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自力で転生した少女  作者: 10bit
第5章 貴族の護衛
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第31話 護衛初日

 結局断りきれなかった私たちは、あの後、護衛契約の詳細について打ち合わせ、一旦領都の家に帰宅した。


「そんな、皆居なくなっちゃうの…?」

 ミリーナさんに今度の護衛依頼について説明すると、すごく悲しそうな顔をしていた。


 今回の護衛契約は、ひとまず期間は1ヶ月で、1週間後からとなった。その期間内にヴィアナ様の娘であるルアノ様の遠征授業があるらしい。期間満了後は一旦領都へ帰らせてもらい、再度交渉ということになった。今度こそ断れるといいのだが…。

 護衛の1ヶ月の間は、ヴィアナ様の館で寝泊まりすることになっている。


 そういうことなので少なくとも期間満了後に帰ってこれるのだが、ミリーナさんは1ヶ月も私たちと会えないことが寂しくて仕方がないらしい。私たちと出会うまでは一人暮らししていたのだから、まぁ大丈夫だろう。



 1週間後、リコルダさんに連れられて再びヴィアナ様の館を訪れる。リコルダさんはヴィアナ様と商売の話を始めた。その間に私たちは鎧などの装備を渡され、着替えるように言われた。鎧には何やら紋章が刻まれている。ヴィアナ様の家紋だろうか。

 リコルダさんが話を終えて帰っていくと、私たちは前回面会した執務室のような部屋に案内される。

 部屋には、ヴィアナ様の他に、幼い少女とメイドらしき若い女性、私たちをここまで案内してくれた執事らしき老年の男性が居る。

「ようこそ、みなさん。これから護衛をよろしく頼むわ。まずはこの館の者について紹介しておくわね。」

 ヴィアナ様がそう言うと、こちらを嫌そうに見ている幼い少女の方を見ながら紹介を始める。

「この子はルアノ。私の娘よ。」

「…お母様。本当に平民なんかを護衛にするのですか?しかも1人は子供じゃないですか。」

 ルアノ様は、ヴィアナ様と同じ茶色の髪を腰まで垂らし、頭に髪飾りを付けている。どことなくヴィアナ様に似ている。

 ルアノ様の言うとおり、どうなんでしょうね。

「仕方がないのよ、ルアノ。クレシアンドが亡くなって、私たちに付き従ってくれる者たちはここにいる2人だけなのですから。」

 クレシアンド、というのは亡くなった夫のことだろうか。そして、従者はここにいる2人だけだったのか。

「ええと、それでこの2人が私に仕えているケーナとヴァンよ。館の中に居る時は護衛することもないでしょうから、この2人の手伝いでもしていて頂戴。」

 なんですと…!確かに館の中で護衛する必要はあるのかと思っていたが、まさか雑用をこうも面と向かって指示されるとは。ちゃんと契約時に言ってほしかった。

「それじゃあ、具体的な話はヴァン、あなたが説明してあげて。私は書類の整理をするから別の部屋でお願いね。」

「かしこまりました。」

 私たちはヴァンさんに連れられて、別の部屋に移った。ルアノ様は自分の部屋に帰ったようだ。


 ヴァンさんが具体的な作業を説明してくれたが、家事全般、といったところだった。

 この広い館の掃除や食事の準備、洗い物、庭の草むしりなどなど。

 2人でよく回せたなと思ったが、そこは結構家電製品のような魔道具があるようで、何とかやっていたらしい。それでも、手が回らないところは後回しにしていたそうだ。なので私たちは即戦力として早速、館の掃除をやらされた。鎧を着たまま。


 護衛はどこに行ったのだろう。


 夜、ようやく一息付けた私たちは、各自に与えられた部屋で軽装に着替え、私の部屋に集まった。

「ぷはー。ほんと息が詰まる仕事だね、これ。」

「相手は貴族だし気が抜けないわね。」

「ヴァンさんたちも私たちよりかは身分が上なわけだしねぇ。下手な態度取れないよ。」

 なるべく穏便に依頼を終えたい私たちは、細心の注意を払って仕事をしている。館の掃除をしている時も、周りにヴァンさんやケーナさんが居なくても私語は一切していない。ヴァンさんは堅苦しい感じがするが、ケーナさんはおどおどしていて、こちらをよく気遣ってくれている。とはいえ失礼があってはいけないので、馴れ馴れしい態度は取らないようにしている。


 そんな風にして勝手に気疲れした私たちは、その日、早々に寝ることにした。ベッドがふかふかであっという間に眠りに付くことが出来た。




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