第2話 俺のスキルは、股間を光らせることです。 笑わないで下さい。
そうだ、まだ慌てるような時間じゃぁない。落ち着くんだ。俺よ。深呼吸をするのだ。
まずは、現状確認だ。もらったスキルの確認をするのだ。俺よ。
さぁ、俺のスキルはなんだ……てかどうやってスキル使うんだ?
……なんてこったパンナコッタ、おいおい、スキル使えねぇぞ!くそ、こんなことなら、あのクソ女に聞いておくべきだった。そう思った瞬間ーー俺の視界の端に、光のウィンドウがふわっと浮かび上がった。
【固有スキル:股間だけが少し光る】
なんなんだぁ、これは?
スキル説明が続く。
【説明:あなたの股間が少し光ります。ただ、それだけですw】
いや、まだ慌てるような時間じゃぁない。落ち着くんだ。俺よ。深呼吸をするのだ。
もう一回説明を聞こう。
【説明:あなたの股間が少し光ります。二度言わせないでくださいねw】
「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
いや、これひどくない。なんでこんなことする。とんでもねぇハズレスキルだろ。なんやねん。股間が少し光るって、いや、やばい、なんか笑えてきた。
はい、俺の人生終わりぃー。はい、終了。
……これからどうすんの?俺。無理じゃね。これ。詰みなんだが。
俺は膝から崩れ落ち、草原に大の字になった。
空は妙に青く、鳥は無駄に元気に飛んでいる。
世界よ。
こんな時に限って、なんでこんなに清々しいんだ。
「股間が光るって……どこの誰が得すんだよ……!」
天に問いかけても返事はない。
当然だ。神様が答えるくらいなら、最初からこんなスキル渡すわけがない。
いや……まじで……どうすんの、俺。
その時だった。
草むらがガサガサと揺れた。
「えっ……魔物とかじゃないよな……? 今の俺、股間しか光らないぞ……?」
戦力:ゼロ
威圧感:ゼロ
光る部位:一点集中
どう考えても逃げ一択である。
……が、草むらから出てきたのは小犬サイズのウサギだった。
ただし、角が生えている。
いや、ウサギのクセに何ファンタジーに寄せてんだよ。
「ピギィッ!!」
ウサギが威嚇してくる。
こっちが威嚇したいわ。
股間で威嚇すんぞ、おら。
「いやいや、落ち着け。俺、戦えないの。見ればわかるだろ? 股間しか光んないの!」
その瞬間、光った。
ピカァッ……(※弱いw)
「!?」
ウサギの動きが止まった。
え……なにこれ……まさか……。
「こ、股間の光……効いてる……?」
ウサギの目が点になっていた。
たぶん、混乱している。
だろうな。股間が光る生物と戦う覚悟なんて普通ない。
「お、おおお……!? これは……もしかしてワンチャン……攻撃手段になる……?」
希望が胸に湧き上がった。
いや、胸に……というより股間に湧き上がっている気もするが、些細な問題だ。
「よし……いける……俺はいけるぞ……!」
俺は勇気を振り絞って一歩踏み出した。
その瞬間ーー
「ピギィィィィィィィィィ!!」
ウサギは急に全力ダッシュで逃げていった。
速い。
チーターかよ。
「逃げたーーーー!? え、俺の股間そんなに怖い!?」
草原に虚しく風だけが吹き抜ける。
……風が少し涼しい。
光ったせいか、なんかこう……股間だけ温かい。
「…………なんだこれ」
俺は天を仰いだ。
この世界で俺は生きていけるのだろうか。
股間の明かりだけを頼りにーー。




