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居待月 試験結果発表

上弦の月に行われた試験が返却される。ノックスは候補者でいつづけられるのか―?

 激しい戦いを繰り広げた奪目の儀から数日後。

 四人の影人達は再び学問の間に集められた。


「ノックス、今回こそやばいんじゃねぇの。王候補者でいられるといいな……」

 リゲルが漆黒の髪をかきあげながら煽るように言う。

 そこへ羊皮紙を持った長老がやってきた。


「皆の者、静粛に。上弦の月に行われた、王候補資格維持試験の結果の順位発表を行う。今回の結果はちょっと驚きだったのう……」


「ん?」

 頬杖をつきながら窓の外を眺めていたノックスが顔を上げる。


「一位、リゲル・ウィンター!」

「まぁ、そうだよな……」

 リゲルはいつも通り余裕しゃくしゃくで答案用紙を受け取る。


「二位がな、驚いたことに、なんと今回は同点で二人おるのじゃ。」


「えっ? 二人?」

 リゲルは驚いたように振り返って長老を見る。


「二位、アルト・アクィラと……ノックス・セレノス!」


 一瞬、時が止まったかのように部屋が静まり返った。


「に……二位!?俺が!?」

 ノックスは信じられない様子で誰よりも驚いている。


「驚いたなノックス……私と同点とは、お前やればできるじゃないか……」

 アルトが賞賛の言葉をくれる。感情で動かない分、こういう時は素直に褒めてくれるのだ。


「えっ、じゃあ俺、今回最下位なの!? やば~い、エリナにばれたら怒られちゃうから順位だまっとこ!」

 最下位でも通常運転のカペラは、平然と解答用紙を受け取る。


「そういうことじゃ。今回は皆よく出来ておったぞ。特にノックス、よく努力したな。この調子で励むのじゃ……」

 長老はノックスを褒めると部屋を後にした。


「ノックス、すげーじゃん! 俺、正直ノックスって脳筋だと思ってたけど、学問も出来るようになったら鬼に金棒だね!」

 ノックスと肩を組みながら、カペラが屈託のない笑顔を見せる。


「次は負けられないな……次の上弦の月まであと約二十日あるから……」

 アルトはまた何かぶつぶつと計算しだした。


「てか今更だけど、アルトってさ、なんで王になりたいの?」


「秩序のためだ。感情で回ってる政治、形式ばかりの儀式……無駄が多すぎる。王の立場なら、それを変えられる。上に立たなければ、何も動かせない」


「へぇ~、なんか難しいこと考えてるんだね。でも合理的~!」


 そんな騒がしい三人を、一人、冷たい視線で見ていたリゲル。

 美しい眉間にしわが寄り、業火よりも熱い嫉妬心が胸を焼きこがしていたことに誰も気が付かない。


「そ、そうだな……運が良かっただけかも……」

 ノックスは照れ笑いしながら、ルナのことを考えていた。


 ――そういやこの前、ルナが泣いてて試験の出来のこと話せなかったんだよな。

 この後会いに行こう。狩人オリオンの影の新しい単行本も買ったし持っていってあげよう。


 ルナがどんな反応をするのか、ちょっと楽しみなノックスであった。


 ――つづく


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