裁きの城
【冥府 冥府の王の城 場外】
広い冥府にたたずむ体育座りのサーラとヒューマ
恐ろしく静かな世界に包まれている
サーラ:「静かだねー」
ヒューマ:「うん」
サーラ:「冥府にいるんだよ私たち」
ヒューマ:「うん」
サーラ:「色々な所に行ったね」
ヒューマ:「うん」
サーラ:「どこ行っても、いつも一緒だよね」
ヒューマ:「そうだね、いつも一緒だよね」
◆しばし会話がとぎれる
サーラ:「私たち、これからもずっと一緒にいられるかな?」
ヒューマ:「もちろん。ずっと一緒だよ」
サーラ:「良かった。じゃあ、もう1人で空飛ぶ船に乗っていったりしないでね」
ヒューマ:「ゴメン、サーラ。あの時は自分が何をしていいのか解らなかったんだ。
太陽の神殿で、試練をしていても本当に何をしたらいいのか、解らなかったんだ。
そんなときにミランが来て『あなたの言うとおり、私の力を正しく使ったの。見に来てくれる』って言うから」
サーラ:「ふーん。そんな事があったんだ」
ヒューマ:「あの研究所でオレはミランに言ったんだ。
『いつか君の力が正しいことに使える日がくる』って。それでオレに見せたいって」
サーラ:「ふーん」
ヒューマ:「なんだよ、ふーんって」
サーラ:「優しいんだねヒューマは」
ヒューマ:「優しいの、かな?」
サーラ:「みんなに優しい。みんなに平等な太陽みたいに」
ヒューマ:「・・・」
サーラ:「だから、誰も独り占めしちゃいけないんだね」
ヒザに顔をうずめるサーラ
ヒューマ:「サーラも、大地はみんなのモノじゃないか」
サーラ:「私たちって、誰か1人のものにはなれないんだね」
ヒューマ:「今はそうかもしれないけど、この国が平和になったら、もっと自由になれるんじゃないかな」
サーラ:「うん」
ヒューマ:「誰か1人のものにはなれないかも知れないけど、オレはサーラのそばにずっといるよ」
サーラ:「うん」
先に立ち上がるヒューマ
ヒューマ:「行こっか」
サーラに手を差し出すヒューマ
サーラ:「うん」
しっかりとヒューマの手を取るサーラ
【冥府 王の城 城門前】
ベルタたちと合流するヒューマたち
ベルタ:「どう、おちついた?」
サーラ:「ごめんなさいベルタ、みんな」
セレン:「私も言い過ぎました。でもこれは揺るぎのない事実なのです大地の乙女よ」
サーラ:「ええ、わかっているわセレン。それでも私は生きていくわ。罪がなくなるまでね」
フレイ:「サーラも元気になったことだし、行こうか。セレン、どうすればいいんだ?」
セレン:「裁きの城まで行きましょう。私に策があります。ホホ」
死者の書を手にするセレン
◆冥府のコンパスが、裁きの城を指し示す
【冥府 裁きの城 大広間を望む回廊】
裁きを待つ大勢の人が待っている
セレン:「裁きを待つ魂たちですね」
ヒューマ:「ルナ、あんたも裁きを受けたのかい」
ルナ:「ええ」
ルナ:「裁き裁きといいますが、生前の裁きよりももっと大きなモノがあるのです」
ヒューマ:「大きなモノ?」
ルナ:「人は生けるもの全ての罪を、ここで裁かれるのです」
フレイ:「なんですか?生けるモノ全てって?」
ルナ:「空を飛ぶ全ての生き物、大地を歩く全ての生き物、大洋を泳ぐ全ての生き物、地に根を張る全ての植物」
サーラ:「じゃあ全部じゃない?」
ルナ:「そうです。生けるモノ全て」
サーラ:「なんで人だけなの?なんで人だけが裁かれなきゃいけないの?」
サーラに向き直るルナ
ルナ:「獅子が鹿を獲って食らうことに罪を感じますか?
虎が食べることの目的以外に他の命を狩ることがありますか?」
サーラ:「いえ、ない。多分」
ルナ:「生き物は己が生きるために他の命を必要とします。ですが、それ以外に命を狩ることはありません。
人は、自分が存在するため以上に多くの命を狩ってしまう。時として罪に感じることもなく。ゆえにこの場で裁きを受けるのです」
フレイ:「そんな罪、なくならないじゃないか」
ルナ:「そうです。この世に生き物が存在しつづける限り、人が裁きを免れることはないんです」
セレン:「すべての生き物が消えたときに、人は解放されるのかもしれませんが・・・」
【裁きの城 断罪の椅子】
自分の番を待つ、赤毛の長い髪の女性
ルビーのイヤリングが輝いている
声:「ミリアムと申すか。次はそなたの番です」
断罪の椅子に座るミリアム
声:「どんな罪を犯しましたか?」
ミリアム:「私は、私の罪は、私の娘を正しく導けなかったことです。
大きすぎる娘の力を、正しい事に、人の役に立てることに導いてやれなかったことです」
声:「で、どうしますか?」
ミリアム:「できることなら、娘を正しい方向に導いてあげたい。もう無理ですが」
声:「『火の探求者』の母よ。いえミランの母よ。あなたにはその役目を課しましょう」
ミリアム:「え?」
一行がミリアムの前に現れる
ヒューマ:「ミランが、苦しんでいます。俺たちと一緒にきてください。ミランのお母さん」
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まだ続きます




