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凛として、気高く ―孤高の凱歌―  作者: 久我沢 了
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【第14章 第三十三話「凛の元へ」】



扉を通り抜けた先、霧丸は立ち尽くした。



目の前には、御伽山のもう一方の顔。

鬱蒼とした原生林とは違う



──深い渓谷と大岩壁



谷間には、霧が湧き始めている。



砦までの鬱蒼とした森林はなく、険しい岩稜に囲まれた稜線。



霧丸の目の先は、鋭く切れ落ちた岩壁。



向かいの岩稜には、

そこだけ異質に無数の岩が積み重なり、

地中から迫り上がってきたような自然のオベリスクが聳え立っていた。



霧丸は、疲れた体を引きずりながら、崖の先ギリギリまで進み、目を凝らす。



谷間に無数の陰が見える。



武装した仮面兵士達だ。



その上。



岩山のオベリスクの中腹に人陰が見える。



更に目を凝らす…………



徐々に姿がはっきりとしてきた。



縛られた凛と、傍にマダラ模様の男。



俯いていた凛が、ふと顔を上げ、

霧丸の姿を見つけた。



「来ちゃ……だめえぇぇぇーっっ……!」



凛は、溢れ出る涙に、声を詰まらせながら



必死に叫んだ。



霧丸は、その姿を見て、

そっと目を閉じ、俯く。



「……ぐちゃぐちゃじゃねぇか……」



それは、嬉しさと安堵と悔しさとも言えない呟きだった。



霧丸は、フーッと息を吐き、

乱れた後ろ髪を縛る紐を解いた。



切り裂かれた着物の胸元から

凛の髪の束を取り出すと、

着物の襟を掴み、

そのまま上半身の着物を引き裂いた。



身体中には真っ赤なマダラ模様が……



それは、胸、首、顔と…………



思いが溢れでるように徐々に広がっていく。



霧丸は凛の髪の束を解いた。



それを自分の後ろ髪とまとめ、結び直す。




そして…………





霧丸は、呟いた。





「俺の女を、泣かせやがって」






「いざ、参る!」

  




──霧丸は切り立つ崖を飛び降りた。





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