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第71話 幕間 フェンネルの課題 中編

 俺達は客入りが落ち着いた後、アカンサスの防具屋へと行くことにした。全員で言っても仕方がないと、リナリアは宿に残って仕込みを手伝っている。

 宿を手伝っている時のリナリアは、ギルドの依頼をこなしている時よりイキイキしている気がする。あいつはそっちの方が向いてるんじゃないだろうか。


「そう言えばソルト。ルミナに祈ってくれそうな子は見つかったのかい?」

「まだだ、と言うか条件に合いそうな子は大体冒険者なんてやらないんだよ。乗合馬車に同道した人間に頼んで、とりあえず、パニカムへ帰ったほうが良いかもしれないな」


 事情聴取に関しては一段落ついた。リナリアの言う通り呼び出されるとしても、パニカムの方がより王都に近い。予め伝えておけば、そう大きな問題にはならないだろう。

 パニカムへ戻れば、エリオに頼むという手もある。ディールなら行けそうだし、頼んだって良い。少なくとも拠点でもないアカンサスでメンバーを探すより余程建設的だ。


「あんた達は命を共有してるんだったね」

「そうだ、だから馬鹿な喧嘩なんてせずに仲良くして欲しいんだが」


 そう言って、じっとタイムとルミナの方へ視線を向ける。すると、二人は揃って別々の方向へ視線をそらした。

 その隣で笑っているミントの圧が凄い。それを感じ取った二人がビクリと体を震わせていた。


 そうこうしている間に、俺達は防具屋へと辿り着く。大都市ということもあって、その大きさはパニカムのものとは比較にならない。


「まぁ、いずれにせよ、いつまでもここに居るわけにも行かないんだ。アンゼリカさんに相談してみるとするさ」


 そんな話をしながら防具屋のドアをくぐると、そこにはリユゼルの姿があった。


「あれ、皆揃ってどうしたの?」


 リユゼルが防具屋へとやってきた俺達へ話しかけてくる。


「ちょっと防具の新調にね。そっちこそどうしたんだい?」

「私はお遣い。へへ、偶にギルドから用事を頼まれるんだ。私自身は冒険者の資格は持ってないんだけど、お姉ちゃんとよく行ってたからその関係でね」


 どこか照れくさそうにリユゼルが答えた。


 なるほど、と思う半面、ありえるんだろうかとも思う。まあ特に嘘をつく理由もないかと思い直し、俺はそれを忘れることにする。


「リユゼル、何をあんなに急いでるんだろう?」

「さてね。一先ずあたし達は目的を果たすとしようじゃないさね」


 姉さんはそう言うと展示してある防具を物珍しそうに物色し始めた。

 

「ソルト君、私達も中を見て回ろうよ。出来れば私の防具を選んでほしいんだけど」

「それもそうだな」


 初めて訪れたミントに選ばせるというのも酷な話なので、俺達も姉さんに続き店内を物色することにした。

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