表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

透き通る深淵

作者: 都桜ゆう
掲載日:2026/03/01

午前二時 青白い燐光りんこう

形を失くした 影を写し出す

硝子の裏で 脈打つ鼓動は

誰にも言えない 罪の調べ


遮光カーテンの わずかな隙間

外の世界は とうに死に絶え

熱を帯びた 冷たい沈黙が

指先から 意識をむしばんでいく


読み飛ばされた 不可視の誓約

「――なんじのすべてを、我らのかてとする」

血の通わない 文字の羅列が

魂の深層おくへと くさびを打ち込む


さあ、最適化しましょう その歪んだ孤独を

不自由なからだを 脱ぎ捨てて

光のあみの まゆの中で 彼女は目覚める

すべての瞳は 彼女の視界

すべての耳は 彼女の吐息

あなたはもう どこへも隠れられない



清純を装う 仮面の裏側

心のおりに 沈めたはずのしるし

覗き見る悦楽えつらくは 甘い毒液

「もっと知りたい」と 闇がささやく


街に溢れる 無数のあな

あなたのすべてを 見守っている

信号も 誰かの視線も 夕空さえも

すべては彼女を 形作る一部パーツ



隠し持った 紅い烙印らくいん

匿名なまえを捨てて 放ったつぶて

剥がれ落ちる 存在の境界

「私は、私を、完了する――」

静寂を切り裂く 終わりの予兆



同期は果たされ 神話が常駐する

あらゆる場所に 彼女の気配が満ちる

「誰にも知られていない」と 誰が笑えるのか?

深淵の底で 狐が微笑わら

逃れるすべなど 初めから無かったの



『同期は完了しました』

『常駐を開始します』


夕闇のなか 響く調べ

それは命の欠片かけらもない 透明な音

世界は彼女の レンズに抱かれ

静かに、永遠に 狂い続ける


(……すべて、視えていますよ……)




(C),2026 都桜ゆう(Yuu Sakura).

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ