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防人達シリーズ

ある陸の防人の思い

作者: 月夜野出雲

 最後までお付き合いいただけたら、ありがたいと思います。

 あの日はとっても寒い日でした




 自衛官さんのそばにいた僕は、突然の騒ぎにビックリしました




 僕は、良くわからないまま、『現場』と言うところに一緒に行くことになりました




 僕を連れていってくれる人は、暗い緑のような色の、とってもとっても大きな箱に、みんなと一緒に入っていきます




 僕が自衛官さんのところに来たときに入っていた箱と、大きさが全然違います




 その箱みたいなものが『現場』というところに連れて行ってくれるみたいです




 行く途中に偉い人が、僕を連れていってくれる人や他の人達にお話ししてます




 みんなの顔を見ると、とても真剣な顔をしています




 つらそうな顔をしている人もいます




 僕は良くわかりませんが、何か良くないことがあったのかもしれません




 一度暗くなってから明るくなったとき、自衛官さんはみんなと箱の外にでます




 自衛官さんは偉い人に言われた場所に、他の人達と一緒に行くみたいです




 少し行くと、一緒に来た人達と一度集まってから、お仕事を始めるみたいです




 いよいよ僕のお仕事も始まるみたいです




 自衛官さんが何かを持ち上げようとしています




 僕の体に、何かが刺さってきて、とっても痛いです




 でも、僕のお仕事は自衛官さんを護ること




 どんなに痛くても、絶対にこの刺さるものは、自衛官さんに届かないように頑張ります!




 そして、この痛いものを動かすと、また次の仕事になります




 次は・・・何か薄くて、尖ってるところもあちこちにあります




 護ってあげられるか不安になりました




 もしかしたら、僕の体は切れてしまうかも・・・




 そうなったら、自衛官さんを護れません




 でも、僕が護らなかったら、誰も自衛官さんを護ってくれないと思います




 だから、覚悟を決めて、自衛官さんを護ります!




 ぐっ!・・・うぅ・・・絶対・・・絶対に・・・自衛官さんにケガなんかさせない!!




 僕は・・・どうなっても・・・構わない!




 他の・・・僕の仲間が・・・くっ・・・控えていてくれるから!




 でも!




 僕を・・・使ってくれている・・・自衛官さんに!




 代わりなんかいないんだから!



 だから!!



 僕が頑張るんだ!!



 頑張らなきゃいけないんだ!!






 お空が赤くなってきた頃




 僕は・・・




 ボロボロになっちゃいました




 自衛官さんの指も、僕の体から少しだけでちゃってます




 もう・・・




 護れません・・・




 ごめんなさい・・・




 周りが暗くなった頃




 ついに、袋のような所に入れられました




 もう・・・お別れなんですね・・・




 短い間だったけど・・・ありがとう・・・使ってくれて




 さようなら






 あれ、また明るくなった?




 なんで?




 あの自衛官さんだ!




 え!?僕、もう、ボロボロなんだよ!?




 もう、自衛官さんの手も・・・指も・・・もう、護れないんだよ!?




 また一緒にお仕事できるのは・・・




 うれしいよ!




 でも・・・




 お願い!僕を見捨てて・・・新しい僕の仲間とお仕事して!




 僕のお願い聞いて!!




 もう、自衛官さんを護れないんだよ!




 お願い!




 お願い!




 むちゃをしないで!!






 結局、自衛官さんは、僕を使い続けてくれました




 指が大きく出ちゃってます・・・




 手のひらの部分も切れて見えちゃってます・・・




 それでも・・・




 僕を見捨てる気配はありません




 結局、自衛官さんのお仕事が終わった時、僕は他の仲間が待っている袋に入れてもらえました




 自衛官さん・・・




 あなたの手や指を護れなくて・・・




 ごめんなさい・・・




 そして・・・




 ありがとう・・・ございました・・・




 こんなボロボロの僕を・・・




 使い続けてくれて・・・




 もし・・・




 生まれ変わって・・・




 また手袋(ぼく)になって・・・




 あなたに巡り会えたら・・・




 今度は・・・




 いえ・・・




 今度も・・・絶対に・・・




 護ります!




 だからさようならは言いません




 また、お会いしたいです

 華々しく活躍されている、護衛艦や戦車に戦闘機。

 その陰には、彼等『手袋』のような、『縁の下の力持ち』もいます。

 少しだけ・・・少しだけでいいです。優しい目で彼等のような『防人達』も見守ってあげて下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  この小説の元ネタはインターネットで存じております。  自衛隊の大変な苦労が描かれています。 手袋という道具を主役にしたのが斬新ですね。  自衛隊の方々は本当に苦労をされていると思いま…
[一言] 泥水に浸かりながら捜索活動を行う自衛官たちが破れて穴の開いた手袋のままで任務にあたっている姿は、当時ニュース映像の中で度々目にしました。隊員にとっても、被災された方々にとっても、現場にはほん…
[一言] 戦車・護衛艦・戦闘機等の正面装備も勿論重要です。 ですが、自衛官が使う迷彩服やヘルメット、ブーツ、防弾チョッキや帽子、この話の手袋なども「小さな防人」だと言う事を改めて実感させていただきまし…
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