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エンカウント操作③

「さ、サラマンダー?」


「う、嘘。どうしてこんなところに」


「こ、この森にドラゴンなんて居ないはずじゃ」


サラマンダーに見下ろされ、微動だにできない面々。

その様はまさしく、蛇に睨まれた蛙そのもの。


「グォォォン」


熱気を帯びた息。

それをアランたちに吹きかける、サラマンダー。


冷や汗を垂らし、アランとその仲間たちは一歩後ろに下がる。合わせて四歩。


呼応し、「「「グォォォン!!」」四体のサラマンダーの咆哮。それが轟く。

そして頭上に響く翼の音。


「な、に?」


空を見上げ、青ざめる面々。

一体ならまだしも四体。ありえない。


遭遇率ーー∞


それは"一歩"歩くたびに、対象の魔物に出くわすという恐ろしい力だったのだ。


〜〜〜


一歩歩くたび、クロエの前に現れるダイヤモンドラビット。

その数は既に、数十匹を超えていた。


「さ、流石にこんなに」


しかし、そこでクロエは思い出す。


「だ、ダイヤモンドラビット。姿を見かけることができても、捕獲するのは至難の技。逃げ足が他の魔物の比ではない」


頭の片隅。

そこにあった記憶。

それを思い出し、クロエは捕獲できなければ意味がないと悟る。


現に、クロエがしゃがみダイヤモンドラビットに手を伸ばそうとすればーー


「きゅっ!?」


と鳴き声をあげ、その場から逃げてしまう。


「ど、どうにか逃げる前に捕獲しないと」


考える、クロエ。

逃げる前。逃げる前に。捕まえる。


そこで、クロエは思いつく。


そ、そうだ。


俺じゃなく、ダイヤモンドラビットの遭遇率をいじってやれば……もしかしたら。


よ、よし試してみよう。


エンカウント操作。

対象ーーダイヤモンドラビット。

被対象物ーークロエ。

遭遇率ーー∞。


自分ではなく、ダイヤモンドラビットにスキルを行使するクロエ。


これでもしかしたら。


再び、クロエはダイヤモンドラビットに手を伸ばす。


ダイヤモンドラビットは、やはり逃走。

しかし、クロエとの遭遇率は∞。

目に見えぬ力。それによって、ダイヤモンドラビットはクロエの目の前に戻される。


「きゅっ?」


困惑するダイヤモンドモンドラビットの群れ。


「よし。これなら、捕獲と同じだな。このままこの群れを引き連れて街に戻ろう」


こうしてクロエは、逃げたくても逃げられないダイヤモンドラビットの群れを引き連れ、街へと帰っていくのであった。


その道中。

クロエはふと、思う。


だとすれば。


遭遇率と被対象物をいじってやれば、息をするたび、鼓動を鳴らすたび、瞬きをするたび……その他の方法でも。指定した"被対象物"と出会えることもできるってことなのかな?


よし、今度試してみるか。


〜〜〜

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