表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/162

第63話 油断

 光に類する魔法は少し特殊だ。他の属性と事なりまず詠唱が必要となる。爺の話しによれば世界にほんの一握り、他の魔法と同様に自在に扱える人間がいるそうだ。昔はそう言う一握りの人間を勇者と呼んだらしい。


「光の大神エレムルス、風の大神スピカータ。我ここに汝らの慈悲を願う。其の者汝らの定めし天測を断ち、天壌無窮を身に宿せし者也、其の者世に災いを生ずる者也」


 霧を中心とし、その左右にエレルムスとスピカータを現す魔法陣が現れる。


「聖光よ、恵風に宿りて遍く災禍に静謐を」


 左右に展開した魔法陣の中心に、軸となる魔法陣を描いていく。

 その間にも、周囲に貼られた結界を撥ね退けようと、霧が激しく明滅している。タイムが結界の維持に尽力しているが、既に結界は崩壊を始めていた。


 まずいな、俺が力を使いすぎたせいで、タイムの余力が尽きかけてるのか。

 もう少し、間に合え、間に合え。


 結界が砕け散る。だが、俺の勝ちだ!


「風よ! 燐光を今ここに! 《聖光の風(ルミナ・ブリーズ)》」


 魔法陣から光の粒子が吹き上がる。粒子が霧を飲み込み、その一粒一粒が霧を蝕んでいく。霧が苦しみ逃げ出そうとしているが、光の粒子はそれを許さない。

 やがて、光は霧とともに徐々に消失していった。


「……やった……やりましたね!」


 霧の消滅を見届け、タイムがはしゃぎ始める。


「あれがアルカイドの言ってたボスってやつなら、これで決着か? 外に出て確認してみないとな」

「そもそもそれを倒したからって騒ぎが静まるんですか?」

「……ぐっ。そういやクリアになるとしか言ってなかったっけな」


 もし、まだ外では変わらずグールが暴れているようなら駆逐する必要がある。まだ対応する余力はあるのだ。応急処置を済ませたら参加したほうが良いだろう。


「とにかく、だ。外に出てみないことには始まらないな」

「そうで――ソルトさん!」


 突然タイムが叫び声を上げる。見れば後方から僅かに残った霧が、こちらへと迫ってきていた。

 タイムが結界を出そうとしたようだが、形をなす前に霧散する。


 すぐさま対応を切り替えたタイムが、俺を庇うように霧の前へ飛び出した。


「馬鹿!」


 俺は飛び出したタイムを即座に払い除ける。その僅かな間に、霧が回避不可能な距離へと接近していた。

 既に詠唱は間に合わない。俺は歯を食いしばり、すぐ後に訪れる激痛に備える。


 だが、いつまでたっても痛みは訪れず、霧は俺の後方へとそのまま通過していた。

 気づけば、いつの間にか俺の身体が光で覆われていた。


「よく弱っているようですわね。ミントさん、あれを練習相手と致しましょう。ご安心を、一当てすれば倒せる相手ですわ」

「うん、頑張る」


 声がした方を見れば、そこにはミントちゃんとルミナの姿があった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ