1.それはそう呪いのように
新連載始めました。
これまた頭を空っぽにして特に何も考えずに読んでいただけると幸いです!
また作者はお豆腐メンタルなので、合わないと思ったらブラウザバックでお願いします!
それは最後の仕事のはずだった。
王子の身代わり、影武者としての・・・。
この国はディスィーヴ王国といって、絶えず国を挟んだ両隣国と揉め事が起きる国である。
そしてこの国を治める国王が、リード=ディスィーヴである。
ディスィーヴ国王は賢王であり、この両国との和平を結びたいというのが目下の課題だとしている。
「リカルド、もうすぐ子が生まれる」
「ええ。うちももうすぐ生まれますので、王子であろうが王女であろうがご安心ください」
そう王に答えているのがリカルド=ガオナー。
ディスィーヴ国王の執事長を代々務める貴族で伯爵家当主である。
ガオナー伯爵家は王のために人生を尽くす役割を誇りとしている貴族で有名である。
この王リードと伯爵リカルドは同じ歳で幼馴染、乳兄弟であり、時に運命共同体である。
そして自分たちも通ってきた道を今度は子供たちが通ることとなる。
貴族として当たり前の事ではあるのだが、この王と伯爵の関係は普通の貴族とは異なりこの国のトップシークレット。
つまり国の上層部でしか知りえない関係なのである。
リード王は金髪、碧眼という端麗な容姿をしており、リカルドもまた金髪、碧眼でよく似た顔立ちをしている。
だが、国王は短髪にしており一見爽やかな印象であるのに対し、リカルドは長髪を後ろで纏めており少し色気を漂わせる印象である。
リカルドが短髪にすれば、もしくは王が長髪にすれば2人をよく知る人物でなければ見分けがつきにくいであろう。
この2人、つい3年ほど前まではそっくりの容姿をしていたのである。
しかしそれを知るのは上層部のみ。ガオナー伯爵家は成人するまでは皆身体が弱く表には出てこられない貴族としてこれまた有名な話だ。
ガオナー伯爵が表へ出てきたのは、リード王が戴冠し結婚したときである。
代々ガオナー伯爵家の人間はそうやって表へ出てくるので、他の貴族は何の違和感も抱かないように長い年月をかけ印象操作されている。
どうしてガオナー伯爵家の当主が表へ出てこないか。
それは王子が乳児から成人するまでか王として戴冠し結婚するまで、身代わりまたは替え玉として育てられるからである。その時の時世によってどのタイミングで執事として表へ出てくるかが変わるのだ。
今代は王の戴冠・結婚の時であった。麗しい執事が王の側へ立つようになったのは。
その見た目の違いから他の貴族は疑うことなく、今代のガオナー伯爵も美麗であると認識を深めるだけに留まる。ガオナー伯爵家が歴代美しいのは当然で、なぜなら王家が見目麗しいからに他ならない。
そうしてなぜ替え玉になれるほどよく似ていたか。
王とガオナー伯爵が奥方になる令嬢を似せるから。よく似た令嬢を探すか、姉妹を娶っているから。
どうして今まで婚姻が失敗したことがなかったか、それは王の忠臣の子供たちであったからだ。
今代も例に漏れず侯爵家の姉妹を娶っていた。
それはそう呪いのように。
そして子供たちの運命の歯車が動き出す。
大まかな説明回です。