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11.家族

名前がややこしいです!


その日は母たちや弟たちとお茶会をしていた。

皆仕事はお休み、家族デーである。ああ、父たちはいないのだけれど。


そして家族しかいないのと私、ライ、ルカ、ルイ(ライの弟)が自分の身は守れるということもあってメリッサとアリッサには休みを取らせていた。

まあ母たちの侍女と弟たちの侍女がいるから問題も起こらないだろうと、普段休みを中々取らせてあげられない2人を休ませた。


可愛い弟たちは7歳になりわんぱく盛りだ。

「姉さま、ぼくにもナイフの使い方を教えてください」

「兄さま、ぼくには剣術を」

姉さまと呼んでナイフの扱い方を聞いてくるのはライの弟のルイであり、兄さまと呼んで剣術の指導を乞うているのが我が弟のルカである。

この2人は得意な武器が私たちと逆なのだ。

たまに私もライも弟たちに稽古をつけており、とても懐いてくれている。可愛いものだ。

7歳の私たちにそっくりではあるのだが。


私たちが長髪であるのに対し弟たちは短髪である。

私的には顎辺りで切り揃えたおかっぱヘアでいてほしかったのだが本人たちが拒否したので仕方ない。

この可愛い弟たちも当然私たちが見分けられる。

喋れるようになった時には見分けていたのだから侮れない。

私の性別は幼子が喋ってはいけないと黙っていたのだが、賢い弟たちは物心ついた時には知っていたのだそう。


「母さま、姉さまがおそわれた事件はごぞんじですか?」

とルイ。

「もちろんよ。だけど、レイは返り討ちにしてやったのでしょう?」

「もちろん」

「姉さま、姉さまは男の子の振りをしているとはいえ女の子なのですからもっと自分を大事にしないと」

可愛く心配してくれる優しい弟分のルイ。


「そんなのは不要だよね。どう生かすかが問題だよね。姉さま」

とやはりイカレているのがルカだ。何とも物騒な7歳児である。


「そうだよね」

「レイとルカはほんとよく似た姉弟だよね」

とライが言うけれど

「「そう?」」

と2人で首を傾げるのだった。


「レイは女の子は封印しているから良いのよ」

と言う母様に

「せっかくこんなに可愛いのに、着飾れないのは残念だわ」

と息子と同じ顔の私に対して言う言葉なのか母上よ。


とほのぼのと会話をしているところに

新しいお茶とお菓子が運ばれてくる。

運んでくるのは、母上の侍女に似た人物(似せてるのだろう)。

運んでくる侍女を見たのは、運ばれてくる物からわずかに毒の匂いがしたからだ。

それから侍女の反応。わずかに目を見開き、同じ顔がいることに驚いたようだった。

ここで私とルイが目くばせをする。

ルイが

「おいしそうな匂い!どこのお茶なの?」

と可愛らしく無垢な振りをして尋ねながら侍女に近寄る。

侍女は何かおかしいと感じたのか、髪から飾りを外しルイの首元へと・・・


が、ルイが先にベルトに隠し持っていたナイフを突きつける。

「お前、どこのもの?子供だと思って油断してたろ」

「捕らえなさい」

とルカに目くばせする。


ルカがあっという間に取り押さえる。もちろん自害防止にハンカチを口に突っ込むのも忘れていない。

「フレッツ!フリッツ!知らない女を通したらダメじゃないか」

と言うと。

「旦那様がルース様の仕上がり具合を見たいとおっしゃいまして」

イカれた父はわかっていて通させたようだ。悪い顔で微笑む父が目に浮かぶ。


その侍女もまた父様の贄となった。



「ルイよくやったね」

と頭を撫でてやると嬉しそうに

「姉さまにはまだまだ敵わないけどね」

と笑う。

優しい子ではあるが、敵に容赦はしない。

王子と言う立場で狙われるのは一緒だが、第一王子の比ではない。

ルイが暗器を使うのは兄の為でもある。王族の替えが利かない場合、ルイが応戦できるからだ。


「ああ、ぼくももっと暗器の特訓しないとかなあ」

とルカが呟く。

「まあ今の場合は私とルイの出番だったからねえ」

暗器には暗器を。常に私たちは帯剣しているわけじゃないから。

ルカにもまた頭を撫でてやる。




「私も鉄扇使いたかったのに!!」

と母様が言っていたのは聞かなかったことにする。




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