17文字の花束を
今日はとても美しい夜で、いつもより金星が輝いて見えます。
ただ、明日はすぐにでも大洪水になるそうなので、急いで箱船をつくらなくてはなりませんね。一体私たちは何日の間漂えばいいのでしょうか。
そうしてきっと、私たちは箱船の上で始まりの夜明けを歓ぶのです。七日後にきっと世界があると信じて。そうでないとかっこつかないでしょう?
その次の日は、晴れときどき転落。下方注意報。人と成るにはあと一年足りないので、きっと悔しがるかもしれませんが、しばらくの辛抱です。師走などあっという間にすぎていき、二月目にはもう終わってしまうのです。
そうしたら最後の日など息つく間もなく来てしまいます。人に成ったら次の年には何になる? その終末には何が待っている? ホームベースの土がまだ何者にも荒らされていないことを恐れて、その一つ前でずっと待っているのでしょう? 前に来る者はなし。しかし後ろにはもうすぐそこまで。次の走者が走って走って、ここまでたどりついてしまったら、ほらおしまい。
こう見るとたった二日のようですが、時間になおせば充分な量でしょう。もう充分。よくここまできました。足下をご覧なさい、そこに映っているでしょう。貴方はもう青少年ではないのです。そこにいるのは昨日の貴方。じっと見つめて別れを告げましょう。あちらこちらを転々とするのももうやめです。星座たちもみな総出でお祝いにきましたよ。頭のやつから順々に一言述べていき、最後の一人は言葉もなく拍手を送ります。
最後の彼女は言葉にするのが苦手でしたが、それは確かに心の底からの拍手でした。
今日は金星が綺麗です。あなたがどうか最後にもう一度望遠鏡を覗いてくれますように。