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小さな願いとお仕事

暗く薄暗い路地の片隅に1人の少女が立っていた



夜の12時を軽く過ぎる夜の闇に全く不釣り合いな幼い少女だった。あどけない幼い顔も、まだ10歳にも満たぬ体格も



しかし少女が全身に纏う雰囲気はその道のプロでも恐れてしまうほど殺気が出ているのに、その少女は本当に幼すぎた



そんな小さな少女は闇の幽霊(ダークファントム)からの仕事の依頼を写す携帯電話の画面をじっと見つめていた




少「…今日は3件…いつもより多いいね…期限は今日の朝の7時まで。準備でもするかな?」




タイムリミットまで5時間弱




少女は携帯をパタンと閉じるとスカートのポケットに入れ、必要な持ち物を全て持っている事を確認してから軽い準備運動を始めた



急に全力で動くと後でどうなるか…それも経験済みであったりする



少女の服はいつも決まっていた




七分袖の黒のTシャツにフード付きの白いジャンパー


短すぎる白いプリッツスカートに黒のニーハイソックス


茶色の編み上げ式のブーツ



そんなシンプルかつ機能的な服を少女好んで着ていた


そして腰よりも長くまっすぐな碧銀の髪をツインテールに結んでいた


髪ゴムは少女好みの赤く大きなリボンだ




少「時間もあんまりないしさっさと片付けちゃおっと」




少女は小さくつぶやくと走り出した



少女の名前はアリス



日々闇の幽霊の一員として働いている



少女は人を殺すことに躊躇いを覚えたことはない



小さい頃からそう“教育”されてきたからだ




そんな少女の願いはただ一つ




大好きな人に愛されたい




小さな願いを胸に今日も少女は闇を走り続ける






ちいさな少女、アリスは小さなビルの中にいた



一件目の仕事を片付けている最中であった



あたえられた仕事の内容は簡単だ




闇の幽霊(ダークファントム)の情報を盗んだこの組織の破壊とデータの消去。そして組長を粛清すること




組長の粛清は他の組織への見せしめのためだ




データに関しては先にサイバー攻撃を行い流出する危険性がなくなってることを確認してあるのでそちらは気にしてなかった



アリスは3階にいた。1・2階は既に“見て”来たあとでアリスの周りは血の海となり死体も転がっていた



全員射殺したあとだった




ア「・・・ここにもいない・・・最上階にどうせいるかな?もついでに4階も覗かないとね。部下は全員死んでるしあとはあいつらだけだもん。生きて返したら怒られちゃう」




ブーツを汚したくないアリスは血を踏まないように気をつけながら室内を散策した




ア「あ・・・血がついてる」




ふと頬に違和感を感じ手の甲で拭いてみると血がついていた



しかしこれは彼女の血ではない。数多くの人の返り血だった



アリスはいそいで血を拭うと散策を再開した。生き残りがいないか探していたのだ





もちろん生き残りは即射殺だ





ア「・・・まだ誰か生きてるね。出てきてよ、聞きたいことがあるの」




アリスの言葉と同時、1人の男が出てきた。アリスは恐怖のため震える男の頭に銃口を向けた




男「・・・き・・・貴様・・・なにしに来た・・・何者だ・・・?」




ア「答えてあげてもいいから両手を頭の後ろに。早く!」




男はゆっくりとアリスの指示に従った




男「お前・・・何しに・・・」




ア「あーそういうのいいから。何しに来たとか目的はなにかとか。それ聞き飽きた・・・まぁ、でもいっか。私はアリス。名前を名乗るのって礼儀だよね」




男「お・・・俺は・・・・・・まてよ・・・お前、まさかっ!」




ア「ストップ。あなたの名前とか興味がないし聞くだけ時間の無駄」




なにか大事なことに気がついた男の顔から徐々に血の気が引いていった




男「お前・・・まさか、あのアリスか・・・?まだガキだとは聞いていたが・・・その目と髪の色・・・ウワサ通りだ・・・・・・化け物め」




侵入者の正体に気づいた男はいまいましそうにアリスをにらんだ



ウワサを知っていてもただのガキだと判断した男の体の震えはいつのまにかおさまっていた



一方アリスは化け物と呼ばれた瞬間、悲しそうにわずかに目を細めたが男はその変化に気がつかなかった



そして男はもう一つ大事なことを見落としていた



たった一言・・・化け物という単語で怒らせてはいけない相手をを怒らせてしまったことに・・・




ア「・・・るさい」




男「ま・・・待て!」




引き金を引こうとするアリスを男は慌てて止めた。




ア「何?」




男「し・・・知ってるか?ここにはオヤジはいないぜ。とっくに逃げて・・・いるだろう、よっ!!」




アリスが男の言葉に気を取られてる一瞬を突いてアリスに向け発砲した



アリスは突然のことに驚きながらも慌てて避けたが左腕に弾がかすってしまった




ア「ッ・・・」




男「あ・・・・当たった!?当たった!!バカだなお前!っかアリスって全然たいしたことねぇーじゃねぇーかっ!!」




アリスに弾が当たったことがよほど嬉しかったのか男は狂ったように笑だした




ア「・・・」




アリスは男が手に持っている白い煙を出す黒い物体と血が流れる自分の腕を交互に眺めた



ア「・・・あのさ、今私を狙ったよね?避けてなかったら私は確実に死んでいた。私を撃つとどうなるか、覚悟はできてるんだよね?」




男「ま・・・まて!」




だんだん冷めていくアリスの表情と雰囲気の変化、まっすぐと自分に向けられる銃口に男は冷静さを取り戻していった




ア「さよなら」




アリスは躊躇いもなく男を射殺した




ア「・・・弾が勿体無いな・・・でも今ので63人目で・・・あ、あと組長と幹部2人だけだ」




アリスは事前に調べておいた人物リストの顔写真と殺してきた人たちを脳内で照らし合わせた



完全記憶能力はこの時に役に立つ



アリスは銃口から出る煙を吹き消すと最上階の一番奥の部屋のドアの前にたどり着いた




ア(ここが・・・・残り3人・・・)




アリスがドアノブに触れた瞬、外から車の発進音が聞こえてきた



こんな真夜中に出かける住人などいない



アリスは直感で音の意味に気づいた




ア「まさかっ!?」




アリスはドアを蹴り破ると道路沿いの窓を開け身を乗り出した



ちょうど黒い車がこのビルから出て遠ざかっていくのが見えた




ア「逃げられた!先に処分しとけばよかった!」




床に座りポケットから手のひらサイズのPADを取り出したアリスは慣れた手つきで闇の幽霊専用のインターネットに接続をし地図を取り出した



このPADは闇の幽霊から支給されたものだ



地図には赤い光が点滅しながら移動していた



発信機だ



アリスはこの建物に入る前、念のため全ての車につけておいたのだ




ア「取り付けておいて正解・・・まぁ車を乗り換えられたら終わりだけどね。現在北西700m」




PADをパタンと閉じアリスは用がなくなったビルを後にした

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