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第92話 ハイエルフ

「ハイエルフ!? 実在してるんですか!?」


 カーネリアの言葉を聞き、ミントが驚嘆した。

 ハイエルフ、永遠とも呼べるほどの長命を誇り、人など足元にも及ばないほどの魔力に秀でた種族だ。人前には滅多に姿を見せることがないため、一般的に知られていることはそれが全てと言って過言ではない。一説にはエルフ族の貴族に当たる種族であると言う話だが、はっきり言って眉唾ものである。


「驚きですわね。国の根幹をなす組織のトップに異種族を据えてるんですの?」

「ええ、そうです。確かに普通であればそう言ったことは避けるのでしょうけど、その理由を知れば不満を抱く人間なんてそう多くはいませんよ」


 ルミナの問に、アンゼリカさんがいたずらっぽく答えた。

 長命のハイエルフが国の要職の一つとも言える、ギルドマスターに据わっていてもそれが当然と思えてしまう理由。俺はすぐに一つの可能性に行き当たる。


「そう言うことか。何となくわかった」

「あら、勘が良いのね。きっとあなたが今考えている通り。この国の建国から関わっている人に資格がないなんて言えないでしょう?」


 カーネリアが俺が考えたとおりの解答をよこす。


「またずいぶんと物好きなハイエルフがいたもんだ」

「またソルト君はすぐにそう言うことを……」


 センティッド王国はもうじき建国千年となる。いくら永遠に近い寿命があるとはいえ、軽く見て良い時間ではないはずだ。

 その間ずっと関わり続けているというのだから、これを物好きと言わずして何という。


「俺も知り合いに一人いるが連絡もなしふらっとやってきたと思えば、自分で持ってきた土産を一人で完食する様な自由な奴らだぞ? 到底縛り付けられて我慢していられるような種族じゃない」

「きっとそっちの方が特殊な例じゃないかな。エルフの人たちってどちらかと言うとお堅いイメージだけど」

「挙げ句にこっちが蓄えてたものまで完食しやがってあのババア!」

「ミント、聞こえてないみたいだよ。何かのスイッチが入っちゃってる」


 まったく爺の知り合いにろくなのはいない。


「とにかく、ハイエルフなんてのはどいつもこいつも若作りのクソババァだ」

「とうとう性別まで一纏めにしちゃいましたね」

「余程恨みが募ってるんですわね」

「だとしても止めたほうが良いね。いきなり組織のトップを罵るなんてどう考えても正気じゃないさね」


 意識の端で、そんなやり取りが聞こえてきた直後、俺の後頭部めがけて何かが投げつけられる。


「久々に見かけたと思ったらいい度胸じゃないかい、このクソガキが」


 意識の薄れていく俺の背後から、そんな声が聞こえてきた。

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