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第6章:金利というシーソーとオプションの牙城

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/08
ディーリングルームの巨大な電光掲示板。刻一刻と変化する数値の束が鮮烈な明滅を繰り返すその場所で映し出されているのは、日本という国家の心臓部を流れる「金利」と「国債価格」の生々しい息遣いそのものだった。
古強者のシニアトレーダーは、冷めかけたコーヒーカップを置き、新米のジュニアトレーダーに向けて「基本のキ」を叩き込む。市場の素人どもは「金利が上がった」と聞けば金利そのものが売買されていると錯覚するが、実際に修羅の庭で血眼になって奪い合っているのは常に「国債の売買価格」であり、その上下動のブレこそがデリバティブに命を吹き込む母体となる。
金利と国債価格は常に完全な逆相関(反比例)のシーソー関係にある。金利が上昇すれば既発債の価値は暴落し、国債価格は底なし沼のように下落する。トレーダーは画面を切り替え、金利上昇(価格下落)から巨大なバランスシートを守るための「最強の保険(プロテクション)」――国債を売る権利である「プットオプション」の正体と、その価値が爆発する瞬間を冷徹に突きつけていく。
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