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06

最終話



 ゴールデンウィークに入った直後、彼女はどこからともなく戻ってきた。 

 どこでどうしていたか、記憶にないという。


 彼女がそう言うのなら、そうなのだろう。


 表情が乏しくなってしまった彼女に対して、ご両親も責めることなく

 この休暇が明ければ彼女も大学に復帰する。


 今じゃなくていい。いつか、話してくれればいい。

 帰りに会うとカフェに寄り道したり少し話せる仲になったのだから

 少しずつ慣れて、いつでも俺を頼ってほしい。


 

 少し肌寒い深夜に、彼女はまた歌うようになった。

 泣きたくなるような、身を切り裂くスターダストになっていた。




***



 私が極夜に隠れ慈しまれていた間、

 お人よしのお隣さんがかなり両親と協力して探していてくれたらしい。


 「ああ、よかった、おかえり」


 そう優しく微笑まれ、私は泣きたくなった。

 ただただ優しい、あの人と重なったからから。



 それは一度きりじゃなくて、何度も何度も重なる。

 カフェでお茶をしていても無理に話そうとはしないし、視線が合えばにこにこと笑顔を返される。


 たまに母がやってきてはお隣さんの部屋で3人一緒にクッキーを焼いたりもした。

 耳馴染みのある軽やかなジャズを流しながら微笑む陽だまりのようなお隣さん。

 やさしく包まれるような彼から離れがたくて思わず手を握り締めたこともある。


 だけど抱きついて縋って当り散らしたらさすがに疎まれるだろう。

 次こそ失わないようにするにはどうしたらいいのだろう。



 それともあの彼のいる世界に戻れる日がくるのだろうか。



 寒くて身体が冷える真夜中に目覚めると、そうであって欲しいと願う私も消えずにいる。



嗜癖性疾患×ストックホルム症候群…(*´ー`*)

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