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第65話 ソルトの誤算

「……外した」

「焦らないで、落ち着いて狙えばどうと言うことはありませんわ」


 目標を外したミントちゃんへ、ルミナが声を掛ける。未だに勝てると信じて疑っていないらしい。

 

 なるほど、生まれたばかりみたいだし、才能はあっても経験が伴ってないってところか。


「どう思います?」

「無理だな、光の適性には驚いたが、何の訓練もなしにそううまくは行かないよ」

「ですよね、現実甘く見てますよね! 注意して下さい。ああ言う人はあまり事実を指摘すると意固地になりますよ!」

「お前ルミナにはなんか厳しいな……。というかそう思うなら声を落とせ」


 まぁこいつは生まれてから一週間近くゴブリンに追い回されたって言ってたしな。才能を過信し、それだけで事が運ぶと考えていそうな、今のルミナに苛立っているのだろう。


「聞こえてますわ。見ていてくださいまし! 必ず倒してみせますわ! ミントさん行きますわよ!」

「ほら!」


 案の定、ルミナは態度を硬化させた。そんな彼女を見たタイムが何やら得意気だ。


「ほらじゃねぇよ……ややこしくしやがって。タイム、まだ行けるか?」

「あ、いえ、私個人はもう余力は……」


 まぁそりゃそうか。なんせ俺と源泉は一緒なんだからな。


 とは言え、あの二人を放置しておくわけにも行かない。何せこの場で勝てるのはあの二人しか居ないのだ。成果も挙げないまま力尽きてもらっては困る。


「よし、お前に仕事をやる、ミントちゃんの魔法があいつに当たるよう誘導しろ」

「さっき盾にならなくていいって言いましたよね!?」

「違う違う、囮になれって言ってるんだ」

「変わりませんよ!? 絶対に嫌です」

「ちっ」


 そんな会話をしている間も、ミントちゃんの魔法は霧を捕らえきれず、再び後方の壁を射抜いている。徐々にだがミントちゃんに疲労の色が見え始めていた。


 光の魔法などそう避けられる類のものではない。単にミントちゃんの狙いが甘いのだ。タイムにもそれが分かっているようで、焦りが見え隠れしている。


「もたもたしてる場合じゃありませんよ。あれ、まずそうです」

「だな」


 タイムに急かされる形で、俺はルミナの方へと視線を移す。


「ルミナ!」

「お待ち下さい! すぐに――」

「小出しにして当てようとするのは止めろ」


 攻撃を止めろと言ってももう聞く気もないだろう。俺とて素人にすぐさま成果を出させるような、技量もなければ余力もあるわけではない。

 ならば、


「全力で吹きとばせ」

「はい!」


 再び、ミントちゃんの掌へ魔法陣が現れる。それは天井へと届くほど巨大な魔法陣だった。

 ミントちゃんの才能か、ルミナの協力によるものか。恐らくはその両方だろう。


 光が迸ったと思った次の瞬間、霧とともに宝物庫も消し飛んだ。

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