第10話 冒険者カード
ついに1ヶ月が経過し、冒険者カードを手に入れた。ただいまの所持金は銀貨約13枚分である。監視人料も払わなくて良くなったので、だいぶ出費が抑えられそうである。
朝の挨拶をしに訪ねた冒険者ギルドで私は喜びを噛み締めていた。
「シルちゃん、おめでとう!これでシルちゃんも冒険者ギルド認定の冒険者だね。」
「ありがとうございます!これもミリーナさんにいろいろと面倒を見ていただいたおかげです。」
本当に、ミリーナさんにはお世話になった。何も知らない私にたくさんのことを教えてくれた。そして、寝床や食事の面倒も見てくれた。
…そうだ。これからは寝床と晩ご飯も自分でどうにかしないといけない。また赤字生活になりそうだ。
いや、ここは攻めるときだ。ミリーナさんも私のことを気に入ってくれてたし、頼めばこれからも泊めてもらえるかもしれない。申し訳なさを感じるが使えるものは使わねば…。
「あの、ミリーナさん。もし良ければなんですが、その、…これからも家に泊めてもらえませんか?えと、大したお金は出せませんが、なるべくお支払しますので。」
「え?あ、そっか。監視人はもう必要なくなるからね。私は全然構わないよ。一人であの家に住むのは寂しいからね。お金も気にしないで。」
「ありがとうございます!でも、お金は出させてください。申し訳ないですから…。」
「うーん…そこまで言うなら…。」
その後、一日に銅貨50枚支払うことで決まった。少し無理やり話を聞き出したところによると、あの家の家賃は毎月銀貨50枚らしい。晩ご飯も私の分だけで一日に銅貨30枚近く掛かっていたらしい。お肉や野菜もふんだんに出してもらってたからね…。
それにしても驚きの出費である。これ以外にも臨時の出費があるわけなのだから、とても私一人では生活していけない。
もっと稼ぎを増やさなければ…。
「もっと難しい依頼をこなさないと稼ぎが心もとないですね…。」
「そうだね。私がこの町に居る間はいいけど、異動になったらさすがにシルちゃんと一緒にいてあげられないからね。あ、でも付いて来てくれるならこのまま一緒に住み続けるのもありだね!」
「え?!ミリーナさんどこか行ってしまうんですか?」
「いずれはね。この町は比較的安全だから新人の兵士が配属されてるの。私も新人じゃなくなれば別の町に行くことになると思うかな。異動になったら1ヶ月以上は前に連絡があるから急にいなくなったりはしないよ。」
「やっぱり、もう少し稼ぎは増やさないとですね…。」
早速ギルドのおじさんにもっと報酬の多い依頼がないか聞いてみた。
「うーむ…。採取依頼はこの前ので全部だから今はないな。討伐依頼も特に出ていないから、随時出てるやつしかねぇ。護衛依頼は…お嬢ちゃんには悪いが、他種族は基本的に受け付けてないんだ。
そうなると、新しく討伐依頼か採取依頼が出るまで待ってもらうしかねぇな。」
残念ながら私が出来る依頼はないらしい。実際この町の冒険者は少なく、10人ちょっとしかいないらしい。護衛依頼で入れ替わりは多いので、初めて見る顔の人ばかりだが。
ちなみにレベル30の魔物は滅多にいないので、何も噂がない時に狙って倒すことはほぼ無理だ。それ以前に倒せないと思うが…。
困ったな。ここより大きな町に行くとしても、恐らく生活が回らないだろう。いろんなものの値段が高いらしいので3日も生活出来たらいいほうだろう。その間に依頼をこなす必要があるが、あまり難しい依頼だと冒険者ランク制限で引っ掛かってしまう。
冒険者ランクというのは、冒険者の実力や実績に応じて決められるもので、冒険者カードはそのランクに対応したものがもらえる。私の冒険者ランクは1で初級者といったところだ。一応、失敗しても問題ない依頼はいくつか上のランクの依頼でも受けれるが、そうじゃない場合はランクが重要になってくる。
つまりこの町を出るのは得策ではないということになる。
「うーん…そうなると一時冒険者以外の仕事も考えたほうがいいのでしょうか。」
「えっと、この町で何かやろうと思ったら町民権を持ってないといけないの。外から来た人でも他の町民権を持ってれば交換したりできるんだけど、そうでない人は買わなくちゃいけなくて。特にシルちゃんの場合、他種族だからそもそも町民権が取れないの…。」
「え。」
詰んでる。何かいい依頼が出るまで待つしかないみたいだ…。
風邪引きました(>_<)
まともに書けてる時間があまりないです…。