第1話 転生
初投稿になります。
このサイトの小説を読んでいて、自分でも書けるかな?と初めて小説を書いてみました。
誤字脱字は軽く確認していますが、文章の体裁は整えていません。一般的な書き方を知らないので、体裁まで考え出すと時間が掛かり過ぎてしまいます。そのため、読みにくい文章になっているところも多いと思います。
他の人からどんな風に見えるのか想像できませんが、楽しんでもらえたらなと思います。
あの日、17歳だった私は転生した。
厳密には死んだわけではないので、転生とは言わないのかもしれない。私は自らの記憶や感性の情報をある種の現象に乗せたのだ。そして、その情報は世界を、空間を越え、異世界にたどり着き、新しい命へと組み込まれた。
私の前世はコンピュータが普及し、様々な法則や現象をコンピュータによって見つけ、利用していた。と言っても、例えばビッグデータだとか人工知能だと言って持て囃しながらも、人にはまだまだ敵わない部分が多い中途半端な出来栄えだった。
私の年齢なら女子高生と言ったところだが、あいにく高校には行っていない。小さい頃から親にいろいろなことを教えてもらい、自分の興味がある分野をひたすら極めていった。当然、高校レベルの勉強は何の役にも立たない。大学レベルでも役に立たないかもしれない。一つ惜しいなと思ったのは学校で友達とわいわい騒ぎたかったということだが、普通にネットでたくさん友達を作っていたし、一緒にいろんなところに行って騒ぎもした。つまり惜しいなと思ったのは、学校というシチュエーションが持てなかったことだけである。
そんなわけで当時の最先端を行く理論で、私は最近流行りの転生ファンタジーを実現したわけである。まぁ前世に残った私は成功したかどうか確認のしようがないわけだが。
新しい世界で私は、肌が薄い緑色で灰色の髪の女の子として生まれた。…頭に小さな突起が2つあったのには少し驚いた。転生時に条件付を行い、人間の女の子で生まれるようにしていたのだが、果たして私は人間なのだろうか。まぁ周りの人を見て、顔の作り等、見た目にそれほど違和感を覚えなかったから問題ないだろう。
生まれたばかりの頃は、いくら前世の記憶があるとはいえまともに思考できなかった。物心付いたのは3,4歳くらいの頃だった。
私の生まれた村は貧しい農村で、来る日も来る日もひたすら畑仕事をしていた。食べるものも少なく、村人全員が骨に皮が張り付いたようなやせ細った姿をしていた。冬場は家族で身を寄せ合い、寒さに凍えながら耐え続けた。収穫した作物のほとんどは偉い人たちに持って行かれた。母に「どうして渡しちゃうの?」と聞いたら、「それが私たちの役割だからよ。」と言っていた。きっと私腹を肥やすために私たち農民が虐げられてるのだろうと思った。
そんな状態だったので、私はゆっくりと物事を考える余裕がなかった。
そして、この世界に生まれてから7年、私は生まれて初めて豊作を経験した。天候に恵まれ、動物たちに畑を荒されることもなかった。今までの10倍は収穫出来たのではないだろうか。
「本当に、今年はとってもたくさん収穫できたわね。」
「うん。こんなにたくさん実ってるの初めて見たよ、お母さん。」
「これだけ多いと今年は主様の馬車への荷運びは村人総出でやる必要がありそうだな。シル、今年はお前も手伝ってくれ。」
父が私に手伝いを頼んだ。主様の馬車への荷運びはいつも一部の大人たちだけで行われていた。失礼の無いようにするためらしい。ただ、今年は量が多く、かといって主様を長く待たせるわけにはいかないので、村人総出で行うだろうとのことだ。
収穫が終わってから1週間が経過した頃、少し身なりの良い男が複数の荷馬車と従者を連れてやってきた。
「主様。お忙しい所、お越しいただきありがとうございます。」
「いえいえ。皆さんこそ苦しい生活の中、立派に仕事をこなしていただきありがとうございます。
今年は豊作とのことですから、ようやく皆さんにも十分な食料が行き渡ることになるでしょう。皆さんに苦しい生活を強いるのはこちらとしても辛い思いでしたから。」
村長と主様が会話を交わした後、村人総出で荷馬車への積み込みを始めた。主様の私たちへの接し方は、とてもこちらを見下しているようでは無かった。今まで主様のところも貧しかったのだろうか?
積み込み作業をしながら、私は主様について考えていた。主様は私たちと違い、血色のいい白い肌で、頭に突起も生えていなかった。普通の人間である。どうやらこの世界には、前世と同じような人間もちゃんといるらしい。
しばらくして積み込み作業が終わると、再び村長と主様が軽く会話を交わし、主様は帰っていった。
「ねぇ、お父さん。どうして主様は私たちと違う見た目をしているの?」
「主様は猿人と呼ばれる種族だからな。俺たち鬼人とは種族が違うんだ。」
なにそれ。初耳だ。後でゆっくり話を聞いてみよう。
その後、初めてお腹いっぱいに食べた私はいろいろな話を聞いた。
この世界には猿人や鬼人以外にも、狼人、猫人、兎人、竜人、その他にもたくさんの種族が存在しているらしい。
また、魔物や魔族と呼ばれる危険な生き物もいるんだとか。魔物や魔族と呼ばれるものがいるだけあって、魔法が存在しているらしい。この村には魔法が使える人がいないらしく、見たこともないらしい。話としてもあるとしか聞いたことがないらしく、具体的に何が出来るのか分からないらしい。
そして、私たちと主様のことについていろいろと話を聞いてみると、どうも私たちは主様の家畜のような存在らしい。主様が私たちに優しく接していたのは、前世で人が家畜に愛情を注いでいたのと同じような感じのようだ。
私たちは家畜、だから主様に従い家畜として畑を耕し、収穫したものを主様に無償で差し出す。食料の配布について優先順位が低いのは家畜だから。主様は私たちが死ねば悲しむけれど、あくまで愛情を込めて育てた家畜が死んでしまうから。そういうことらしい。
主様は家畜である私たちに優しく接してくれる。それはとてもありがたいことだろう。けれど、私は前世で家畜ではなかった。正直今の待遇には不満だ。前世での家畜とは違い、私たちは主様と会話ができる。知能もそれほど変わらないと思う。ならば、対等の立場であるべきではないのだろうか。
…まぁ、それをこの村の人たちが望むかどうかは別問題だろう。対等であるということは、世話してもらっている立場ではいられなくなるということだ。生活に必要な物資は、主様に余裕があれば、主様が用意してくれる。私たちは主様の言うことを聞いていれば、難しいことを考える必要がない。それはそれで幸せなのかもしれない。
よし。自分の分だけ頑張ろう。なるべく皆には迷惑が掛からないように独り立ちしようと思う。
さて、そのためにはこれから何をしようかな。