日蝕の終わり
【マリア・アズーラ号甲板】
船長室からぞろぞろ出てくる一行
ファロス:「なんだ、終わったのか?」
ベルタ:「なんか居場所ない感じで」
ヒューマ:「父さん、母さんは?」
ファロス:「大丈夫、眠っているだけだ」
アリア:「サーラ様、冥府ってどんな所でした?」
サーラ:「うーん。なんかすごく静かだったような、すごく騒々しかったような、よく解らない所だったわ」
アリア:「サーラ様?」
サーラ:「ん?なあに」
アリア:「サーラ様はお化粧していない方がキレイです」
耳の先まで真っ赤になるサーラ
クスクス笑っているジェス
サーラ:「なによジェス。何がおかしいの?」
ジェス:「何照れているんだよ。化粧しない方がキレイなサーラ」
サーラ:「ジェスもセレンに化粧してもらったら?とってもヘンな顔になるわよきっと」
あっかんべーをするサーラ
【船長室】
ミリアム:「いいお友達ねミラン」
母に抱きつくミラン
ミラン:「やだやだ母さん。もう必要ない研究なんかしないし、火の力も使わない。
だから母さん戻ってきて。母さんが戻ってきてくれるなら友達なんかいらない!」
ミリアム:「ミラン、聞き分けのないこと言わないの。ミランは正しい事をしてきた。だからあんなにたくさんの、素敵なお友達がいるんじゃない」
顔を上げるミラン
ミラン:「私、正しい事をしたの?」
ミリアム:「むしろ間違っていたのは私の方よ。正しい力の使い方を教えなかった私の方が、たくさんの間違いをしたのよ」
ミラン:「母さんは間違ってなんかいない!」
ミリアム:「ミラン、スープを温めるのにたくさんの火はいらないでしょ?暖炉の火はたくさん燃えていたら危ないでしょ?
火はほんの少しでいいの。ほんの少しだけで」
ミラン:「母さん・・・」
ミリアム:「ミラン、大きくなりすぎた火を小さくしましょう」
ミラン:「大きくなりすぎた火?」
ミリアム:「そう。今からでも間に合うわ。あなたが起こした大きな火をみんなが安心して、暖まれるような火にしましょう」
ミリアムは自分のイヤリングを外して、娘の耳につけてやる。
ミラン:「母さん、これ・・・?」
ミリアム:「良く似合っているわ」
イヤリングはミランのもとで、優しく光っている。
燃えさかる炎のような熱ではなく、暖炉の中の炭火のような暖かさのイヤリング
【マリア・アズーラ号 甲板】
船長室から出てくるミリアム母子
フレイ:「ミラン・・・」
何かを悟ったようなミランの表情
眉をひそめるファロス
ミリアム:「みなさま大変ご迷惑をお掛けしました。これからもっともっとお世話をかけると思います」
セレンの方に向き直るミリアム
ミリアム:「娘に、もう一度ミランに会える機会を作ってもらいありがとうございました」
突然のことに驚くセレン
セレン:「え、私は、人にお礼を言われるようなことをしたのですか?」
ファロス:「君は自分の欲のために冥府の扉をあけたが、なにも悪いことばかりじゃないってことだよ」
ミリアム:「ありがとうございますセレンさん」
セレンの目から涙が静かに流れ始める。同時に化粧も流れ初め奇妙な顔になる。
ルナ:「兄さん」
セレン:「はしたなくてすまないルナ。今まで人に感謝されることなんて、なかったので」
ルナ:「私はいつでも兄さんに感謝しているわ」
セレン:「ルナ・・・」
ことの成り行きに沈黙する一同
ルナ:「さあ、そろそろ帰りましょう。お母さん」
ミリアムを促すルナ
しずしずと月の円陣に進むミリアム
ミラン:「お母さん」
円陣に立って娘に微笑むミリアム
月の円陣が光り輝き、ミランの母ミリアムと、セレンの妹ルナは、光りに包まれて冥府に帰っていった
月が動き、太陽の光りがあふれた
フレアの体に血色が戻り、しずかに目を開けた
ファロス:「おお、母さん」
大きなあくびをするフレア
フレア:「もう終わった?」
太陽の光りが全天地を覆った
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まだ続きます




