15.ガオナー伯爵令嬢
さてさてこの国ディスィーヴの成人は16歳だが、デビュタントは15歳である。
デビュタントを迎えると準成人となり、大人と同じような扱いを受け成人までの一年で社交界での交流の仕方を学んで生かせ!ということだ。
そして私とライも15歳。例に漏れず、デビュタントを迎えることとなる。
さすがにデビュタントは、病弱でも出席しなといけないらしくガオナー伯爵令嬢初めての公の場である。
ドレスを作るべく体のサイズを測る。
「まあまあ!ローレライ様!素晴らしいスタイルですわ」
とはお抱え仕立て屋の言葉である。
とてもサラシじゃ追い付かなくなってきた憎らしくも誇らしいこのお胸。
それでいて腰回りはくびれている。
ライと一緒に剣術や乗馬などをこなし適度な筋肉が付いた私は、何ともけしからんスタイルへと成長した。
肝心のライとの差だが、まあまだギリギリどうにかできるかな?レベルだ。
背は少しライの方が高くなったし、ライは男性らしく胸板は厚く肩幅も広くなった。
顔はまだそっくり・・・だと思う。
たぶん並ばないとわからないとは思う。
令嬢として初めて華美なドレスを着て公の場に出ることは、私にとって刺客に囲まれているという状況より緊張する。
母達の意見を参考に作ってもらったドレスは。
伯爵令嬢らしく、飾りすぎない上品なドレスとなった。
生地はサテンを使い、上半身はシンプルに、スカート部分はウエスト横に薔薇を作ってもらいそこに向かって生地を重ねるAラインのスッキリとしているけれど、豪華なドレスになっている。
色が白なだけに、前世のウエディングドレスさながらである。
母達の本気を見た。
私より爵位が上のご令嬢方は、宝石などもドレスに付けていてもっと豪奢であると予想される。
前世のウエディングドレスであろうが、公爵・侯爵家のドレスには及ばないのである。
ちなみに、デコルテは開いており下品にならないようにオフショルダーとなっている。
お胸は前から見ると谷間は見えないが、上から見るとわかる程度に出している。
女性らしいというのも、ライにそっくりだということをわからせないようにするのに使えるからだ。
誰も私がライを演じているとは思わないだろう。
まあ、父や弟たちからは出しすぎだ!と反論されたが母様が黙らせた。
王家のためだ!と言われると弱いのだ。
そして、当日。
メリッサと私も絶対に関わりたい!と言ったアリッサによって全身を磨かれ、髪を結われ、化粧を施してもらう。
鏡を見てびっくり。
普段緩く後ろで纏められているだけの髪は複雑に編み込まれハーフアップに。下ろしてある髪は緩やかにウェーブを描き、金髪がより輝きを放っている。
いつもほとんど化粧もしない顔は、眉は優しくアーチを描き、やや垂れ目がちな碧眼は色を足され艶やかに、唇はぷっくりと咲き始めた花のように色づいている。
色気が漂い始めた麗しい美女が爆誕していた。
ローレライは父に似ており、令嬢の装いになるとどこか色気の漂う令嬢へと変身します。