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不信感

【太陽の神殿 正面】

 

森の中に埋もれるようにしてたたずむ太陽の神殿。多くの警備兵がうろうろしている


警備兵:「これはサーラ様」

サーラ:「今日も警備ごくろうさまです。あの、ヒューマに、ヒューマに会いたいんですけど」

警備兵:「ヒューマ様に?」

怪訝(けげん)な顔をする警備兵

警備兵:「ちょっとお待ちいただけますか」

持ち場を離れる警備兵



アリア:「何かあったんですねやっぱり」

答えないサーラ

戻ってくる警備兵。一緒に見覚えのある司祭の姿

太陽の司祭:「これは大地の乙女サーラ様」

サーラ:「お元気そうでなによりです。急に来て急で申し訳ないんですけど、 ヒューマに会わせて欲しいのですが」

答える代わりに押し黙る太陽の司祭

サーラ:「ヒューマに、ヒューマに何かあったんですね?」




【太陽の神殿 最深部 大広間】

        

太陽の光りが溢れる祭壇のある広間。通されて待っているサーラとアリア


アリア:「すごくきれいな場所ですね」

サーラ:「どこで試練とかいうのしているんだろうね?」

アリア:「サーラ様もやったんですか?試練」

サーラ:「私は、そういうのやったことないの。太陽が昇って、そのまんま今の位置についたのかな」

アリア:「そうなんですか」

サーラ:「今思うと、太陽を甦らせた旅が、私にとっては試練だったのかもしれないわね」

大地の司祭の声:「まったく、困ります勝手に抜け出して」

サーラ:「司祭様!」

飛び上がるサーラ。太陽の司祭と一緒に登場する大地の司祭。

大地の司祭:「アリア!お前まで!」

アリア:「ごめんなさい司祭様。許してください」

直立不動、凍り付くアリア



サーラ:「司祭様、これには理由があって、アリアは決して悪くないのよ」

太陽の司祭:「まあ、無事で何よりでした」

サーラ:「すいません。勝手な事をして。でも、ヒューマの身に何かがあったんじゃないかと思って。居ても立ってもいられなくなって・・・」

太陽の司祭:「ふむ。やはりお二人には何か特別な、我々では考え付かないような絆があるようですな」

サーラ:「やっぱりヒューマに何かあったんですね?」

太陽の司祭:「ここにはおられないんです。ヒューマ様は」

サーラ:「え・・・?」

太陽の司祭:「秘匿(ひとく)にしておいたのですが、仕方ありません。

 私も直接は立ち会っていないんですが、ヒューマ様は空飛ぶ船に乗ってどこかにいってしまわれたと」

サーラ:「空飛ぶ船?ってここにも来たの?」

太陽の司祭:「ちょうど、私が最果ての村に戻っている時のことなのですが・・・」



◆回想シーン


太陽の神殿上空に、空飛ぶ船が近づく

驚きに目を見張るヒューマ

船から出てきたサングラス姿の女


太陽の司祭:「あれは、最果ての村に空飛ぶ船がやってきてほとんど日が経ってないころです。この神殿にもそれはやってきたそうです。

 船からは、恐らく最果ての村にやってきた同じ人物がヒューマ様との面会を求めたそうです。ヒューマ様はその娘と何事かを話されると、私たちには何も告げずに、そのまま空飛ぶ船に乗って行ってしまわれました」



サーラ:「ヒューマが、そんな・・・。信じられない」

太陽の司祭:「留守の者に問いただしたのですが・・・」

大地の司祭:「なんで、空飛ぶ船なのか?」

太陽の司祭:「このままでは、主神の太陽の子が会議に出ることができないというよろしくない事態になってしまう」

サーラ:「会議って、やっぱりそんなに重要なんですか?ヒューマよりも重要なんですか?」

太陽の司祭:「今回の会議の発起人が『月』だからです」

まだ解らず首をかしげるサーラ

太陽の司祭:「太陽が昇っていない間、月は空の支配者だったのです。

 しかし異常事態にもかかわらず何もしなかった。その月が動いたということは、何らかの狙いがあり、勢力を盛り返すつもりなのでは」



サーラ:「勢力?って、そんな争いをする場所なんですか?」

アリア:「みんな世界が平和であるように願っているんじゃないんですか?そのための会議じゃないんですか?」

大地の司祭:「人の世は年々複雑になっていきます。

 ただ大地の、海の山の恵みだけでは喜べない人もいるのです。悲しいことですが、人の世が続けば続くほど複雑になっていくのです」

押し黙ってしまうサーラとアリア

太陽の司祭:「ご無事であられると良いのだが・・・」

サーラ:「その会議には、水や風を司る者もくるのですか?」

大地の司祭:「来ない、ということはないでしょうな」

サーラ:「じゃあ、ジェスやベルタに会えるのね!」

大地の司祭:「それはどうでしょうか?」



サーラ:「だって、ジェスは風を司る者で、ベルタは水を司る者でしょ?」

大地の司祭:「詳しくは知りませんが、水や風、炎は天地にあまねく存在します。それだけ司る者の数も必要になると聞いています。

 ジェス様やベルタ様は司る者の1人でいらっしゃるのでしょう。月や太陽、それに大地はひとつしかありません。

 だから我々大地には乙女、あなたしかいないのです。今度の会議にジェス様やベルタ様が来るとは限りません」

サーラ:「えーっ」

大地の司祭:「ともかく、今度の会議までおとなしくしていただきます」

読了ありがとうございました。

まだ続きます。

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