3/されどその存在は未だ謎に包まれている。
明日は無事に投稿出来るかなぁ・・・
――――都市<アルティア>。
たった四人の<大賢者>によって創られ、今では約百万もの人類が居住む場所。
しかし歴史は浅く、創られて七十三年しか経っていない。
四人の<大賢者>も未だ現役。都市を収める〝王〟として君臨していた。
「大賢者様、ご報告があります」
全長一万メートルに及ぶ超高層ビルの最上階にて。
『コ』の字に設置された長机。
長机の前に座る、ローブを纏う四人。
四人の前に跪く、鎧とマントを纏う騎士。
そして『ローブを纏う四人』……この四人こそが<大賢者>。都市の設立者であった。
静寂が包む部屋の中、言い難い威圧が騎士を襲っていた。
一人は厳しい顔付きで。
一人は優しそうな表情で。
一人は覚悟を持った眼で。
一人は柔らかげな瞳で。
我が前に跪く、勇敢そうな騎士の姿を視界に捉えている。
「・・・発言を許す!」
<大賢者>が一人、天谷宗螺が暴音に近い声力で叫ぶ。
それを耳にした騎士は「はっ」と了解の念を見せ、続けて「では報告させて頂きます」と。
いわば確認の言葉を発する。
<大賢者>の表情を窺い、騎士は話し始めた。
「都市の東端で、奇妙な服を着た女性を発見いたしました」
告げられた言葉に、部屋の雰囲気が一転する。
「・・・女? 奇妙な服?」
「ねぇ騎士くん。その〝発見された子〟って此処の住人じゃないの?」
あまりにも唐突すぎる騎士の報告に<大賢者>は困惑する。
『突如として都市東端に現れた女性』。
それは都市の者では無いのか? 〝奇妙な服〟とは流行りのコスプレではないのか?
報告の全貌が掴めない<大賢者>は騎士に尋ねる。
「まず、今の時点で確認されたことを申し上げます」
〝身分の違い〟。
否が応でもプレッシャーを感じてしまう騎士は、冷や汗を掻きながらも報告を続ける。
「発見された女性は都市に住む者では無く、外から来た者と思われます」
「外から来たって・・・そんな、冗談でしょ?」
一人の<大賢者>が驚愕の表情で騎士を見る。
それによって更に威圧された気分になる騎士だが、その<大賢者>に悪気がある訳では無い。
それほどに信じられない事なのだ。『外から来た』という事実は。
それは何故か。<大賢者>の一人が叫び散らす。
「だって・・・外は妖怪が屯う最高危険地帯なのよ!?」
――――〝妖怪〟。
人非ざるソレは残虐な思考を持ち、主な食料を人間としている現代の化け物。
これは何の比較でもない。
事実、都市では何年も前に〝妖怪〟の襲撃を受け、人口の半分が減っている。
そうして今の人口百万人という結果となったのだ。
そんな〝妖怪〟が何万、何億と屯う都市の外で、女性どころか男性だって生き残れやしない。
誰一人として生き残れない。
<大賢者>が都市を設立するに当たっての、理由の一つでもあった。
「落ち着け秋。取り乱しては元も子もない」
「分かってるわ宗螺・・・でも、そんなこと」
秋と呼ばれた<大賢者>。正式な名を高ノ宮秋華という女性は落ち着きを取り戻すも、未だ信じられない顔をしている。
「有り得なくはない」
「塔矢!? 貴方は何を言って――」
「その女性が<能力者>だと言うのなら、有り得なくはない。・・・そうだろう?」
〝都市最強〟にして〝最高王〟、天月塔矢。
四人の<大賢者>の中で一番の実力者。……というより、〝都市最強〟の称号を持つ時点で、それが当たり前なのだが。
「<能力者>だと? 塔矢、それは本気で言っているのか」
「あぁ。少なくとも今の時点では、外で生き残れるのは<能力者>か、ソレに近い実力を持つ者だけだ」
<大賢者>の会話の中で時々聞こえる<能力者>という単語。
これは生まれ付き、特殊なチカラを保有している者を示す言葉である。
何も無いところから火を燃やしたり、温度調整が可能な水を流したり……大抵が日常でしか使えないようなモノだが、中には〝妖怪〟と渡り合えるほどのモノが存在する。
<能力者>は滅多に生まれることが無く、都市に住む一般人には〝伝説〟や〝幻〟とも思っている人々がいるのが現状だ。
塔矢はそんな、滅多に生まれない<能力者>の希少な一人である。
加えて言えば、<能力者>の中でも特殊な<多数能力保持者>。
唯でさえ珍しい能力の、二種以上を保有しているのである。
しかも全てが〝妖怪〟と渡り合えるほどのモノ。
そのため〝天月塔矢〟という人物は、その事情を知る者たちから〝神〟とまで崇められていたりする。
……『本人はまったく気付けていない』というのが、塔矢のちょっとした難点だろう。
「大賢者様。報告を続けてよろしいでしょうか?」
「あ、悪かったな。・・・続けろ」
こうして騎士の報告により、〝奇妙な服〟を着た女性――――博麗霊夢の存在が、都市上層部に伝わり始めた……。
つ、次は4000文字突破で新記録を叩きだすぞ!(無理