64.私の主
メリッサ視点
私の主、ローレライ様はそれはもうとてつもなく美しい。
お生まれになった時は私も子供だったから、可愛いこの子が私の主になるんだ!ぐらいにしか思ってなかったと思う。
その大変なレイ様の人生を子供ながらに不思議に思い、母に尋ねたことがある。
「どうしてレイ様は、男の子の恰好をするの?どうして殿下と呼ぶの?」
と。母は詳しいことは大きくなったら話してあげるから、今はしっかり秘密を守ってレイ様のために、アリッサは殿下のために自分を磨きなさい。
と常々私とアリッサに聞かせてきた。
そうして私もアリッサも、勉強も武術も影としての役割も精一杯やってきた。
そしてレイ様もまた、殿下のために自分の性別まで殺して尽くしてきた。
大きくなり、体つきが変わってきてもなお、お2人は『殿下』であり続けた。
そして『殿下』の役割が終わり、お2人が『殿下』を合わせなくてよくなった途端に王太子殿下はぐんぐん背が伸び、声も低くなってきている。
レイ様もまた、今まで隠し続けてきた胸はさらに大きくお尻は丸くより女性らしくなってきている。
お2人は『殿下』であるために、お2人ともにご自身を無意識に押さえつけていたのだろう。
そうしてやっと令嬢に戻れたレイ様をより美しくするのが私の仕事の一つだ。
シオン様と婚約をしてからのレイ様はどんどん美しくなっていく。愛されて美しくなるとはこのことだろう。
夜会でほんのちょっと色を足すだけのメイクで女神になってしまう私の主は、ご自分が美しい事は理解しているが自覚が薄い。
レイ様は知らない。
その見目麗しさから釣書が山のように届き、それは独身・既婚関係なく届いていることを。
騎士団へ行くときも、常にシオン様が付けた護衛(影仲間を侯爵家へ連れて来た)がひっそりレイ様に下心を持って近づく者を排除していることを。
夜会でも常にシオン様が、視線で威圧し牽制していることを。
それでも漏れてくる虫どもを、旦那様(伯爵様)が排除していることを。
自分に下心を持った虫どもが寄ってこないから、シオン様がモテて困るとレイ様はおっしゃっているがレイ様に惑わされた有象無象はレイ様の目に触れる機会が無いだけでシオン様の比ではないと言うことを。
ほとんどの貴族は気付いている事実に、早く馬鹿どもは気付いてくれないだろうか。
シオン様には美しくも逞しく、小悪魔のように可愛らしいレイ様しか見えていないと言うことに。
2人を認めない者達は貴族でいられなくなると言うことに。
どうして張り合う気持ちが生まれるのか不思議でならない。足元にも及ばないのに。鏡を見て欲しい。
レイ様の美しさは旦那様譲りではあるが、旦那様より色気を抑えその色気は初々しく花開くように増していく。お相手がいる男性であろうと一度は目を奪われてしまう程の、圧倒的 美。
外側だけでなくその努力からにじみ出る美には敵うはずもない。
常に傍にいるフレッツですら見惚れるのだから。私の語彙力ではレイ様の美しさを伝えきれないのが悔しいところである。
シオン様なんてしょっちゅう固まっている。シオン様の気持ちは手に取るようにわかる。私もフレッツもシオン様同様、ああレイ様が今日も凶悪に美しくも愛らしい。とそう思っている。シオン様との違いは慣れ。それだけに尽きる。
シオン様とレイ様は仲睦まじく、シオン様がレイ様しか目に入らないのと同様にレイ様もまたシオン様しか見ていない。
そして、レイ様のやっと訪れた平穏な幸せを邪魔しないでいただけるだろうか。
レイ様の御子を抱っこするのが私の夢だ。
私とフレッツは婚約者同士であるが、共にレイ様を護る戦友でもある。レイ様がご成婚の後に私たちも結婚しようかと話しあっている。
私とフレッツがレイ様を守り続けるように、レイ様の御子を私の子供に護らせたいという野望もある。
きっと生まれ来るレイ様とシオン様の御子は、天使のように大変愛らしいのだろう。
レイ様のプレッシャーになってはいけないから私の野望は心の中で抱き続けるのみ。
私の仕事は今日も、レイ様が穏やかに健やかに過ごせるように手を尽くすことである。
メリッサは普通の主従関係以上にレイ強火担です。




