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雨の国  作者: 雨月
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第2話 紳士風の男性

僕は雨の日の散歩が特にすきだ。

いつもとは違う空間にいるような気がしてとても落ち着く。




もう少しで近くのお菓子屋さん!、というところで

(バシャンッッ!) 思い切り車に水をかけられてしまった……



「ひゃ、ヒャンッッ!」

僕はおもわず叫んで地面に尻もちをついてしまった。

「いたたた……。あぁ……折角のダッフルコートが……」


僕がそう言いながら起き上がろうとしたその時、誰かが手を差し伸べてきた。



「僕、大丈夫かい? 」



そう声をかけてきたのは長身で口髭をたくわえた英国紳士風の男性だった。

頭には焦げ茶のボーラーハットを被り、銀のモノクルをかけていた。




「ありがとう……ございます。。」




僕は男性の手を掴みゆっくりと起き上がった。続けて男性はこう言った。



「僕、小学生かい? 今日はこれから雨が強くなるから早く帰った方がいいだろう」



そう言い残すと彼は軽く僕に向かって一礼をすると間もなく早々に立ち去っていった。



ふと地面に視線を落とす。

すると先ほどまではなかった懐中時計が転がっている。



「あ、待って! おじさんこの時計! 」


紳士風の男性が立ち去る時に落としていったであろう、懐中時計を拾って届けようとしたけど既に彼の姿は降り注ぐ雨の中に消えていた。




(この懐中時計どうしよう……)という感情と(小学生じゃなくて高校生なんだけどなぁ)という二つの感情が入り混じる。



身長が低いのもあってよく中学生くらいに間違われるのは慣れっこだけれど流石に小学生に間違えられるのは少し傷ついたりもする……



って、今はそんな事を考えてる場合じゃない!この懐中時計をどうするかを考えなくちゃ。










…。

色々考えた末に僕はその懐中時計を一度持ち帰ることにした。この雨だとあの男性を探すのは難しそうだし、何より僕自身さっきのハプニングでびしょ濡れだ。



雨が少し強まってきたのでいつものお菓子屋さんまでは行かずこの場でUターンして帰ることにした。



僕が帰り道に向かって歩き出した瞬間、

ゴオオオオオオオオォォォ!!!ザザザザザザザザザザアアァァァァ……!!!



今まで体験したことのないような物凄く強い風と雨が同時に僕に向かって襲いかかってきた。



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