第4話 不思議な懐中時計
幸いにも選んだ道は正しかったようで、無事に交差点まで行き着くことができた。
(よかったぁ……ぐす。。)
内心ホッとしている自分がいる。
け、決して安心して涙が出たとかではない。雨のせいで泣いている風に見えるだけ……うん。
雨は相変わらずの勢いで降り続けているけど、風は少しおさまったみたいで大分歩きやすくなった。
交差点の信号が変わるまで時間がかかりそうなので、拾った懐中時計をまじまじと見つめてみる。
古びた懐中時計で表面は銅色? で不思議な模様が入っていた。
竜頭(時計の時刻を調整するところ)には大きめの白い宝石らしきものがはめ込まれていて
美しく、どこか儚げな光を放つ。
時計の中を開くと針は三つきちんとあったけど、文字盤には数字ではなく動物が描かれていた。
見れば見るほど不思議な時計で思わず僕は魅入ってしまった。
バシャンッ!!!
「⁉︎……。……」
ポッ…ポツ……ポツ……
大きな音とともに僕の体から水が滴る。
一瞬何が起こったのか理解ができなかったけどずぶ濡れになった全身を見て瞬時に僕は悟った。
(またかけられた……)
今日は踏んだり蹴ったりの日のようだ。
ちょうど信号が青に変わっていたので僕は急ぎ足で横断歩道を駆け抜けた。
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