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第47話 ホールへ

「何だありゃ」


 俺は、ルーナをミントちゃん達に預け、ラックと共にホールの側までやって来ていた。ホールの周辺には隠れる場所が無いため、近くの部屋からタイムを先行させ、周囲を確認する。

 

「徘徊しているって言うより、あれはもう警備ですよね?」


 予想したとおり、ホールの守りは厳重らしい。傍にはこれまであまり見かけなかったグールが、大量に徘徊している。衛兵や執事、そしてメイド。屋敷の中にいた人間を手当たり次第といった風だ。

 ラックの話では屋敷に詰めている残りは、衛兵が三人、執事が一人、メイドが九人だそうだ。

 見える範囲で凡そ三分の二がここに集まっている。


 タイムの話では、それらのグールは一見徘徊している様に見えるが、その実いくつかの決まったパターンで動いているそうだ。

 そうなってしまうと、もはや徘徊とは言えない。アルカイドが言ってたボスってやつの力だろうか。


「地味に厄介だな。切り替わるタイミングも適当なんだろ?」


 タイムがそれに頷く。次に何が来るかわかっていれば、対処のしようもある。もはや、これに関しては運に任せるしか無い。動きの重ならない隙間があれば良かったんだが、どうやらそれほど甘くはないようだ。


「この様子、やはり領主様はあそこに捕らわれておられるのでしょうか」

「さて、仕掛けたやつが仕掛けたやつだからな。苦労して守りを抜いた先はもぬけの殻、ってのは十分ありえるだろうぜ」


 やばい、自分で言っといてあれだが、その可能性は十分有り得る。想像したら心が折れそうだ。


「そのような者がお嬢様とテナンさんを……」


 こっちまで音が聞こえてきそうなほど、悔しそうに奥歯を噛み締めている。


「それでもやっぱり行くんですよね?」

「当然だな、可能性が高いことには変わりないんだから。問題はどうするかだな」


 先程の事から察するに、おそらく一人が異変を感じれば、その周囲のグールが気づくのだろう。

 なら一人だけ誘い出すというのは難しい。


「やはり、ここは正攻法を取るより無いでしょう。東か西、いずれかを制圧できればホールの内部も探ることができるはずです」

「そうだな。なら、西側から攻めるとしようか」

「なんで西側から攻めるんです? あっ、まさか……」


 タイムが呆れたような視線を俺に向ける。どうやら気づかれたらしい。

 西側は先程ラックが宝物庫があると言った方向だ。使わないに越したことはない。が、何が起こるかわからない以上、万が一に備え、切り札となりえる要素は確保しておきたい。


 ラックが不思議そうな顔をしている。まぁ、ラックにはタイムの特性は説明していないので無理はない。

 理由を尋ねるラックに対し、「なんでもない」と答えながら、ラックには気づかれないようタイムを睨みつける。


 ラックはまだ納得しては居ないようだったが、「そうですか」と矛を収めてくれた。別に許したわけではなく、彼には彼の思惑があるのだろうが、今揉めないで済むのはありがたい。エドガーの野郎ではないが、もし切り出すならば、拒否できないタイミングが望ましい。


 俺は一度、大きく息を吐く。


「さて、ホールの中を拝みに行くとしようか」


 そして、俺達は状況を開始した。

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