8.明確な差
剣術の時間。
その日の私は精彩を欠きボロボロだった。
「レイ様今日はもうやめにしましょう」
と言うのは騎士団長だ。
「レイ体調悪い?」
「うん…。お腹痛いし、熱っぽい」
12歳になった頃私に初潮がきた。
そろそろかなと思っていたから私は特に驚きもしなかったのだけれど、ライはそういうわけにはいかなかった。
「レイ!!血!血!血がー!!」
とかなり動揺していた。
「レイ様、お召変えを」
とメリッサとアリッサによって回収された私は、ベットで休んでいる。
「レイ、大丈夫?辛い?温める?」
とライが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれている。
ライは月のものについて学んできたらしい。
「一緒に寝るのももう終わりなんだって」
としょんぼりしている。
確かに。そもそも男女一緒に寝ること自体良しとされていないから、それが終わってもおかしくない。
それに、ライだってそろそろ男の子の事情で一緒寝られなくなってもおかしくはない。
「寂しいけど仕方ないね。けど、寝る時の警護はどうなるんだろう」
「寝室に入る前に捉えられたら問題ないけどね」
「昔みたいに寝室に入ってきたら困るよね」
「まあ。私も強くなったから多少防げるよ。その間に誰かが来てくれるでしょ」
そう。ライは強くなった。剣術じゃ私ももう敵わなくなった。
私は暗器専門だ。私にはそちらが向いていたようで、小さいときから命中させられる腕があった。
まあどちらもまだまだ磨くけどね。ライの代わりを務めなきゃいけないんだから!
ただ、初潮がきたという事はこれからは私とライの性差がどんどん出てくる。
「ライ、私をおいて大きくならないでよ?」
と言ってもどうしょうもない事を言ってみる。
「父上と叔父上も母上達もよく似た背格好だからまだしばらくは大丈夫じゃない?」
楽天的だ。
15歳ぐらいまでは何とかなるだろうか。
毎月やってくるこの月のものの数日は私は体調を崩す時が多くなった。
普通に振舞う努力はしているが、やや注意力や判断能力が落ちる。
こんな時はライの代わりは務められない。
私の役目なのに・・・。
と落ち込んだけれど、ライはライで「体調が悪いレイに無理させられるわけないじゃないか!」と説き伏せてきた。
こんな体たらくで父に怒られやしないだろうかとも思ったが、こちらも仕方ないと納得していた。
ここで、どうして我が国が狙われているのか説明しておこうと思う。
それはずばり、とても豊かな国だからに尽きる。単なる嫉妬だ。
そしてどうして王子が狙われる対象かというと、子供で扱いやすい(狙いやすい)、次の王になる人物だからだ。
人質に取るか、殺してしまって自国の為の交渉に使うか国盗りを目論んでいるかだろう。
その労力を国を良くするために使えよ!!としか思わないがトップが馬鹿だと大変だ。
そんな馬鹿な国と無駄な争いをしたくないうちの陛下。
今入り込んできている間者たちは牢に集められているらしい。それをこの国の知識陣がうまく使うのだろう。
「レイは気にしなくていい」
と父様含め陛下やライにまで言われているので気にしないでおこうと思う。
というか、もう陛下が併合して統治しちゃったらいいんじゃないかなぁ。