第十一章 言帰正伝 (第十章までのあらすじ)
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宇王朝の首都、華都には、官吏登用試験用の私塾「山麓」があった。
欧陸洋は、そこに通う十六歳の学生である。
華都では、最近、灰色の目をした賊が現れ、店ごと何らかの術で吹き飛ばすという事件が多発している。
仙人のしわざだ、と言われていた。
ちょうどそのころ、灰色の目をした楊淵季が「山麓」に入塾する。
ある日、仙人を名乗る老人が「山麓」に現れた。
老人は、教室の壇上で従者に持たせた仙鏡を取り出す。
そこには、隣室にいる学長・黄徳志が映っていた。
老人が鏡に向かって首を絞める動作をしてみせると、
鏡の中の学長が苦しみ始めた。
欧陸洋と楊淵季は、隣の部屋に駆け込んだ。
学長を救い出そうとしたところ、老人が入ってきた。
老人は、楊淵季に共に来るように言い、さもなくば欧陸洋を殺すという。
楊淵季は応じ、連れ去られた。
欧陸洋の見守る中、学長は息を引き取る。
その間際、見開いた学長の目は、灰色だった。
残された欧陸洋は、役人に殺人容疑をかけられる。
鏡越しに人を殺すなど不可能だ、と考えた役人は、事件直後に学長のいる部屋に入った欧陸洋と楊淵季を疑ったのだ。
欧陸洋は、楊淵季に罪をかぶせたがる役人を拒絶する。
居場所のなくなった欧陸洋は、友人の周仲興や孫伯文と共に華都を脱出する。
その際、「山麓」で働いていた少年、程適を巻き込んで、連れ出してしまった。
欧陸洋らは、逃げた先で、周仲興の知り合いの宿屋に身を寄せた。
その宿屋で、玄都という街の近くに龍鳳山という仙人の国があると知る。
そこに行けば、犯人である仙人を見つけられるかも知れない。
陸洋らは、龍鳳山を目指すことにした。
ところが、宿屋の主が周仲興の父と通じており、陸洋らは仲興の家の者に引き渡されそうになる。
仲興は、陸洋、伯文と共に周家の者を撃退することを決めた。
陸洋は、お守り代わりの帯玉を程適にもたせ、先に逃がす。
三人は船に乗り、周家の追っ手をかわそうとするが、失敗。
仲興と伯文は、陸洋を南方に逃がした。
一人きりになった欧陸洋は、船での漂流を経て、玄都に向かう。
途中、帯玉を返すために追ってきた程適と合流、
とうとう、玄都に到着した。
玄都で二人は、仙人国である迂峨過都と、その支配者で仙鏡で人を殺す「天君」について教えてもらう。
その迂峨過都の「天君」から呼び出され、欧陸洋は仙人国に上ることになった。
小船で迂峨過都に到着した陸洋は、文明の高さに圧倒される。
天君がいるという龍鳳洞に向かう途中、陸洋は武偉長という金髪の大男に出会う。
しかし、武偉長は天君に殺されてしまう。
やはり、鏡を使った遠隔殺人だった。
天君は、陸洋に、楊淵季に仕えるよう迫る。
陸洋が隙をついて逃げ出したところ、頭上に虹色の鸚鵡が飛んできた。
楊淵季と合流した陸洋は、龍鳳洞から脱出した。
二人は、武偉長の殺害現場であったと考えられる、龍鳳洞にほど近いやぐらに上る。
やぐらでは全面鏡でできた箱と、ガラスの目がはまった小さな玉を手に入れたが、使い道がわからないままだった。
欧陸洋の身を案じた楊淵季は、彼を何虎敬の元に連れて行く。
彼なら陸洋を保護してくれると考えたからだった。
結局、何虎敬のとりなしで、欧陸洋も楊淵季も馬虎飯店に匿われることになった。
しかし、何虎敬は天君の出頭命令に応じ、龍鳳洞で捕らえられてしまった。
二人は、何虎敬を救い出すべく、龍鳳洞に向かった。
龍鳳洞の鏡の間では、何虎敬の処刑が始まっていた。
何虎敬の体は突然宙に浮き、天井の穴から吸い出される。
同時に爆発が起き、辺りには血肉が飛び散った。
陸洋と淵季も龍鳳洞に囚われ、迂峨過都の歴史について学ぶことになる。
歴史によれば、不思議な遺物を与えた古の人が、天君に国を託したのだという。
天君の資格があるかわかる宝物があると知らされた淵季は、自分に資格があるか試すことにした。
淵季は、自分には資格がないと確信していたが、「汝為天君」という文字が宝物にの中に浮かび上がった。
誰もいなくなった部屋で、陸洋も宝物に手をかざし、自分が国を滅ぼす異形であることを知る。
自分の境遇に戸惑う二人だったが、窓から飛華洞の道士たちが葬儀を行う様子を見て、違和感を感じて、龍鳳洞を脱出した。
真実をつきとめるべく、陸洋と淵季は飛華洞に向かう。
途中、飛華洞に荷物を運ぶ一四才の少年、李三と出会った。
李三の手引きで飛華洞に入った二人は、先代天君の研究室で、映像を映し出す灰色の板を見つける。
また、天君が作ったという望遠鏡で見て、迂峨過都の麓で程適が竹で足場を組みあげているのを知った。
飛華洞から出た後、淵季は李三についてある事実に気づき、天君の罪深さを思う。
淵季は自ら天君になることを誓い、天君を必要としない迂峨過都のしくみを考えた。
その後、再び飛華洞を訪れ、道士たちの賛同を得る。
さらに天君の道術のしくみを解くため、最古参の道士であり、飛華洞の責任者である洞主に一番最初に殺人鏡・龍鳳古鏡が使われたときの話を聞いた。
楊淵季は、李三から武偉長殺しの真実を聞き出すに至る。
李三は天君の道術の秘密を教えようと、楊淵季らを芙蓉棚での観劇に誘った。
しかし、劇が終わり、さらなる真実を告げようとした李三は、
天君の手に掛かり、透明な縄で首をくくられて殺されてしまう。
その際に、楊淵季は何虎敬の事件の真相にたどりついた。
飛華洞で道士たちを問い詰め、何虎敬と再開した楊淵季は、
天君の道術を暴くために知恵をめぐらすことになった。




