ネックレスとコーヒー
なんとなく思いついたものをポチポチと書き連ねました。
ここはどこだろう
優しくて、温かくてそれでいてなぜか、
少し寂しい
音を奏でるオルゴールとアンティークの人形
まだ動いている古時計に、綺麗な装飾のされたお皿
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私がその店に入った理由も原因も覚えてはいないのだがなぜか、その店に行った記憶だけは残っている
気づいたら既に店内にいて店の商品をいくつか見ていた
その中の一つが少し気になったのだ
寂しげに置かれた眼鏡
これも商品なのかな、と手に取り見ていると
白いヒゲのある男性が奥から出てきて
─そこにありましたか─
と
貴方のですか?と尋ねると
―恥ずかしながら、店に置いてしまっていたようです―
そして
―この店にいらしてくださってありがとうございます―
―ここは、アンティークとコーヒーの店でございます―
そう言うと、奥へ招き入れてくれた
奥はカフェテリアになっているようだ
暖かな日差しが差し込み、仄かにコーヒーの香りが漂っている
―コーヒーはいかがですかな?―
そう男性が言ったので、いくらなのか聞くと
―メガネを見つけてくれたのです、恩人なのだからそんなことは心配なさらないでください―
―ただ、よければ話し相手になってはいただけませんか?―
そう言われたので、私は少しの間彼との会話に付き合うことにした
うららかな午後、そよ風の吹くテラスで穏やかなひとときを過ごした
彼はちょっとしたコーヒーを美味しく淹れる秘訣やアンティークの見方などを教えてくれた
かくいう私は日々の愚痴や、はたまた楽しかったこと
時計の選び方を聞いたりして過ごした
日も陰りだし、空が段々と緋に染まりだそうとする頃
そろそろ、帰りますねと言うと
―老人の長話に付き合ってくれてありがとう―
―お礼にこれを持っていってください―
と、古いけれども素敵なネックレスを出してきた
高そうに見えたそれをもらえないと断ったが
―貴方にはこれこそが似合うんです―
と押し切られてしまい、頂いてしまった
しかしなぜだか私も気に入ってしまい、おしゃれが必要な時にはつけていくことが多い
品がよく悪目立ちしないからとてもつけやすいのだ
後日、礼を言行こうと思ったのだけれども、店の場所も最いに寄り駅でさえ覚えていなかった
まるで夢のようなひとときだったが、そんな夢があったのは手元に今でもあるネックレスが証明してくれる