動き出したのである。もちろん、話をすべて鵜呑みにしたわけではないだろう。しかしながら人知を超えた出来事が起こり、それに魔人が関わっているかもしれないとなれば調べないわけにはいかない。

 各国から来た人たちは、この街を長期に渡って調査できるように食料や装備を持ち込んだ。水や寝床は街に完備してあるので問題ない。見たこともない設備に人々は驚き、研究を始めた者もいる。

 ダンジョンの公開は街にある程度人が集まり、生活が整ってからにしていた。そのこともふわふわ玉を通して伝えてあったので、人々はその日を様々な面持ちで待ち構えている。



 そして、ついにその日がやってきた。日が沈み、辺りが暗くなったところで、ダンジョンが光り輝く。街には重々しい声が響き渡り、ダンジョンの始まりが告げられる。ダンジョンの扉が開かれ、人々が慎重に警戒しながら中へ入る。

 そこは大きな広間となっており、黒く輝く珠が嵌められた腰ほどの高さの台座が乱雑に並んでいる。ここにもふわふわ玉が居り、ダンジョンの説明をする。


 このダンジョンに入るには、黒く輝く珠に魔力を流せばいい。そうすると、自身の体が障壁魔法に包まれ、固定される。そして意識だけが地下へと飛ばされ、魔力で作られた体を動かすことになる。地下へ飛ばされるまでの間に、最初はキャラクター作成などの作業が入る。今回はジョブと種族を選べるようにしてみた。種族を選べるようにしたのは、私たちの見た目を怪しまれないようにするためである。

 地下へと飛ばされた後は、特殊な陣を構築することでメニュー画面を開ける。そこから、獲得したアイテムや現在の装備、ステータス、ログアウトなどが出来るようになっている。この世界の人には頭の中で陣を構築して魔力を流す一連の流れは慣れたものである。体は魔力で作られたものなので、当然ダンジョン内で死んでも、地上にある本体が死ぬことはない。デスペナルティは装備及びアイテムの全損失と経験値ダウンである。

 経験値があることから推測できる通り、レベルが存在する。このダンジョンでは各階ごとにレベルが存在し、階が変わるとイチから育て直すことになる。他の階のレベルアップで覚えたスキルなども使うことは出来るが、威力が軽減されてしまう。


 そういった説明を受けた人々が一人また一人とダンジョンに入っていく。私たちはダンジョンに入った者たちの様子を手元のモニターで観察する。ちなみにこの街の様々なところにあるモニターでも見ることが出来るので、この街に滞在している人たちも観察可能だ。

「皆、動きがぎこちないのぅ。」

「緊張もしてるんだろうし仕方ないかなぁ。」

「……我もアレをやるの?」

 いまいちパッとしないプレイヤーたちに不満をこぼす。

「私たちが始めるのは、あのプレイヤーたちが慣れてからかな。」

「ふむ。それまではアイテム縛りの続きでもやるかの。」

「……我は野菜の様子を見てくる。」

 私たちは様子見することにして、各自暇を潰すこととなった。


 あ、ボソボソと我とか言ってる子はメヴィの友達である。メヴィに嫌々連れてこられていたが、今はダンジョンにちょっと興味を持ってくれているようだ。割と大人しい性格のようである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ