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プロローグ

2度目の春がきた。

高校生活2度目の春が。


今は4月。新入生の浮き足立った感が未だ抜けない頃。




昨日は雨だった。

2月中旬の寒さだとお天気お姉さんが下がり眉で予報を読み上げた。


それから1日経った今日。

昨日の天気が嘘のような『晴天に恵まれ』て、日中の最高気温は27℃となった。


これはもう、恵まれ過ぎである。随分前から世界中で叫ばれ続けている温暖化の影響だろうことは、想像に難くない。



四限目に2-Bで行われていたのは化け学の授業。


生徒の手には下敷きやら教科書やら、またはそれらに準ずるものが握られている。何の為。もちろん、団扇の代わりにする為である。


クーラーなんて気の利いた設備のない貧乏都立高校において、衣替え前の分厚い制服に身を包んで受ける四限目の授業は、罰ゲーム以外の何物でもなかった。


『茹だる』とはまさにこの事。


教師歴26年目、この高校での勤続年数も4年目を迎えたベテラン教師、河森房雄の一所懸命に教鞭を揮う様も、残念ながら今はただ暑苦しいだけで、


「ここが大事ですからねー」


とわざわざチョークを白からピンクに持ち替えてまでテストに出ますアピールをしたところで、素直にペンを走らせる生徒の姿は限りなく0に近かった。


しかしそれは『限りなく0』であって、『完全に0』ではない。


この時間、容赦なく太陽が照りつける窓際の後ろから二番目の席。学ランの詰め襟を一つも寛げず着こなしてその少年は居た。


周りがとっくに放棄した河森の授業に真剣に聞き入り、几帳面な字でノートをとっている。もちろん、大事だと言われた箇所は、蛍光ペンでアンダーラインを引く事も忘れない。



少年の名は"西 慎二"。


父母と三人暮らしという、現代を象徴する核家族の一人息子だ。そのくせ、なぜ"慎一"でなく"慎二"なのか、そんなのは本人も知るところではない。


中の中というレベル、平々凡々なこの高校において、彼は文武両道、優秀な生徒だ。


クラスでは学級委員なんかも勤めている。しかし、それは決してクラスメイトの信頼とか、人望とかの上に成り立っている訳ではない。


言ってしまえば、押し付けられたのだ。


だが、彼は特にそれを嫌がる事もなくすんなり引き受けた。そうする事が、自身にとって一番楽であると分かっていたから。


面倒な仕事を押し付けられても嫌な顔一つせず、真面目な態度で授業や部活動に臨む慎二の姿は、クールビューティーなその容姿と相俟って、クラスメイトに敬遠されているというのが事実だ。


そして、それを彼自身が望んでいる節があるのもまた事実だった。だから休憩時間に一人読書をすることも、昼休みに母親手製の弁当を一人食べる事も、不満や不安に感じる事はなかったのだ。


おぉドキドキの初投稿です。初心者ですので、拙い文章にはご容赦下さい。

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