表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

九州大学文藝部 追い出し号 『生前葬』

17文字の花束を

作者: 水彩度

今日はとても美しい夜で、いつもより金星が輝いて見えます。






ただ、明日はすぐにでも大洪水になるそうなので、急いで箱船をつくらなくてはなりませんね。一体私たちは何日の間漂えばいいのでしょうか。


そうしてきっと、私たちは箱船の上で始まりの夜明けを歓ぶのです。七日後にきっと世界があると信じて。そうでないとかっこつかないでしょう?




その次の日は、晴れときどき転落。下方注意報。人と成るにはあと一年足りないので、きっと悔しがるかもしれませんが、しばらくの辛抱です。師走などあっという間にすぎていき、二月目にはもう終わってしまうのです。




そうしたら最後の日など息つく間もなく来てしまいます。人に成ったら次の年には何になる? その終末には何が待っている? ホームベースの土がまだ何者にも荒らされていないことを恐れて、その一つ前でずっと待っているのでしょう? 前に来る者はなし。しかし後ろにはもうすぐそこまで。次の走者が走って走って、ここまでたどりついてしまったら、ほらおしまい。




こう見るとたった二日のようですが、時間になおせば充分な量でしょう。もう充分。よくここまできました。足下をご覧なさい、そこに映っているでしょう。貴方はもう青少年ではないのです。そこにいるのは昨日の貴方。じっと見つめて別れを告げましょう。あちらこちらを転々とするのももうやめです。星座たちもみな総出でお祝いにきましたよ。頭のやつから順々に一言述べていき、最後の一人は言葉もなく拍手を送ります。


最後の彼女は言葉にするのが苦手でしたが、それは確かに心の底からの拍手でした。






今日は金星が綺麗です。あなたがどうか最後にもう一度望遠鏡を覗いてくれますように。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ