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プロローグ

妖精のいたずらと言われる、『妖精の取り換えっ子』は何十年に一回あるかないかの出来事で、物語にはなっているけど誰もが自分たちに起こることだとは考えていなかった。

そして本来なら『妖精の取り替えっ子』と言われているそれは、妖精の赤ちゃんと人間の赤ちゃんを入れ替えるものだった。それなのに今回は人間同士の赤ちゃんを入れ替えてしまったのだ。


『おいおい、人間の赤ちゃんを入れ替えるのかい?』


 黄色い頭の妖精が『取り換えっ子』をしている青い頭をした仲間の妖精に声をかける。


『ふふふ、だって楽しいでしょ。それに生まれたばかりの妖精の赤ちゃんがいないんだもの』

『人間同士を取り換えて何が楽しいんだか…』


 黄色い頭の妖精はやれやれと言って肩をすくめる。でも仲間のしていることを止めたりはしない。

 賛成もしないけど反対もしないとふわふわ浮かんで眺めているだけ。

 入れ替えられた赤ちゃんたちがどうなるのか、そんなことは彼らには関係なかった。

 赤ちゃんたちのフォローをするつもりもない。ただいたずらするのが楽しくてたまらないのだ。

自分たちのいたずらで人間たちが騒げば騒ぐほど妖精の機嫌はよくなる。


『それにしても、片方は貴族の赤ちゃんだぞ。こんなことしていいのかな。みつかったら大変なことになるぞ』

『ふふふ、大丈夫よ。人間は私たちと違うもの。きっと気付かないで育てるわ。この子たちの運命がどこかで交わった時、その時に『取り換えっ子』に気付くのよ。どうするのかしら。かわいがっていた子がわが子じゃないのよ。捨てるのかしら、それとも仲良く一緒に暮らすの? どうなるのか楽しみだわ』

『貴族と庶民の子供が交わる時なんてないと思うよ。ずっとこのままかもな』

『その時はその時よ。最後の最後に教えるのも楽しそう』


 青い頭の妖精はキラキラした目で入れ替えた赤ちゃんたちを眺めていたけど、他の楽しみを見つけると去って行った。入れ替えた赤ちゃんのことを思い出すのはずっと先になるだろう。妖精の時間と人間の時間は流れが違うから、彼らが思い出すのはずっと先。

 黄色い頭の妖精は頭をガシガシとかいていたが、入れ替えられたばかりの赤子の頭をそっと撫でる。

『悪い。僕にはどうにもできないんだ』

 生まれたばかりの赤ちゃんはまだ目を開けていないから瞳の色はわからない。髪の毛の色だってよくわからない。

 二人の運命は妖精のイタズラによってまるで違う人生を歩むことになる。


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