44.プライドはへし折れ
「王女殿下も、公爵令息様も残念でございました。もう2度と会うことも無いでしょうから、はっきり言わせていただきます。王女殿下は何故全てにおいてご自分が一番だとお思いなのですか?どうしてそんなに自信がおありなのですか?正直こんなに頭の悪い王女などルナールに切り捨てられてもおかしくないのに、気付いていらっしゃらない所が残念ですわ」
おっとりと、だが間髪入れずに小首を傾げながら一気に捲し立てる。
「・・・」
「それにディスィーヴとルナールの仲が良くないことに気付かない王女自体がどうしようもない。自国のこともわからず、敵国の王太子に言い寄るなど・・・王女との結婚に何のメリットも無いのに。
それに美しさに自信があるようだけど美しさで言ったら、ここにいる我が従妹殿の方が美しいしね。心根も」
と更にライも援護射撃をしてくる。
「それに、令息様もわたくしに婚約者がいるとわかっていてそんな卑怯な手で手に入れて無理やり結婚させてあなたの思い描く結婚生活が手に入るとお思いですの?わたくしがあなたを好きになると?
それから今までおモテになっていたから、わたくしが靡かないと腹を立てたかもしれませんが、それはあなたが公爵家の嫡男であるというまあある種のブランドですわね。それで女性が放っておかなかったのでしょう。それにあなた容姿にも自信がおありですわね?けれど、見渡していただけます?」
と手を広げながらここにいる人物を流れるように指していく。
するとライが
「見慣れてるよね」
とすかさず合いの手を入れる。
「そう。見慣れておりますの。あなた程度の人もそれ以上も。ですからわたくしにとってあなたの価値は無に等しいのです。わたくし自分本位な人間は大嫌いですの」
にっこり微笑んでおく。
プライドをギッタンギッタンのめっちょめちょにへし折っておく。
この手のタイプは自分自身の価値はそれほど無いのに、それに気付いてないから傍若無人な態度を取るのだ。
私がこの場に呼ばれた理由は、両者のプライドをへし折れとのことだった。
自分が好いている人間に、無価値だと言われることほど辛いことはないだろう。
呆然とする2人は騎士に連れられて出て行った。
ルナールとの交渉(脅し)は首脳陣がうまくやるだろう。
そうしてルナールとの表立った戦いは幕を閉じたように思われた。
しかし今度は、王女と公爵令息のしでかしたことを謝りたいとルナールの王太子殿下がディスィーヴへと直接やってくると国を通した正式な書簡が届いた。
まあ確かに没交渉になって困るのは向こうだ。だから謝りたいというのもあながちおかしくない話ではある。
だが、あの小賢しいルナールのことだ。
謝りたいと言いながら何かまた策謀を巡らせているのではないかとまた皆で頭を抱えることとなった。




