第19話:自信
朝日が眩しくて目を開けた。昨日の服のまま、化粧も落とさずに、私は縁側で寝てしまっていた。ゆっくりと体を起こす。ふっと視界に人の姿が見えて、私は目線を落とした。
「…。」隣には気持ち良さそうに寝ている太陽君がいた。ずっと傍にいてくれたんだ…。
気付かれないようにそっと手を伸ばす。触れた髪の毛は猫の毛みたいに柔らかくて、日に当たっていたせいでほんのり温かかった。起きてしまわないうちに手を引っ込めて、今度は寝顔を盗み見た。
最初は最低な人だと思った。
冷たいし、感じ悪いし、怒らせるようなことばっかり言ってくるし。でも今は、私にとって最高の人。たった2週間程度でここまで人を好きになることができるんだね。でも、この気持ちの大きさはどのくらいか誰にもわからない。自分だってわからない。だから自信が持てなくなる。ライバルに何も言い返せなくなる。
恋に時間は関係ないって言うけど、本当にそうかな?やっぱり長い時間その人を見ていれば、嫌な部分も沢山わかる。それでも、好きだと思える、言い切れるなら自分の気持ちに自信がついてくると思うんだ。
…あの人みたいに。あの人は太陽君の駄目な部分も含めて愛してるって、そう言ってるように思えた。強い眼にしっかりした声だった。勝てるわけがなかった。
私はこれから何年も太陽君と一緒にいて、駄目な部分も沢山見て、それでも今と変わらない気持ちでいれるのかな。きっと本気で付き合えば、それなりに相手の欠点には目がつく。そこを愛せるかどうか。
私は太陽君を美化しちゃってるのかもしれない。
太陽君は私のことをわかってくれる王子様だって思い込んでるのかも。ここには太陽君以外男の人もいないし、これだけ一緒にいれば当然なのかも…。でも、苦しいよ。ドキドキするだけじゃない。胸が締め付けられるみたいで、息が出来なくて…こんなに苦しいのに、どうして私は自分の気持ちに絶対の自信が持てないんだろう。
どのくらい時間が経てばあの人みたいに強い気持ちを持てる?
誰か教えて…。