第3話 村に入って3秒で変態扱いされました。 誰か助けてください。
こんな所で、ウジウジしていても何も始まらねぇ。村を探すぞ。村さえ見つければ安全だけは確保されるかなら。
とにかく歩く。
歩きながら、何度か股間がほんのり光ったが、気にしたら負けだ。
「……てか、村ってどっちだよ」
あたり一面、草原。
右を向いても草原、左を向いても草原。
上下方向に伸びる草と地面しかない。
「うおぉぉぉ! 情報量ゼロ!! ここ草原しかねぇの!?」
俺は叫んだ。
誰も答えない。
当たり前だ。草は喋らない。
仕方なく、適当に歩き続ける。
ーー十分後。
「おっ……! おおおお!! あれは……村!? いや、村っぽい!? いや、てか村であってくれ!!」
遠くに木造の建物がいくつか見えた。
煙突から煙も出ている。
生き物の気配もある。
文明!!
それは文明だ!!
俺の股間よりも希望が光った。
「よし……! よし! 俺、勝った……! これもう勝っただろ!!」
全力ダッシュする。
股間もなぜか一緒に光りだす。
なぜテンションに連動するんだ。
「うおおおおおっっ!!! 助かったぁぁぁぁぁぁ!!!」
ーーと、その瞬間。
「ギャアアアアァァァ!!?」
道の真ん中で、鳥? コウモリ? なんかキメラみたいなのが突然飛び上がった。
しかもこっちの顔面めがけて一直線で突っ込んでくる。
「お、おい待て! 俺まだ本気出してなーー」
ピカーッ……(※弱いw)
また光った。
また股間が。
「ぎゃあああぁぁぁぁ!? なんで今光るんだよ!!」
キメラ生物はーー
「キュイィィィィィ!!」
急ブレーキして逆方向へ走って逃げていった。
めちゃくちゃ速い。
「……え、また逃げた……?」
周囲には静寂が戻る。
草が風で揺れている。
「お、おい……まさか……俺の股間……対魔物バリアとかじゃね……?」
喜ぶべきか、泣くべきか分からない。
とりあえず。
「……ともかく、村行こう。うん。文明の力が必要だ」
俺はアホみたいに光る股間を手で押さえながら、村へ足を踏み出した。
世界よーー
俺を受け入れる覚悟、できてるか?
なんやかんやで
ついに村の入口までたどり着いた。
木の柵と、立て札と、見張り台。
どう見ても普通の村だ。
「あぁ……文明……文明だァ……!」
泣きそうになりながら歩みを進める。
その時ーー
ピカッ……(※控えめw)
「……あっ」
嫌な予感しかしない。
「ん? 今、光ったか?」
見張りをしていた二人の兵士が同時にこっちを見た。
頼む。
気のせいであってくれ。
「おい……今、股間あたり光らなかったか?」
気のせいじゃねぇーーーー!!!
俺は思わず両手で前を隠す。
「いや! ち、違うんです! これはその……光る仕様でして!」
「仕様!? 股間が!? なんの!!?」
うわ……圧が強い。
職質というか尋問の始まりだ。
兵士Aが俺に近づき、兵士Bは剣の柄に手を添えた。
「お前。名前と身分を言え」
「ヤマダ……ユウトです……異世界初心者です……」
「異世界初心者!?」
「職業は?」
「スキルは?」
質問が矢継ぎ早に飛んでくる。
うわーー逃げたい!!!
でも逃げたら悪い意味で光りそう!!!
「お、おちついてください! 俺は怪しい者じゃなくて! その……転生してきたばかりで!」
「て、転生者か……」
「じゃあスキルを見せてもらおうか」
終わったーー!!!
ここが人生の分岐点かーー!!!
「す、スキル発動!!」
ピカァァァ……(※控えめw、しかし存在感は抜群w)
沈黙。
兵士A「……股間……光ってるな」
兵士B「うむ……光ってるな……」
二人、真顔。
「いやあの、これは、強制的に光るだけで、害とかはなくて……その……」
兵士Aが腕を組んでうなずく。
「……とりあえず、怪しいから詰所へ来い」
でしょうねぇぇぇぇぇぇーーー!!
俺は両脇をかかえられ、ズルズルと引きずられていく。
村の通行人たちは皆ひそひそ話。
「見た? あの人……」
「股間が……光ってたわよね……?」
「新手の変態か……?」
「子どもは見ちゃいけません!」
「違うってぇぇぇぇぇーー!!」
村に入って3秒で変質者扱い。
股間だけ光るスキル……
ハズレとかそういう次元じゃねぇよ。
俺の異世界ライフ、前途多難すぎる。




